ネット通販が普及し、非対面での受け取りが当たり前になった現代において、置き配は便利なシステムとして機能している。だが、玄関先という公私が曖昧な設置場所は、思わぬご近所トラブルの舞台になってしまうこともあるようだ。
今回は、そんな置き配にまつわる理不尽な体験をした藤田美咲さん(仮名・34歳)にお話をお聞きした。
置き配した荷物が開封されている
「ある日、いつものようにネット通販で商品を購入して、置き配を依頼した時のことです。家はアパートの角部屋で、それまで何も問題なかったのでそうしていたんですが、ある日、帰宅して置き配してもらった段ボール箱を見たら、ガムテープの封が剥がされていることに気づきました。中身に支障はなかったものの、嫌な感じがしました」
その後も毎回ではないものの、置き配で配送された物が高い確率で開封されている状態が続いた。
「最初は配送業者さんを疑ったんですが、違う業者さんでも開けられていたので、犯人ではないようでした。だとしたら、届いてから開けている人間がいることになりますよね。近くに住んでいる人物が犯人なんじゃないかと思うようになって、気味が悪かったです」
“犯人”は身近な人物だった
不審に思っていたある日、隣の部屋に住んでいる老夫婦の奥さんとすれ違ったので、尋ねてみることにした。
「『置き配すると開けられたりしませんか?』と聞いてたんですが、奥さんは置き配を利用したことがないようで、説明したら『そんな届け方するからやられるのよ』と素っ気なく言われただけでした」
それからしばらく経ったある日、事態は急展開を迎える。
「ドアを開けて外に出ようとしたところ、目の前で隣の老夫婦の旦那が私の置き配の段ボールを開けて、中身を覗き込んでいる現場に遭遇したんです。驚いて『何してるんですか!』と文句を言うと、向こうは気まずそうな顔をして、そそくさと自分の部屋へ退散していきました」
その翌日、藤田さん宅に奥さんがやってきたのだが……。
「謝罪に来たんだと思っていました。ですが、奥さんは口を開くなり、『うちの主人を迷惑者扱いするな!盗んだわけでもないし、中を見られたくらいで文句を言うな!』と激しい口調で怒鳴ってきたんです。『人の荷物を勝手に開封して中を見るのはおかしい』と冷静に伝えたんですが、一切聞く耳を持たず、話は平行線のまま……。奥さんは怒り心頭の様子で部屋に戻っていきました」
置き配をやめたら、今度はポストを…
その後も置き配した荷物の封が破られる状況が続いた。
「あまりにも理不尽で管理会社へ報告することにしました。管理会社には『注意する』と言われたので、それで終わるだろうと思っていたんですが……全然変わりませんでした。それどころか、開封される頻度は増えてしまう状態でした」
あらためて対策を講じることにしたが……。
「もう一度、管理会社に相談したんですが、その時は違う担当者につながって、その担当者からは『置き配は、指定場所に置かれた時点で注文者の自己責任になるので、管理会社では動けない』と言われてしまいました。調べたところ、法律的にも『間違えた』と言われたらそれまでで、罪には問えないそうでした……」
藤田さんは置き配をやめることにした。
「それで置き配を開けられる被害は止んだんですが、今度は隣人が集合ポストにある私のポストを開けているところを目撃してしまい……。隣人の奥さんと遭遇するたびに逆ギレされるので、ストレスも溜まっていて……。数カ月後に更新が控えていたので、結局、引っ越すことにしました」
悪いことをしているという自覚がない人間にとって、信用のうえに成り立つ置き配というシステムは、興味を満たすおもちゃとなってしまうのかもしれない。
<TEXT/ 和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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