第83回ベネチア国際映画祭で、クロージングを迎えた現地時間9月12日、是枝裕和監督の実写映画「ルックバック」の2つの公式独立賞で受賞・表彰された。先日発表された3つの公式独立賞に加えて、合計5つの公式独立賞を獲得した是枝監督が喜びのコメントを寄せた。
今回、発表されたのは地中海地域を中心とする大学ネットワーク「UNIMED(地中海大学連合)」が主催する「UNIMED Award」(ユニメッド賞)の受賞と、2017年に設立され、ファンコミュニティや参加型文化の研究・普及に取り組むイタリアの文化団体「Fanheart3」が主催する「Fanheart3 Awards」(ファンハート3賞)の特別表彰となる。
ユニメッド賞は、過去には「哀れなるものたち」「ブルータリスト」なども受賞しているが、今回「ルックバック」は21作のメインコンペティション作品の中から、35人の学生審査員の満場一致による選考であったという。「ルックバック」は公開中。
▼是枝裕和監督コメント全文
とてもいい滞在でした。
本賞に入ることはできませんでしたが、公式上映後は本当に熱いリアクションをいただきましたし、特にメディアも含めてイタリアの方の熱が、翌日以降の取材でも非常に伝わってきてとても嬉しく思います。
独立賞を5ついただくという、これまでに経験のない事態で、しかも10代の方々に選んでもらった賞がその中に2つあって、若い人たちが支持をしてくれた、ということが純粋に嬉しいです。また、取材にいらっしゃる方たちが、ジャーナリストであれ、批評家であれ、「(この作品が)シンプルに、個人的に好きだ」と声をかけてくれたのがまた良かったですね。
ベネチア国際映画祭というデビュー作の地で、もう一度出発点に立ち返った気持ちです。
作品を挟んでの、観客のみなさんとの出会いを大切にしながら、また次へ向かいたいと思います。
▼実写映画「ルックバック」 が受賞・表彰された5つの公式独立賞 概要
■ 第5回「Cinema & Arts Award」シネマ&アーツ賞
ベネチア国際映画祭の開催にあわせて実施される独立賞(Collateral Award)のひとつ。演劇・映画監督のアレッシオ・ナルディン氏の発案により創設され、現代映画におけるさまざまな芸術表現の影響や、映画と舞台芸術をはじめとする多様な芸術との融合に光を当てている。
■ 「SIGNIS Award」(シグニス賞)
世界カトリックコミュニケーション協会「SIGNIS」が、ベネチア国際映画祭のコンペティション作品を対象に選出する独立賞。人間の尊厳や社会正義、平和などの価値を豊かに表現した作品を顕彰するもので、2001年より現在の「SIGNIS Award」として授与されている。
<シグニス賞 選考理由コメント>
漫画を描くことへの情熱で結ばれた、一見対照的な二人の少女。この感動的な物語は、ひたむきな献身とプロフェッショナルとしての努力を通じて、自らの創造的な天命に目覚めていく姿を描き出します。是枝裕和監督は、人と人との絆が持つ深い力を繊細に捉え、互いに寄り添い合うことや友情という贈り物が、いかにして登場人物たちを孤独から解き放ち、世界における自らの居場所を見つけさせるのかを映し出します。単なる感情的な真実を超えて、本作は深い精神的な領域にも触れています。それは、芸術的才能を、感謝の念と共に受け取り、努力によって磨き上げるべき「超越的な贈り物」として認識することです。罪悪感や悲劇的な喪失、そして過酷な運命の試練に直面しながらも、「ルックバック」は、自らの人生を形作った絆を大切に思う心からこそ、受容と和解が生まれることを明らかにします。最終的に、芸術の創造とは、希望と癒やしをもたらす不朽の営みであり、悲しみを生きる目的へと変え、前へ進む勇気を与えてくれる「架け橋」として描かれています。
■ 「CinemaSarà Award」(チネマサラ賞)
1947年の設立以来、映画文化の保存・普及や次世代への映画教育に取り組む、ミラノを拠点とする映画文化財団「Cineteca Milano」が主催する独立賞。ベネチア国際映画祭の公式コンペティション作品を対象に、18歳の若者たちで構成された審査員が、創造的な独立性や新世代に届く映画表現という視点から作品を審査・選出する。
<チネマサラ賞 選考理由コメント>
おとぎ話と現実がごく自然に交錯する描き方、そして、移ろう季節の中で人生の輝きと時を超えた友情を描き出す作品を生み出したことを称え、チネマサラ賞審査員は、是枝裕和監督の「ルックバック」に最優秀長編映画賞を授与します。
■「UNIMED Award」(ユニメッド賞)
地中海地域を中心とする大学ネットワーク「UNIMED(地中海大学連合)」が主催し、2017年に創設された公式独立賞。UNIMEDに加盟する各国の大学から集まった学生による国際審査員がコンペティション作品を審査し、文化的多様性や異文化間の対話、包摂性、芸術表現の自由などの価値を体現した作品を選出する。過去には「哀れなるものたち」「ブルータリスト」なども受賞している。
■「Fanheart3 Awards」(ファンハート3賞) Honorable Mention(特別表彰)
2017年に設立され、ファンコミュニティや参加型文化の研究・普及に取り組むイタリアの文化団体「Fanheart3」が主催する公式独立賞。映画やイマーシブ作品とファンコミュニティとの結びつきに着目し、ファンカルチャーや新たな創作へと広がる可能性など、独自の視点から作品を選出している。
【作品情報】
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ルックバック