今年のベネチア国際映画祭のコンペティション部門の最後に追加された、ガザに関するドキュメンタリー「NAZA」が、本年最長の25分間のスタンディング・オベーションに沸き、大きな反響をおさめた。
英国紙ザ・ガーディアンと、「関心領域」のジョナサン・グレイザーが製作に参加した本作の監督は、アカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」のユバル・アブラハームとラヘル・ショール。夜間テルアビブの、あるビルの屋上で、イスラエル軍情報部の兵士たちがアブラハーム監督の質問に答え、ガザへのミサイル攻撃に関する情報がどのように収集され、民間人が多数殺されたやり方に関して彼らがどのように考えているかを語る。
登場する兵士たちはもちろん顔は映されず、声も変換されている。それだけに彼らの率直な発言には震撼させられる。やり取りの合間にときおりテルアビブの夜空、窓越しに見える人々の暮らし、ビルや高速道路に彩られた大都市の風景が映される(それゆえに語られている世界との対比が刺さる)、きわめてシンプルな作りながら、今も続く民間人虐殺のメカニズムと、国家に仕える人間の心理が明らかにされ、観ていて言葉を失う。
一方、授賞式前日には、自身が長年率いるバンド、Indoor Garden Partyのドキュメンタリー「What Love Builds」がアウト・オブ・コンペティションで披露されたラッセル・クロウが登場し、映画祭に華をもたらした。
クロウが企画、脚本、監督を担当した本作は、10代の頃から俳優業のみならず音楽にも情熱を注いできた彼がおこなってきた欧米ツアーのステージの模様をメインに、その音楽的キャリアや和気藹々としたバックステージの様子が彼自身の解説により語られていく。現在は世界各地に散らばっているメンバーを集めてツアーすることの難しさにも触れつつ、題名通り、いかにバンドへの愛とメンバー間の絆を彼が大切にしているかがわかる内容だ。格好をつけるのが大嫌いな、飾らない人柄の彼らしく、ビール片手に楽しく盛り上がれるような音楽ドキュメンタリーである。(佐藤久理子)
【作品情報】
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ノー・アザー・ランド故郷は他にない
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photo.Andrea Avezz-Courtesy Archivio Storico La Biennale di Venezia