【男子バレー】髙橋藍のサーブはなぜ効果的なのかエンドラインに立つだけで観客の期待値はグッと高まる

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【男子バレー】髙橋藍のサーブはなぜ効果的なのかエンドラインに立つだけで観客の期待値はグッと高まる

9月7日(月) 16:35

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手のひらで転がすとは、まさにこのこと。そう思わずにはいられなかった。

9月6日に行なわれたバレーボール男子アジア選手権の予選ラウンド第2戦、日本代表のエース髙橋藍(ボグダンカ・LUK・ルブリン/ポーランド)はバーレーンのレシーブを翻弄した。

試合の流れを一気に変えた髙橋藍のサーブphoto by Sunao Noto(a presto)

試合の流れを一気に変えた髙橋藍のサーブphoto by Sunao Noto(a presto)



象徴的だったのは、第2セットだ。

12-8の場面から髙橋がエンドラインに立つと、まずはショートサーブで相手アウトサイドヒッターの手前にボールを打ち込む。すると、レシーブされたボールはネットを越えて自陣へ。それを石川祐希(ジラート・バンク・アンカラ/トルコ)がダイレクトで叩き込み、まずは1度目のブレイクを演出する。

その次は、プレー開始のホイッスルが吹かれると同時に、間髪入れずサーブを打ち込む。通常、サーブを打つ時はアタックと同様にジャンプし、高い打点からボールを放つものだが、この時はスタンディングの状態から。それは「クイックスタート」と呼べる、奇襲的なサーブだった。

「相手が準備できておらず、それでいて自分のサーブに苦しんでいる状況だったので、不意にサーブを打ちこむことによって、相手に悪い状況でコンビを組ませる狙いがありました」と髙橋。結果的に日本がブロックで仕留め、またしても追加点を挙げた。

日本のターンは、まだまだ終わらない。続くプレーでも髙橋は、再びショートサーブで相手リベロのレシーブを乱し、日本のブロックシャットをお膳立てする。

そこからバーレーンはメンバーチェンジを繰り出した。だが、髙橋は次のプレーもしっかりと前衛のミドルブロッカーに捕球させる戦術的なサーブを打ち込み、トランジションアタックを石川が締めて、さらに加点する。

そうしてバーレーンのタイムアウト明けにもブレイクに成功(ここでは髙橋のサーブがネットにかかりながらも相手コートに。レシーブもやや乱れ、バーレーンのセッターがアンダーハンドで2本目のパスを上げる形となった)。

17-8から、最後はサーブがネットに刺さり、そこで一旦区切りがついた。だが、髙橋のサーブによって5度のブレイクを重ね、このセットを決定づけたのである。

【相手の足がまるで動いていなかった】緩急をつけることで、相手レシーブを揺さぶる。髙橋のショートサーブは、実に効果的だ。

そもそも本人は、「ショートサーブのバリエーションについて、それほど意識したことがなかった」と言っていた。だが、自身の備える武器へと磨き上げたのは、海外でプレーした経験が大きかったという。2023-24シーズンのイタリア・セリエAで所属先のモンツァをリーグ準優勝に導き、日本代表に合流した際、このように語っていた。

「特に海外の選手は、ショートサーブへの対応が苦手な印象を受けました。また、自分自身も強いサーブが入らない時はショートサーブを混ぜるなど、サーブのコンディションを整えるための方法が必要と感じていました。

やはり、まずはミスをしないことがサーブにおいて一番重要ですから。ショートサーブに取り組み、今では同じモーションから短い軌道や強いボールを打ち分ける感覚が身につきました」

さらにこれより以前は、「相手がどのサーブを待っているのかを読みつつ、自分の感覚でサーブの種類を決めています」と話していた。海外でプレーするなかで、より理論的に、かつ技術的にもショートサーブを向上させたというわけだ。

もちろんショートサーブだけでなく、時に力強く、時にコースを狙いすまして放つサーブがあってこそ、こうしたバリエーションの多さが相手にとっては何よりの脅威となる。実際に、髙橋のサーブがいかに脅威であるかは数字の上でも明確だ。

2025-26シーズンの大同生命SVリーグでは、サーブ効果率14.0%で全体3位に入り、サーブ得点は57本で西田有志(大阪ブルテオン)と並ぶ2位タイだった。さらに今年のネーションズリーグにおいても、24本のサービスエースを奪い、同部門2位に名前を連ねている。

やはり相手からすれば、髙橋がエンドラインに立つだけで警戒せざるを得ない。このアジア選手権においても、予選ラウンド初戦のオマーン戦(9月4日)では第1セットでさっそく連続サービスエースを決めている。それも2本ともショートサーブであり、相手のレシーバーたちは足がまるで動いていなかった。

【大会トップのサービスエース決定数】同様にこの日のバーレーン戦でも、第1セットで連続サービスエースを奪ってみせた。だが、ここでは1本目が相手コートのコーナーをつく鋭い打球で、2本目が相手リベロにうまくレシーブさせないショートサーブ。「1本目が強打だったので、相手もかなり深めに守っているなと感じました。前後に揺さぶりたいと考えた結果、うまくハマりました」と、髙橋はしたり顔だ。

試合の流れをつかむうえで、サーブポイントは絶大な効果がある。髙橋の言葉が続く。

「やはり第1セットの出だしは、その試合自体のリズムや展開をつくっていくうえで非常に重要ですから。そこは自分自身、とても意識していました。得点することでチームも精神的にラクに試合を運べ、プレーがやりやすくなるからこそ、どんどんいい動きが出てきますよね。それを自分のサーブからつくり出していきたい、その思いで第1セットはサーブを打っていました」

現在、アジア選手権において髙橋のサービスエース8本は、堂々の大会トップの数字だ(9月6日終了時点)。なおかつ「日本はブロックディフェンスがいいですから」と本人も話すように、チームの強みを最大限に発揮するうえで、その効果的かつ戦術的なサーブは、大きな手立てとなっている。

髙橋がサーブの構えに入る。見ている者の期待値がグッと高まるのは、そのせいだ。

坂口功将●取材・文text by Kosuke Sakaguchi

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