東京国際映画祭、3つの新機軸日本映画部門に2つの賞を新設&川喜多かしこ映画文化賞の創設など

「川喜多かしこ映画文化賞」を受賞する秦早穗子氏

東京国際映画祭、3つの新機軸日本映画部門に2つの賞を新設&川喜多かしこ映画文化賞の創設など

9月7日(月) 9:00

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10月26日に開幕する第39回東京国際映画祭(TIFF)が、本年度からスタートする新たな取り組みを発表した。日本映画部門内での新賞創設、東南アジアとの共創部門の設置、映画界に貢献した女性を顕彰する新賞の贈賞という、3つの新基軸を打ち出している。

まず、日本映画の「今」を世界へ発信してきた「Nippon Cinema Now」部門で、本年から「Nippon Cinema Now作品賞」と「Nippon Cinema Now審査委員特別賞」の2つの賞を新設する。審査委員には海外の識者も招き、国際的な視点から日本の才能を発掘。本賞を通じて、日本映画の新たな可能性を世界へ羽ばたかせる狙いだ。

2つ目は、国際交流基金(JF)との共催による新部門「CROSSCUT ASIA+(クロスカットアジア・プラス)」。かつて東南アジアの豊かな映画文化を紹介した「国際交流基金アジアセンタpresents CROSSCUT ASIA」(2014~2019年)の趣旨を受け継ぐプロジェクトだ。同地域と日本の気鋭の映画プログラマーが毎年異なるテーマを設定し、協働して厳選した作品を上映する。第1回となる今回は、日本のプログラマー・上田真之氏と、ジャカルタを拠点とするラスリーン氏を迎え、「Side by Side」をテーマにクラシックから最新作までの計6作品を上映する(上映作品は下部に記載)。

3つ目の基軸は、「女性による、女性のための顕彰事業」として国内外の映画文化振興に成果をあげた人物に贈られる「川喜多かしこ映画文化賞」の創設だ。同賞は、戦前・戦後にわたり欧州の名作を日本に紹介し、国立映画アーカイブの前身である東京国立近代美術館フィルムセンターの立ち上げに尽力するなど、「マダム・カワキタ」として東西映画文化の架け橋となった川喜多かしこ氏の功績を称えるもの。

記念すべき第1回の受賞者には、映画評論家の秦早穗子氏が決定した。秦氏は1950年代からフランスで「勝手にしやがれ」「太陽がいっぱい」「ぼくの伯父さん」などの名作を買い付けて日本へ紹介し、ジャーナリスト・批評家として長年にわたり世界の映画文化交流に多大な貢献を果たしたことで知られる。受賞を受けて、秦氏からコメントも到着した。

■【秦早穗子氏コメント】
川喜多かしこ映画文化賞、第1回にというお話をいただいた時、辞退を決心した。かしこ夫人は、戦前・戦後を通して、女たちが参加も許されなかった時代、映画の輸出入、わけても選択に独自の目を持って活躍された。今も続く映画史の1頁であり、女の暦史でもある。ある時、かしこ夫人は、私に囁かれた。「女として、忍耐の場、いろいろありますものね」実に、意味深い言葉。そのことを、つとにお伝えしたく、賞をいただくことを決意した。

■「CROSSCUT ASIA+」部門上映作品
①「フィリピニャーナ」(英題:Filipiñana)
監督: ラファエル・マニュエル(Rafael Manuel) 2026年/シンガポール、イギリス、フィリピン、フランス、オランダ
あらすじ: 富裕層が集うカントリークラブで働きはじめる新人イサベル。客と従業員が別世界を生きるその場所で、次第にその華やかさの裏にあるものを知っていく。

②「プルティウィをめぐる4つの季節」(英題:Four Seasons in Java)
監督: カミラ・アンディニ(Kamila Andini) 2026年/インドネシア、フランス、オランダ、ノルウェー、サウジアラビア、シンガポール、ポーランド
あらすじ: 長い服役を終え、故郷へ帰るプルティウィ。息苦しい村で、行き場を失った者たちと、もう一度生きる道を探していく。

③「人間に生まれるなら」(英題:Becoming Human)
監督: ポレン・リー(Polen Ly) 2025年/カンボジア
あらすじ: 都市化が進むカンボジア。古い映画館の守護霊は、生まれ変わるか、人間の友人とともに居場所のない幽霊としてこの世に留まるか、選択を迫られる。

④「トゥラン」(英題:Turang)
監督: バクティアル・シアギアン(Bachtiar Siagian) 1957年/インドネシア
あらすじ: 再発見されたインドネシア映画。独立戦争下のタナ・カロで、負傷したルスリと彼を介抱するティピの恋と、オランダ軍に抗い生き抜こうとする村人たちを描く。

⑤「未明のとき」(英題:Small Hours of the Night)
監督: ダニエル・フイ(Daniel Hui) 2024年/シンガポール
あらすじ: 独立直後のシンガポール。暗い部屋で女性が男に尋問される。長い一夜、奇妙な墓石裁判をめぐる声が二人に憑き纏い、アイデンティティの境界が揺らぐ。

⑥「瞬く光の陰で」(英題:Behind The Flickering Light: The Archive)
監督: ハフィズ・ランチャジャレ(Hafiz Rancajale) 2013年/インドネシア
あらすじ: 映画保存に生涯を捧げたミスバッハ・ユサ・ビラン。インドネシアに東南アジア初のシネマテークを築いた歩みと、危機に瀕するその現在を見つめる。

【作品情報】
・ 勝手にしやがれ

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撮影 名和真紀子(掲載 『婦人画報』)
映画.com

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