「テルマ&ルイーズ」などで知られる米女優スーザン・サランドンが、パレスチナ支持を公言したことでいまもハリウッドで干されていると、ベネチア国際映画祭の記者会見で語った。サランドンは2023年、パレスチナ支持の集会での発言をきっかけに、大手エージェンシーから契約を打ち切られている。
「つい最近も、映画を取り上げられました。あの女を雇うな、とエージェントたちが言って回っているからです。ただ、それは力を持っている側の話。一般の人たちのあいだ、少なくともアメリカの外では、自分は歓迎してもらえていると感じます」
きっかけは、2023年11月にニューヨークで開かれた集会での発言だった。
「いま、ユダヤ人であることを怖いと感じている人がたくさんいます。この国でイスラム教徒でいるというのは、しょっちゅう暴力にさらされるということですが、その感覚を、その人たちもいま味わっているのです」
ユダヤ人が受けてきた迫害を軽んじる言い方だとして批判が集まり、大手エージェンシーのUTAは契約を打ち切った。サランドンはその後、この発言を謝罪している。
アメリカでイスラエルへの批判がこれほど重い意味を持つのは、同国にとってイスラエルが最大の同盟国だからだ。政府は2019年から10年間で380億ドル(現在のレートで約5兆9000億円)の軍事支援を約束しており、その額は政権が共和党に移っても民主党に移っても動いていない。加えて、ホロコーストの記憶が生々しいアメリカでは、ユダヤ人への差別はもっとも厳しく退けられるもののひとつで、イスラエル政府への批判もしばしばそれと地続きのものとして受け取られる。
映画業界では、その感度がさらに高い。2023年11月には、「スクリーム」シリーズで主演を務めていたメリッサ・バレラが、イスラエルとハマスの紛争についてSNSに投稿したことを理由に、製作会社スパイグラスから解雇されている。
それでもサランドンは、アメリカ国内でパレスチナとイスラエルがどう語られるかは、この数年で変わったとみている。昨年9月には、イスラエルの映画機関とは仕事をしないという誓約に、5000人を超える映画人が署名した。ただ、業界の受け止めは別だという。
「一般の人たちの受け止め方は、たしかに変わってきたと思います。でも、私のいる業界には、いまも頑として考えを変えない人たちがいて、私を見る目も変わりません。それでも私は、家族と呼べる人たちに出会えましたし、仲間にも出会えました。だから、平気です」
ちなみに記者会見は、コンペティション部門に出品されたアンドレア・パラオロ監督の「The Echo Chamber(原題)」のために開かれた。ベルナルド・ベルトルッチ監督が遺した最後のオリジナル脚本の映画化で、「デッドマン・ウォーキング」でアカデミー主演女優賞を受けたサランドンが、復帰作を作ろうとする往年の歌手を演じている。サランドンを使うなという周囲の警告を、パラオロ監督は聞かなかったのだという。
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テルマ&ルイーズ
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Photo by Alessandra Benedetti - Corbis/Corbis via Getty Images