【第83回ベネチア国際映画祭】ケイシー・アフレック監督作、本人非公認“AIマスク”登場のイーロン・マスクドキュメントなど話題作

「MUSK」場面写真

【第83回ベネチア国際映画祭】ケイシー・アフレック監督作、本人非公認“AIマスク”登場のイーロン・マスクドキュメントなど話題作

9月10日(木) 13:00

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ベネチア国際映画祭の開催も半ばを迎え、コンペティションのケイシー・アフレック監督作「Company」、フロリアン・ゼラー監督の「Bunker」、アウト・オブ・コンペティション部門のイーロン・マスクを追ったドキュメンタリー「MUSK」と、話題作が立て続けに披露された。

アフレックのふたりの息子(インディアナとアッティカス)も出演した「Company」は、ゴシック西部劇とも呼べるようなユニークな作品。1975年のクリスマス、ある家族のパーティにミステリアスな女性が現れ、数奇な物語を語り始める。映画は彼女が語る寓話を映像化していく。構成の面白さや重厚な映像の美しさは魅力的だが、どちらかといえばコンペティションよりも招待作品部門が適したおもむきか。本作で映画デビューを果たしたアッティカス・アフレックは、初期のティモシー・シャラメを思わせるようなインパクトがある。

「Bunker」は、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスのカップルが夫婦役を演じた話題作。ゼラー監督自身の戯曲を映画化したもので、マドリードからロンドンに引っ越した著名な建築家と出版社に勤める妻をめぐる物語だ。世界的ビリオネア(ポール・ダノ)から贅沢なバンカー(地下避難用居住シェルター)建設の依頼を打診された夫は、前例のない仕事にそそられるが、妻はモラル面で反対。それをきっかけに、夫婦間のさまざまなわだかまりが顕になっていく。バルデム、クルスの鉄板の共演が映画を牽引。音響も含めて心理的スリラーの要素もあり、最後まで息を潜めて観たくなる緊張感に満ちている。

3時間45分という長尺でも注目を浴びていた、オスカー受賞監督アレックス・ギブリーの「MUSK」は、伝記的なアプローチではなく、テック界の富豪のいびつな闇を掘り下げる。本人への取材は叶わず、代わりに「AIマスク」を登場させ喋らせるという大胆な発想だ。ツイッター(X)、テスラ開発、スペースX事業など、誰もが知っている事柄の他に、マスクの最初の妻や彼の子どもを産んだ女性たち、マスクの父親、元仕事のパートナーなどの発言を通してその人物像を厳しく描いたもので、もちろん本人公認とはなり得ない内容である。

本作は今後トロントやロンドン映画祭でも上映された後、アメリカではリミテッドで劇場公開されることが決まっているが、果たしてどんな反響を起こすのか楽しみだ。(佐藤久理子)

【作品情報】
・ Bunker

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