時代を先取りした“世紀末ムービー”「逃亡者狂騒曲」20年以上の時を経てデジタル・リマスター版で世界初劇場公開

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時代を先取りした“世紀末ムービー”「逃亡者狂騒曲」20年以上の時を経てデジタル・リマスター版で世界初劇場公開

9月4日(金) 12:00

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台湾人監督として唯一カンヌ国際広告賞の金獅子賞を受賞した、台湾CM界のレジェンドとして知られるワン・チャイシアン(王財祥)監督の長編デビュー作にして、唯一の長編作品「逃亡者狂騒曲」のデジタル・リマスター版が、10月10日よりユーロスペースにて公開されることが決定。あわせて、予告編、メインビジュアル、コメントが公開された。

本作は、1990年代末の台湾に渦巻く焦燥と欲望を、圧倒的な映像美で描き出した伝説の“世紀末ムービー”。1997年のベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品され、実験的な映像表現と大胆な映像言語によって、「台湾ニューシネマ」とは異なる90年代台湾映画の新たな可能性を世界に示しましたが、台湾での公開はわずか数日で打ち切られ、その後長らく「忘れ去られた映画史の伝説」として語られる存在となっていた。

ニューヨークに憧れながら、夜はナイトクラブで働き、昼は恋人と過ごす青年。祭りの夜、偶然殺人事件をビデオカメラに収めたことから、謎の殺し屋に追われる逃亡者となる。混沌とした台北の街をさまよううち、現実と白昼夢の境界は次第に曖昧になり、夢の地・ニューヨークからは疫病の知らせが届く――。

1987年の戒厳令解除後、急速な経済成長と揺れ動く政治状況の中で生まれた、世紀末の台湾が抱える不安や焦燥を、鮮烈な映像美で描き出している「逃亡者狂騒曲」が、デジタル・リマスター版として、20年以上の時を経て、世界初劇場公開。

公開にあわせて、予告編が完成。台湾を代表するロックバンド濁水溪公社のライブシーンも必見の予告編になっている。また、炎の中、殺し屋に追われる主人公たちを捉えた、疾走感溢れるメインビジュアルも公開された。著名人からの寄せられたコメントは下記の通り。

【コメント】
伊藤亜和(文筆家)
名前のない人々の中で、溶岩のように煮えたぎる焦燥。煙たい熱狂が、世紀末の不協和音の中に吸い込まれていくような映像美。用意された清潔な時代の上には決して表れない、自暴自棄的な潔癖に息を呑む。

宇野維正(映画ジャーナリスト)
ワン・チャイシアン監督が捉えた約30年前の台北の情景は、
この世界への無力感とやり場のない怒りに満ちていて、
同時代に活動していた他の台湾の映画作家のいずれとも違う。
当時よりもむしろ2026年の現在、本作の切実さに共鳴する観客は多いのではないか。

ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン・美術家)
1997年台湾の「逃亡者」であるダンサー(もしくはチャイシアン監督)は、同時に1980年代のNYの幻影を追い求める「追跡者」でもある。
結果NYそのものを「逃亡者」へと変貌させてしまった。
そしてパラノイア(偏執)的でかつスキゾフレニア(分裂)的な在り方は、知らず知らずのうちに我々日本をも追いかけられる「逃亡者」に仕立てあげていた。

黒田育世(振付家・ダンサー)
どこで踊ろう。その地点次第で救うもの解かすもの暴くものの手応えが変わるだろう。彼は街の中空の世界を上下に隔てる透明なガラスの上で踊りたがっていた。二十数年封印された彼の踊りの本心は、これからやっと年月と上下という隔たりを救い解かし暴いていく。映画という浮力を帯びて、ガラスが割れてもまだ踊り、記す。

佐野史郎(俳優)
まるで肌をサンドペーパーで撫でられるような映像、音楽、言葉…物語を追うより先に否応なく体が反応してしまい、1990年代の台湾に放り込まれる。
全編を覆う「詩」のまなざし。
国家、経済、家族といった共同幻想体系を容赦なく解体させ、観るものに如何に生きるのかと突きつける。
30年ほど前、確かにそうした共同幻想の不確実性に、バブル経済崩壊後の日本も揺らいでいた。
そして現在。
台湾ヌーヴェルヴァーグともいうべき、今だからこそ尚更に上映の価値あるこの作品から、この先の幸の指針を読み取ることができるだろうか?
国旗の代わりに掲げられ、風になびくモノの姿が心に残る。

松永天馬(アーバンギャルド)
今から逃げる。
過去から未来から逃げる。
バイクが残した轍は詩のように書き殴られた。
それは青春と呼ぶには無軌道で、映画と呼ぶのに相応しい。

【作品情報】
・ 逃亡者狂騒曲

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