「バックルームズ」世界中で注目を集める“21歳”ケイン・パーソンズ監督が来日小島秀夫と“創造力”について語り合う

ケイン・パーソンズ

「バックルームズ」世界中で注目を集める“21歳”ケイン・パーソンズ監督が来日小島秀夫と“創造力”について語り合う

9月5日(土) 7:00

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映画「バックルームズ」の日本公開を記念し、世界中から注目を集めるケイン・パーソンズ監督が来日。9月4日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた舞台挨拶イベントに登壇し、スペシャルゲストとして参加した小島秀夫(ゲームクリエイター)と“創造力”について語り合った。

16歳で発表したYouTube短編動画「The Backrooms (Found Footage)」が伝説となり、17歳で映画化を企画、19歳で撮影をしたパーソンズ(現21歳)。本作はA24とタッグを組んだ長編初デビュー作であり、5月29日からスタートした全米公開時には、初週末で興収8100万ドル(約129億円)を突破。前週に公開された「スター・ウォーズマンダロリアン・アンド・グローグー」の興収を上回り、初週全米1位を獲得。さらに初週末の世界興収は1億1800万ドル(約188億円)に達し、世界興収ランキングでも1位を記録。パーソンズ監督はアメリカ含む世界48カ国で初登場1位の映画を生み出した“史上最年少監督”となり、YouTube発のクリエイターが映画史を塗り替えるという、歴史的快挙を成し遂げた。

パーソンズ監督は「僕は『バックルームズ』というアイデアに何年も取り組み、それが世界中に広まりました。これほど多くの人々に届いたのを見るのは、とても奇妙な感覚です。そして会場に足を運んでいただいた皆さんには感謝を伝えたいです」と挨拶。初来日の感想を求められると「テクノロジーとアートが融合する建築などの芸術文化が素晴らしく、これまで訪れた国の中で一番好きかもしれない。そんな日本で近い将来、素晴らしいクリエイターとコラボできたら嬉しいです」とお気に入りの様子だ。

一方、小島はそんな若き俊英に本作をイメージした黄色い花束を贈呈。本編鑑賞前の観客に向けて「デジタルで育った人がデジタルの感覚をアナログのフィルムに焼き込んだらこんなに凄いという。そんな特別な体験になると思います」と予告した。

パーソンズ監督が映像クリエイターとしてスタートしたのは2021年頃。3Dソフトウェアを使用してリアルな「進撃の巨人」風アニメを作り始めたのがきっかけだ。そこからフォロワーを増やし、翌年から「バックルームズ」の原型となる短編映像を製作。大きな反響を受けて、17歳の段階で本作を配給するA24からコンタクトを受けたという。

19歳で本作を撮影したという事実に小島もビックリ。「僕は23歳で『メタルギア・ソリッド』を作って、A24から連絡があったのは59歳くらい。本当に羨ましい。僕の若い頃にはA24はなかったけれど、早く連絡してくれれば良かったのに…」と笑わせた。

既に本作を鑑賞した小島は「彼はデジタル世代でゲーマー。ゲーム的3D空間で捉える感覚があるのか、普通の映画の作り方をしているのに結構違う3D空間の感覚を二次元に投げ出して、違和感のある特殊な作りをしている。そこにまずビックリ。エンタメだけれどアートで、物語の構造も面白く、サウンドを含めてクレバーな事をしている」と分析。「嫉妬を覚えるくらい、これは勝てないなと思った」と告白。そして「観ている自分も吸い込まれていくような、自分の立ち位置が曖昧になる違和感があって、最初は何が怖いのかわからない。映画を観た後に皆で語り合って、さらにもう一度観るという楽しみが本作の醍醐味であり新しさ。若い世代やるなあと思った」と新たな才能を絶賛した。

さらに小島は「デジタルで育った彼がアナログで作ったものが新しいエンタメになっているのが凄い。僕はアナログで育ってデジタルというゲームを作ったけれど、それと同じようなバランスでケイン監督は新しいものを作っている。デジタル世代ならではの感覚が羨ましいと思うと同時に、自分との共通点がある事に驚きもあった」とシンパシーを感じていた。

製作にあたり、パーソンズ監督は「まるでメモリーゲームをプレイしているかのような臨場感と没入感」を意識したという。これに小島は「観客をあまりにも過ぎる異空間に入れてしまとポカンとされてしまうけれど『バックルームズ』が上手いのは、現実と地続きである事」「物語の舞台となる建物自体は変わった風景ではない。でも何かが違うという違和感。常に自分と近い距離の異空間をいかに作るのかが巧みで、観客の脳が徐々に違和感を理解していくような工夫がなされている。ケイン監督がゲームに慣れ親しんできたからなのか、特に音の使い方や配置が普通の映画監督とは違うと思う」と指摘した。

パーソンズ監督は小島のトップクリエイターならではの着眼点に満面の笑みで「スコアの作曲やサウンドデザインのプロセスにも密接に関わりました。アプローチとしては完全なサントラを作った後に、編集した映像に合わせて音のレイヤーを重ねたり、リミックスしたり、リバーブをかけたり、曲をあえて効果音のように使用したりもしました。使い方としてはゲームでの音の使い方に近いかもしれません。蛍光灯のノイズ一つにしてもトーンを変えたり、登場人物の反応に対して意図的に音を入れたりして。同時にその上に変な音が付いているという形にもしています」とマニアックなこだわりを明かして場を沸かせていた。

【作品情報】
・ バックルームズ

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