横浜F・マリノス
三井寺眞の可能性(1)
今季から秋春制へ移行したJリーグ。そのJ1開幕戦となる横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズで、戦列デビューを飾ったF・マリノスの三井寺眞。16歳ながら鮮やかな先制ゴールを決めて、一躍脚光を浴びることになった。そんな、今最も注目を集める若き逸材について、Jリーグに精通する識者たちはどう見ているのか。将来が嘱望される時代のスター候補の実力、可能性について分析してもらった――。

自身のデビュー戦となった鹿島アントラーズとの開幕戦で、立ち上がり早々に先制ゴールを決めた横浜F・マリノスの三井寺眞は、現在最も旬な若手の有望株であることは間違いない。
今年4月にプロ契約を交わしたばかりの16歳が、開幕戦からJ1のピッチに立ち続けていることだけでも特別な才能と言えるが、とりわけ驚かされたのは、第3節のヴィッセル神戸との試合でネットに突き刺した左足ボレーシュートだ。
ゴール前、天野純のクロスが相手DFの頭をかすめて落ちてくる。そのボールに対し、正しい位置で、無駄のないシャープなスイングでジャストミート。当日は雨によってピッチがぬかるんでいたため、軸足がやや滑ったなかでの一撃だったが、その正確かつ冷静なシュートは、三井寺が持つ技術の高さを証明するには十分なプレーだった。
J1の実績のある選手であっても、あのような場面でボレーを狙う場合は得てして力んでしまい、シュートをふかしがちだ。しかし、まだプロ経験がごくわずかな16歳の三井寺は、力まずに鋭く足を振り抜き、しかもボールを正確に捉えていた。
あのボレーシュートがゴール右隅に突き刺さったのは、決して偶然とは思えない。おそらくそれは、彼が持っている才能の一部にすぎないのだろう。
第6節終了時点で5試合に先発し、1試合に途中出場。そのなかで、早くも2ゴールを記録している。シュート数はこれまで計6本なので、決定率は3割超だ。これまでの主戦場は左サイドで、第6節では右サイドで途中出場しているが、ウイングというゴールから遠いポジションでこの決定率を誇るのであれば、いずれはチャンスメーカーではなく、決定力を備えたセカンドストライカーとして成長していく可能性も秘める。
清水エスパルス戦(第2節)の35分のシュート、あるいは浦和レッズ戦(第4節)の10分に見せたシュートなども、その得点能力の一端と言っていい。どちらの場面でも、右からのクロスに対して自分がシュートを狙えるスペースを見つけ、タイミングよく入り込んでシュートを放っている。ゴールとはならなかったが、これも三井寺の才能を示すシーンだ。
もうひとつ見逃せないのが、ドリブルとパスの使い分けだ。三井寺は、現段階ではスピードやテクニックで相手をはがす典型的ドリブラーというより、スペースを見つければスピードに乗ってボールを前に運び、スペースがなければ無理に仕掛けず、パスで味方を使えるタイプ。このプレー選択の判断力に磨きをかければ、より多くのチャンスを作り出し、自らシュートを狙うシーンも自然と増えるはずだ。
第3節のヴィッセル神戸戦では見事なボレーシュートを決めた三井寺眞photo by Toshio Yamazoe
もっとも、まだダイヤの原石だけに、これからが大事になる。
開幕戦からの活躍により、すでに対戦相手のマークは厳しくなっていて、激しいタックルを浴びるシーンが増加。そんな厳しい状況のなかで、まずは相手のマークを外す動きやタックルのかわし方を覚え、自分の武器を発揮するコツを身につけることが最初のハードルになるだろう。
守備についても、同じようなことが言える。これまでは、三井寺が相手を止める際にファウルをおかすシーンが目立つが、これは誰もが通る道。まだJ1のスピードや強度に慣れるまでには時間を要するはずで、試合を重ねながら経験を積むしかない。むしろ、ファウルをおかしても相手を止めようとする、そのメンタリティーに注目しておきたい。
そういう意味では、まずは対戦相手のプレー強度が低下し、ピッチ上にスペースが生まれやすい時間帯から途中出場を重ね、攻撃における自分の武器を磨くほうが先決かもしれない。
こぢんまりと型にはまった選手になるよりも、目指してほしいのは規格外の選手。見る側も、長い目でその成長を見守りたい。
(つづく)
中山 淳●文text by Atsushi Nakayama
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