ベストセラー作家・東野圭吾さんのミステリー小説を、松村北斗(SixTONES)と今田美桜の主演で、「正欲」「あゝ、荒野」の岸善幸監督が映画化した「白鳥とコウモリ」が公開を迎える。
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【フォトギャラリー】松村北斗&今田美桜が“禁断のバディ”「白鳥とコウモリ」インタビューカット
解決したはずの殺人事件の容疑者の息子と被害者の娘が出会い、事件の真相を追う姿を描き出す物語。主演の2人はそれぞれの難しい立場や関係性を繊細に表現し、柄本佑、中村芝翫、井川遥、吉田羊、風吹ジュン、三浦友和らベテラン俳優陣が、登場人物たちの複雑な心理描写を気迫に満ちた演技で体現。このほど主演として初共演となった松村と今田がインタビューに応じ、作品と撮影について語った。(取材・文/編集部、撮影/間庭裕基)
▼原作や脚本を読んだ感想と、それぞれの役づくり
――まずは原作や脚本を読んだ印象はいかがでしたか?
松村:台本になった時に改めて感じたのですが、原作もそうだったように、ミステリーが物語の道筋になっていく中で、親子であったり、この2人の関係性が生まれて変化していくところ、そして時間の進み方がきゅっと変わるんです。僕としては、ミステリーや謎解きで頭を悩ませている時の慌ただしいスピード感と、向き合った時に時が止まるような「1秒の長さをリアルに感じられる感覚」を原作の時から受けていて、台本になった時もそれを思いながら読んでいました。ト書きで書かれているシーンも多くて、「ここは結構さらっと進むのかな?」と思ったら、現場ではセリフがなくてもじっくりと2人の時間が描かれていて。1秒の長さの扱い方が原作も魅力的で、岸監督の映画でもそこがすごく魅力的に描かれているなと感じました。
今田:ミステリーって原作だと上下巻があってしっかり描かれている分、映像化は難しいのかなと思っていたんです。でも脚本には、それぞれのキャラクターの感情がすごく丁寧に描かれていて、リアルに想像でき、物語に没頭しました。原作の魅力を約2時間半にぎゅっとまとめつつ、変わらず丁寧に描かれていてすごいなと思いました。
――役作りのための準備について教えてください。
松村:父親との絆というか、親子の距離感や思い出って本当に人それぞれだと思うんですけど、劇中の親子は割と強固で、ある意味で友情にも近いようなものがありそうだなと。ただ、劇中では本当に直接対面しないままお芝居をしなきゃいけないので。それでも父親の話はたくさん出てくるので、常に頭には浮かんでいなきゃいけない。ここの準備は「あれをこうしました」ということ以上に、自分なりに色々と模索しながら取り組んだところでしたね。
今田:特別に何かをやったというよりは、原作や脚本を元に想像力を膨らませながら臨んだことが一番大きかったです。あとは現場に入ってからですね。吉田羊さん演じるお母さんの存在が大きく、クランクインして割と早い段階でお葬式のシーンがあったのですが、そういう場面から撮影に入って、羊さんと2人で役を作っていけたのはすごく大きかったと思います。
▼現場での空気感と、演技の中で生まれた“化学反応”は?
――非常に過酷な宿命を背負ったお二人ですが、現場の空気感や、演技の中で生まれた「化学反応」について教えてください。
松村:やはり、物語の設定上、まず2人が揃ったときの現場の雰囲気が、物々しい感じで……もちろん、お互い大人だから普通にしていましたけど(笑)。それぞれが撮影してきた日数があって、現場で信頼関係を築いてきたからこそ、合流した時に「友達の友達に会ったような感じ」があって、話しやすかったんです。
今田:2人のシーンが多いとはいえ、撮影の日数がたくさんあったわけでもなかったんです。そんな中で、作品的な緊張感はありつつも、すごく和やかだったなという印象があります。いつが初めましてだったか分からないくらい、ナチュラルで自然な感じがありました。
松村:どこが初対面だったか覚えていないですが、ずっと同じ場所(隅田川のテラス等)にいましたもんね(笑)。
今田:化学反応とは違うかもしれませんが……松村さんのその場を惹き付ける力がすごいなと感じていました。そこに私は巻き込んでいただいたような感覚がありました。
松村:いや、そんな(笑)。面白いなと思ったのは、2人は割と体格差もあるのですが、美令の強さに和真が引っ張られていく時間があるんです。2人がきちんと接触するシーンって、ちょっと和真が怖く見えるというか、奇妙に見えるんです。視覚情報として体格差があるのに、芯のある相手と対峙した時、その体格差がまるでなくなったかのように気圧される感じ。見た目であったり声色であったり、いろんなものが相まってすごく自然に真逆にひっくり返る。結構そこが好きなシーンで、それはもしかしたら化学反応と言っても良いのかなって思います。
――主演としての現場での振る舞いや、気遣いについて意識されたことはありますか?
松村:僕はもう本当に他の作品と変わりなく、という感じで臨みました。割と「監督の下についている」という意識が強いのかもしれません。お互いに「主演らしく仕切ってやるぞ」という感じでもなく、気張っているわけでもないですけど、自然体に現場にいられたのかなと思います。
今田:私もあまり引っ張っていけるタイプではないので、主演でもそうでなくとも、自分が一番自然体でいることがベストかなと思っています。ただ、ずっと現場に一番長くいるスタッフさんと一緒に作る空気感は、その現場現場で変わってくる気はしているので、そこは意識しているというか、先輩方の様子を見て私も見習っています。
▼お互いの第一印象と、共演後の変化
――共演前のお互いの印象と、実際に共演してみての変化について教えてください。
今田:松村さんはもっとクールであまりしゃべらない方かなと思っていたんですけど、全然違いました(笑)。テレビのまんまで知識も豊富だし、おしゃべりも上手で、すごくよく笑われる方だったのでびっくりしました。
松村:やたら薬膳の効能を覚えているとか……身にならない情報をいっぱい喋りましたね(笑)。僕は割と今田さんに対して、シャキッとされているイメージというか、勝手に「仕事人」っぽいイメージを持っていました。だから、同じシーンの時は注意深くペースを合わせようと思っていたんです。ですが、どちらかというと穏やかで、とても人当たりが良くて、友達がたくさんいそうなできた方だなあ……と、尊敬の眼差しで現場を過ごさせていただきました。
こんなこと言うのは偉そうですが……お芝居の面で、一番強烈に思ったのは、僕が苦手なところをひょいっとやってのけてしまわれた部分です。監督との会話の中で、元々ご本人の中にあったものとは違う解釈の演出が入った時、次のテイクでドンピシャそこに当ててくるんです。まず理解力が高いですし、僕が横で聞いていて「どういうことだったんだろう」と若干理解しきれなかったところを、本番の演技で納得させてくださって。そこの理解力と出力までの速さと的確さに驚かされました。
今田:そう言っていただけるのはすごく嬉しいです。ありがとうございます。
▼複雑な役柄と現場での距離感
――役柄の複雑な関係性と、撮影現場での距離感や空気感についてはいかがでしたか?
今田:意識して「こういなきゃ」と決めていた記憶はあまりないですね。どちらかというと、和真とのシーンではなく、白石家のシーンでぐっとつらい瞬間が多かったので、2人のシーンだからこうしていようと考えていた記憶はあまりないです。
松村:そうですね、お互いにコミュニケーションに対して責任を持っていなかった感じがします。楽しく話したかったら話せばいいし、素っ気なくしたかったら素っ気なくしていて、そこに後味を残さないというか。本編の内容がちょっと特殊だからこそ、普段の距離感が作品に影響しなかったのが良かったなと思っています。
今田:本当に友達の友達、みたいな関係でいられましたね。
▼岸善幸監督の演出で印象に残っていることはありますか?
松村: 岸監督は演出の話だけでなく、すっと寄ってきて「すごくいいシーンですよね」「昨日撮ったシーンを見返したんですけど、すごく良くて」みたいに、作品に対する熱量やたわいない話をたくさんしてくれるんです。
今田: そうですね!最初にガチガチに演出を指示されるというより、一度任せてくださった上で、会話の中から一緒にシーンを作っていく感覚があって、すごく楽しかったです。
▼ベテラン共演者からの学びとアドバイス
――ベテランの共演者の方々との撮影で、学びになったことや貰ったアドバイスはありますか?
松村:三浦友和さんと、無言でたたずむシーンで、少し離れた場所で待っていたんです。それまでご挨拶程度の間柄だったんですけど、寄ってきてくださって「『夜明けのすべて』を見た」と、一言で褒めてくださって。僕が恐縮しているうちに「そういうことだから」と言って去っていかれたんです(笑)。僕自身は誤解がないようにたくさん言葉をつけちゃうタイプなので、だらだら言わずに、伝えたいことを1個ドンと伝えて去っていく姿がめちゃくちゃかっこよくて。「僕もああやって人を褒められる度量のデカい人になりたいな」と思いました。
今田:私は柄本佑さんとのシーンが多かったのですが、最初のカフェで対峙して話すシーンですごく緊張していたんです。そうしたら柄本さんが「劇中でいかにお茶を飲めるかチャレンジをしてるんだ」と気さくに話してくださって、すごくほっとしました。後でプロデューサーさんに聞いたら、原作者の東野さんが「その刑事のキャラクターはお茶を飲む設定」と仰っていたとお伺いし、それを自然とチャレンジとして取り入れられている姿勢に感動し、圧倒されました。
▼常滑でのロケと「招き猫」エピソード
――地方ロケでの印象的なエピソードはありましたか?
松村:ロケのエピソードでいうと、常滑に来たからには、招き猫が欲しくないか?と今田さんと話をしていました。最初は小さいのでいいかな…と思っていたのですが、でもやっぱり、最終的にはでっかいのが欲しくなったんですよ。そして、「今田さん、こういう時は50センチとか買いましょう!15号でしたっけ、買った方がいいと思いますよ、僕は見つけ次第買いますよ!」って何度も言っていたんです。そうしたら偶然、常滑市長がいらっしゃって「大きなサイズが欲しいんです」とお話ししたら、事務所に巨大招き猫を送ってくださいました(笑)。
自宅に自分の好きなものを飾る場所があるのでそこに置いています。ミニチュアのコレクションが多いので、そこに今、黒いでっかいのが鎮座していて、「インデペンデンス・デイ」みたいな世界観になっています(笑)。
今田:メンバーカラーの黒ですよね。私は小さいサイズの招き猫をいただきました。
犯罪の理由や犯人捜しなど謎解きミステリーの側面だけでなく、罪と罰、そして人間の善性にもフォーカスした重厚なドラマに仕上がった本作、数奇な運命で巡り合ったふたりのその後、事件の真実をぜひスクリーンで見届けてほしい。
【作品情報】
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白鳥とコウモリ
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