【F1】角田裕毅はQ1敗退でも入賞をあきらめていなかったマリオカートばりのブーストで10位フィニッシュ

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【F1】角田裕毅はQ1敗退でも入賞をあきらめていなかったマリオカートばりのブーストで10位フィニッシュ

9月8日(火) 16:55

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F1第13戦イタリアGPレビュー(前編)

「ゼロバッテリー!完全にゼロ!ディプロイメントがなかった!」

第13戦イタリアGP予選Q1最後のアタックが不発に終わった角田裕毅(レーシングブルズ)は、コントロールラインを横切る手前から無線のボタンを押して叫んだ。

角田裕毅は自分自身の力で可能性を切り拓いてみせたphoto by BOOZY

角田裕毅は自分自身の力で可能性を切り拓いてみせたphoto by BOOZY



僚友アービッド・リンドブラッドから1.028秒もの後れを取り、17位でQ1敗退。マシン本来の速さからはほど遠い結果に、角田はフラストレーションを爆発させた。

モンツァの長いストレートでは、想定よりも早くエネルギーが切れる症状に、フリー走行から何度も苦しめられていたからだ。

「僕自身(のドライビング)がそれを引き起こしたのかどうかはわかりませんけど、僕がコントロールできる問題ではなかったと思います。たったふたつのコーナーしかないセクター1だけで0.5秒くらい失っていましたし、2回のランともストレートだけで0.5秒は失っていたので」

これが2026年型マシンの難しさだ。長いストレートが4本もあり、エネルギー管理が難しく、それをミスすればラップタイムに及ぼす影響が大きくなる。

ピットアウト後にタイヤウォームアップをしながらのリチャージ(充電)、アタック直前にスロットルをどこで全開にするのかの見極め、あるいは全開にせずターボ過給を上げて安定させるための微妙な操作......等々。角田が完璧にやったつもりでも、オランダGPの舞台ザントフォールトとは違って、よりシビアな対応が求められる。

わずかでも充電量が不十分な状態でアタックに入れば、その分だけ1周で使えるエネルギー量は少なくなり、ストレートが長いモンツァでは大きな痛手になるからだ。

「予選での問題は、僕自身のアウトラップのエネルギーマネジメントのための準備と、少しマシン側の問題が合わさった結果でした。それでQ1敗退になってしまうくらい大きなロスを喫してしまったんですけど、速さがあっただけにフラストレーションもありました」

【僚友リンドブラッドと同等のペース】他車のペナルティによって、角田は15番グリッドからのスタート。マシンのペースがよかっただけに、まだ入賞のチャンスをあきらめてはいなかった。

ハードタイヤでスタートし、可能なかぎりステイアウトして、前がクリーンな状態で本来の速さを生かす戦略。グリッド降格ペナルティを採ったアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG)も同じ戦略だった。

しかし、2周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が大クラッシュを喫したことで赤旗中断となり、全車がここでタイヤ交換。ほとんどのドライバーが残り50周を無交換で走りきるレースとなったが、すでにハードタイヤを履いていた角田はミディアムを履かざるを得ず、苦しい展開になった。

それでも再スタートで14番グリッドから10位まで浮上し、さらにオリバー・ベアマン(ハース)を抜いて9位へ。僚友リンドブラッドの背後でほぼ同等のペースを刻み、後続を引き離していった。

「この2026年型マシンが、燃料の重たいスタート直後の1周目にどんな挙動を見せるのか、あまり経験値はなかった。最初のスタートではちょっとコンサバティブ(保守的)にいったんですけど、2回目のスタートはその経験を生かして、ちょっとプッシュしました」

1セットのタイヤで最後まで走りきるために、高速コーナーではタイヤへの負荷を抑えながらマネジメントをした。テレメトリーでデータを確認するチームからのアドバイスを受けながら、角田もプッシュレベルを提案しつつアジャストしていく。

モンツァで圧倒的な速さを発揮したアルピーヌのフランコ・コラピントを抑えることはできなかった。だが、アウディやハースは寄せつけることなく、53周を走りきって10位フィニッシュ。

「今まで経験してきたのとは、まったく違う新しいレースでした。(マリオカートの)キノコか何かわかりませんけど、それみたいなブーストがあったり、それによって駆け引きがあったり。データ上ではどうすればいいかわかっていても、実際のレースでは何が起きるかわかりません。それは実戦のなかで学んでいくしかないので、そこにかなり素早く適応できたことにはすごく満足しています」

【2レースで実力を証明し結果を出した】赤旗からのスタート時にはグリッドを間違えそうになり、審議対象になる場面もあった。だが、寸前に気づいて本来のグリッドにつけたことで、なんとかペナルティは回避した。

予選でのミスとフラストレーションで、レース週末を台無しにしてもおかしくない状況から、決勝では冷静かつクレバー、そして要所では角田らしいアグレッシブな走りで見事に立ち直った。

オランダでは「実力」を証明し、イタリアでは「結果」を出してみせた。

これがどんな未来を切り拓くことになるのかはわからない。だが、角田が自分自身の力で可能性を切り拓いてみせたことは確かだ。

◆つづく>>



米家峰起●取材・文text by Mineoki Yoneya

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