世界一の富豪イーロン・マスクを4年近く追ったドキュメンタリー「Musk(原題)」がベネチア国際映画祭でワールドプレミアを迎えると、米ハリウッド・リポーターが伝えている。テスラやスペースXを率いる米実業家の実像に迫る作品で、上映時間は3時間45分にのぼる。
メガホンを取ったのはアレックス・ギブニー監督だ。米軍による捕虜への虐待を追った「『闇』へ」で、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受けている。新興宗教の内側に踏み込んだ「ゴーイング・クリアサイエントロジーと信仰という監禁」、大企業の破綻を追った「エンロン巨大企業はいかにして崩壊したのか?」も手がけた。ロシアのプーチン大統領やカトリック教会の性的虐待にも切り込んでおり、力を持つ相手と正面から向き合ってきた映画作家だ。
取材が始まったのは2022年で、2024年末にはいったん2時間の作品として仕上がっていた。だが、マスクがトランプ大統領の再選を支え、政権の中枢に入ったことで継続したという。撮影はそこからさらに2年近く延び、一時、映画は6時間に達したという。
ギブニー監督が描き出すのは、できもしないことを大きく語って信用を集めてきた人物だ。その力を支えているのは株価であり、話が誇張だと見抜かれれば力も消える。ただ、それまでのあいだに与える損害は大きい。マスクが求めているのは富や地位ではなく、選挙で入れ替わる政権よりも長く続く支配力だ、というのが監督の見方になる。
ギブニー監督は、こう話している。
「あれだけの金持ちなのだから、まともな人間に違いない。みんなそう思い込んでいる。だが、まともではない人間が、あれだけの金と力を持っている。そのほうが、よっぽど恐ろしい」
「Musk(原題)」は10月に米国で劇場公開され、2027年にHBOで配信される。そのHBOを傘下に持つワーナーは、いまトランプ大統領に近いデビッド・エリソンCEOが率いるパラマウントに買収されようとしている。
【作品情報】
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エンロン巨大企業はいかにして崩壊したのか?
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