【第83回ベネチア国際映画祭】コンペ高評価はマーティン・マクドナーとイ・チャンドン、唯一の女性監督メイ・エル=トーキーら

「WOMAN UNKNOWN」

【第83回ベネチア国際映画祭】コンペ高評価はマーティン・マクドナーとイ・チャンドン、唯一の女性監督メイ・エル=トーキーら

9月11日(金) 13:00

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現在開催中のベネチア国際映画祭も終盤を迎え、話題作が出揃った。ダントツに評価が高いのは、マーティン・マクドナー監督の「Wild Horse Nine」とイ・チャンドン監督の「Possible Love」。続いてコンペ唯一の女性監督メイ・エル=トーキーの「Woman Unknown」、ステファン・ブリゼ監督の「A Good Little Soldier」、ロシア人監督イリヤ・フルジャノフスキーの「Dau」、是枝裕和監督の「ルックバック」あたり。

イ・チャンドンは、富裕層と低所得層の2組のカップルを主人公に、格差社会とそれが夫婦の絆にもたらす影響を見つめる、「パラサイト」のシリアス版といったところ。後半からクライマックスにかけてのまとめ方には力量がのぞくものの、個々のトピックに新鮮味はなく、以前のような強烈さは薄れた印象だ。

「Woman Unknown」は戦後のデンマークを舞台に、元ハウスメイドが妻を亡くした裕福な主にみそめられ、結婚を約束されるも、次第に彼女の暗い過去が明らかになる。エル=トーキーはNetflixのドラマシリーズ「ザ・クラウン」でも知られるが、切れ味のよい演出、音響や映像表現に大胆さが光る。

「A Good Little Soldier」は、アルバ・ロルバケルが大企業で働く中間管理職に扮する。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を彷彿させるようなドラム音が鳴り響く中でのスピーディな幕開けに始まり、昼夜仕事に身を捧げる<リトル・ソルジャー>の姿を通して、現代のキャピタリズムとそのシステムを痛烈に批判する。ロルバケルは「Woman Unknown」のマティルド・アーセルと並んで、女優賞の下馬評が高い。

ウクライナ政府からのクレームがついたことでも注目を浴びた「Dau」は、フルジャノスキーが2019年から始めた壮大なダウ・シリーズの最新作。1928から1968年までのソビエトを舞台に、反骨的な天才物理学者が、やがて社会主義国家のシステムに組み込まれ、享楽的な生活を約束されるなか、原爆を開発するに至るまでを描く。195分の長尺のなか、技巧に走った映像表現がこれでもかと繰り出されるさまは、個人的には感心というより、いささか辟易に近い印象を持った。

今年の審査員メンバーは、審査員長のマギー・ギレンホール以下、カウテール・ベン・ハニア監督、グザビエ・ジャノリ監督、ジョニー・トー監督、アフガニスタンのシャーバヌー・サダト監督、作曲家のダニエル・ブルームバーグ、映像・メディア学者のフランチェスコ・カセッティの7名。彼らがどんな選択をするか興味深い。(佐藤久理子)

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Photo.Jacopo Salvi-Courtesy Archivio Storico La Biennale di Venezia
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