漆山拓実「白鳥とコウモリ」でにじませた、確かな存在感【インタビュー】

漆山拓実

漆山拓実「白鳥とコウモリ」でにじませた、確かな存在感【インタビュー】

9月10日(木) 10:00

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ベストセラー作家・東野圭吾さんによる小説を、松村北斗(SixTONES)と今田美桜の主演で映画化した「白鳥とコウモリ」(公開中)。殺人事件の裏側に隠された真実と、そこから浮かび上がる切なくも心揺さぶる物語が話題を呼んでいる。そんな本作で、中村芝翫が演じる弁護士・白石健介の青年時代という、物語の鍵を握る重要な役を託されたのが、若手俳優の漆山拓実だ。限られた登場シーンながら、繊細な表情と佇まいに確かな存在感をにじませた。作品への思いから、共演者とのエピソード、俳優として描く未来まで、真っ直ぐな言葉で語った。(取材・文・写真/成田おり枝)

⚫︎「一緒に作っていこう」監督と二人三脚で向き合った白石健介

善良な弁護士、白石健介(芝翫)が刺殺されることから始まる本作。事件は容疑者として浮上した倉木達郎(三浦友和)が犯行を自供したことにより、解決したはずだった。しかし、容疑者の息子である倉木和真(松村)と被害者の娘の白石美令(今田)は、互いの父親の言動に違和感を抱く。

「東野圭吾さんによる原作の映像化作品で、キャストの皆さんもとても豪華。責任感や使命感を持ちながら、他のキャストさんたちの中で埋もれず、自分の色を放ちたいなと思いました」とオファー時の心境を振り返った漆山。

話題作の中で重要人物を演じることにもちろんプレッシャーを感じたものの、岸善幸監督が作品やキャラクター、そして俳優にもとことん寄り添ってくれたことで、緊張もほぐれていったという。「撮影が始まる前に、監督がワークショップを開いてくださって。監督は、生活や家族の中での立ち位置、周囲との関係性など、僕が演じる白石健介について3枚ほどにわたって書いたものを渡してくださったんです。そこで役柄について、視野が広がりました。僕が考えていった白石健介像もすごく大切にしてくれて、『一緒に作っていこう』と常に親身に寄り添ってくださった。とても心強かったです」と感謝を込める。

演じた健介の印象について、漆山は「“曲がったことは許せない”という正義感の持ち主」と分析。「筋を通そうとする性格は、僕も似ているところがあります」と頬を緩ませながら、「そして健介は、家族の大切さを強く感じている青年。僕も彼を通して、家族の大切さに気付かされたこともあります」と新たな発見もあったという。

⚫︎共演者からの刺激、監督からの言葉――忘れられない撮影の日々

撮影の合間には、倉木達郎の青年時代に扮し、漆山と共演シーンの多かった井之脇海と会話を重ねるなど、撮影期間は楽しく充実したものになった様子。

漆山は「井之脇さん演じる達郎と車の中で話すシーンがあったんですが、その撮影の合間にはプライベートな話も含めて、井之脇さんとたくさんお話しさせていただいて。ちょうど僕が車の教習所に通っていた時期なので、その話をたくさん聞いてくれました」とにっこり。「何気ない仕草や所作にも、達郎らしさが感じられる。言葉を発するトーンや相手との距離感など、台本には書かれていないところにも、達郎の人となりが込められているんです。本当にすごいなと思いました」と大いに刺激を受けたと語る。

撮影期間に、岸監督からもらった言葉も宝物だ。「『とても大切なシーンだったけれど、何を見て、何を感じ取れた?』と聞かれた時に、僕は『空がきれいで、自分がとても孤独に感じました』と答えて。岸監督は、『すばらしい感受性を持っているから、それはこれからも持ち続けた方がいいよ』と言ってくれました。“演じる時には、その瞬間に出てきた感情を大切にしていいんだな”と思えた言葉で、岸監督がいつも僕のことを肯定してくれたことが、大きな力になりました」。

⚫︎松村北斗&今田美桜の熱演に釘付け!完成作で感じた“親子”のつながり

完成作を観て、主演を務めた和真役の松村と美令役の今田による熱演にも釘付けになったという。松村と今田は、容疑者の息子と被害者の娘という間柄ながら、「なぜ父は、殺人を犯したのか?」「なぜ父は、殺されないといけなかったのか?」と“禁断のバディ”を組んで事件の真相を追いかけていく男女を演じた。

漆山は、「和真と美令が、喫茶店で事件の真相に迫っていくシーンがあって。松村さんがコーヒーを飲みながら、ものすごく繊細なお芝居をされていました。リアリティがありすぎて、ちょっと怖くなったというか。お芝居や台本を超越しているなと思いました」と惚れ惚れ。

「今田さんは、まず存在感に華があって。僕は今田さんと同じ事務所なんですが、本作ではこれまでに見たことのない今田さんの表情を見た気がしています。身近にそんなにすばらしい方がいるのは、本当に恵まれた環境だなと改めて思いました」としみじみと語る。自身が演じたのは、先輩である今田が扮した美令の父親役とあって、「“そうだ、僕がパパだ”と思ったりして」と茶目っ気たっぷりに笑いながら、「美令からは、正義感の強さが感じられて。それは父親である、健介譲りのもの。完成作を観ながら、“美令と健介は親子なんだ”と重なる部分を感じられました。それがすごくうれしかったです」と清々しい表情を浮かべる。

⚫︎「キングダム」と山﨑賢人に憧れ、俳優の道へ

2007年生まれで、9月7日に19歳の誕生日を迎えた漆山。2023年に開催された第36回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞を受賞し、芸能界入りを果たした。

俳優を志したきっかけは、中学受験の頃に映画「キングダム」を観たことだと告白する。「当時、小学校6年生でしたが、あの映画にものすごく感動して。最後に山﨑賢人さんの名前が出て、ONE OK ROCKの主題歌が流れた瞬間に、『この世界に入りたい!』と強く感じました。中学を受験する時にも、信の雑草魂から勇気をもらったんです。山﨑賢人さんのことも、大好きになりました」と熱弁。「中学校では部活動のテニスに没頭しつつ、中学校3年から高校1年生になるタイミングで、コンテストに参加し芸能活動を始めました」とこれまでの道のりを明かす。

今年の春には高校を卒業し、俳優への道を極めていく覚悟を決めた。「両親は大学へ行ってほしいと言っていました。でも僕の性格からして、大学に通っているという安心材料をなくした方が、もっと貪欲になれると思いました。両親にはなかなか賛成されず、口論になることもありました」と打ち明けながら、「僕が俳優としてちゃんとやっていければ、両親にも安心してもらえると思うんです。両親にも胸を張れるよう、頑張ります!」と決意をにじませる。

インタビューで向き合っていても、熱意あふれる言葉が次々と飛び出してくる。そんな彼の武器は、「ハングリー精神」だときっぱり。

「“負けていられない”というハングリー精神が、僕の根本にあります。中学校の3年間はテニス部のキャプテンをやっていたんですが、重圧もありましたし、“勝ちたい”という精神をそこで磨いた部分もあるかもしれません。芸能界はオーディションがあったりして、毎日ふるいにかけられているような厳しい世界です。そこで長く活躍することって、本当に大変なことだと思うんです。だからこそ、ハングリー精神を大切にしていたい」と意欲をのぞかせつつ、「夢は、山﨑賢人さんと共演すること。そして世界で活躍できるような、ワールド級の俳優さんになりたいです。後悔しないように生きていきたいですし、いつか自分にしかできないことをやり遂げたい」と目を輝かせる。

「体を動かすことが好きで、運動神経にも自信があるので、アクションもやってみたいです」と今後の展望を口にした漆山。「お芝居って、本当に面白いものだなと思うんです。自分とは違う人の人生を歩めることも楽しいですし、その作品に没頭している時にしか味わえない喜怒哀楽があることも面白い。そして、その役柄を自分一人で作り上げるのではなく、周りの方々と一緒に作っていくことも、とても面白いです。演じることで、自分自身を発見することもできる」。お芝居を心から楽しみながら、貪欲に自分の可能性を広げていく19歳。次はどんな役を演じ、どんな表情を見せてくれるのか。その未来に、こちらまで胸が高鳴る。

【作品情報】
・ 白鳥とコウモリ

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スタイリスト/檜垣健太郎 ヘアメイク/宇津木剛
映画.com

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