【第83回ベネチア国際映画祭】沖縄舞台の「太陽(てぃだ)ぬ色」に国際批評家連盟賞国際共同制作で日本テーマの作品目立つ

「太陽ぬ色」監督、キャスト陣

【第83回ベネチア国際映画祭】沖縄舞台の「太陽(てぃだ)ぬ色」に国際批評家連盟賞国際共同制作で日本テーマの作品目立つ

9月12日(土) 13:00

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今年のベネチア国際映画祭には日本映画のみならず、日本をテーマにした合作も見られた。オリゾンティ部門に選出されたカナダ出身、東京在住の写真家、グザビエ・テラ監督の「太陽(てぃだ)ぬ色」は、同部門の国際批評家連盟賞を受賞した。

本作は沖縄を舞台に、父を失った高校生の少年が、気持ちを寄せる地元の少女や沖縄の米軍基地に住む同世代の少年と交流するなかで、喪失感や葛藤と向き合うさまを描く。テラ監督は本作のアイディアを、「初めて沖縄を訪れて、毎日戦闘機の音が聞こえる米軍基地の存在に驚いたり、沖縄特有の文化や強烈な太陽に魅せられたことが元になっています」と語る。撮影を担当したのは、アピチャッポン・ウィーラセタクンの作品で知られるサヨムプー・ムックディプローム。独特の色使いとともに、ときに夢感覚ただよう詩的な映像も魅力的だ。

SABU監督が台湾で撮影し、アウト・オブ・コンペティションで披露された「アレステッド・メモリー(原題)」は、イーサン・ルアン、堤真一、霧島れいからの共演によるアクション・コメディだ。健忘症を発症しながら自身でそれに気づかない刑事が、身代金誘拐事件を担当することになったことから起こる珍道中。現地の公式上映ではたびたび笑いが巻き起こり、SABU監督は、「観客の反応が予想以上でした」と喜びを噛み締めた。また公式上映に参加した台湾のキャスト陣も多いに手応えを感じていたようだった。

「ベニス:スポットライト」部門で上映された、アメリカ生まれのミックス・ルーツを持つエリック白井監督による「SUMO 魂を鍛え抜く」は、日、米、英、デンマークの4カ国合作。題名通り相撲の力士に密着し、その日常の姿を通して、伝統的武道の真髄に迫る。白井監督は、「アメリカにいると相撲は勘違いされているというか、たんに太った人がやるスポーツと思われているようなところがあります。でも相撲には日本のプライドというものが表れていると思うので、目に見えないところの本当の力、その魂のようなものを表現したいと思いました」と明かす。いつの時代かもわからない、時が止まったかのような錯覚を起こす美しいモノクロ映像の一方で、現代の少年たちが厳格な規律のなかで体を張って上を目指す厳しさが伝わってくる。

さらにアウト・オブ・コンペティションの「フィルム・オン・フィルムズ」部門では、鈴木清順監督を追ったフランス人監督イブ・モンマユールの個性的なドキュメンタリー、「Twist and Shoot Mister Suzuki」が上映された。小林旭、宍戸錠、美術監督の木村威夫、ジョン・ウー監督らへのインタビューを混ぜながら、アーティスト、神田さおりが、<清順的>謎の女性を演じた演劇的要素も加味した、ポップでアーティスティックなスタイルである。公式上映のQ&Aでイブ監督は、「鈴木清順監督へのオマージュとして、自分もドキュメンタリーを作るなら彼のように、古典的なスタイルを解体するような大胆な表現を用いるべきだと思いました」と語った。

純粋に日本のドキュメンタリーとしてはなかなか生まれにくそうな企画が、国際共同制作によって形になるのを観るのは嬉しいものだ。(佐藤久理子)

【作品情報】
・ アレステッド・メモリー(原題)

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Photo.Luca Zambelli Bais-Courtesy Archivio Storico La Biennale di Venezia
映画.com

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