「ジュラシック・パーク」の特撮を担ったフィル・ティペット、引退へ

フィル・ティペット

「ジュラシック・パーク」の特撮を担ったフィル・ティペット、引退へ

9月3日(木) 9:00

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「スター・ウォーズ」や「ジュラシック・パーク」の特撮を手がけたフィル・ティペットが引退したと、米地元ニュースサイトのバークレーサイドに明かした。カリフォルニア州バークレーにあった仕事場も畳み、長年ためこんできた模型や資料を週末に売りに出したという。

74歳のティペットは、同サイトの取材にこう答えている。

「この稼業からは引退した。最後の大きな仕事は『トワイライト』シリーズだった」

ティペットは、人形を1コマずつ動かして撮るストップモーションの名手として知られる。ジョージ・ルーカス監督が視覚効果のために設けたインダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)に1975年から加わり、77年の「スター・ウォーズ」ではホログラムのチェス盤の上を動く生き物を任された。以後10年近くILMの中心にいて、「スター・ウォーズ帝国の逆襲」の雪原を走る乗獣トーントーンや四足歩行の巨大兵器AT-AT、「スター・ウォーズジェダイの帰還」の怪物ランコアを動かしている。「ジェダイの帰還」の視覚効果でアカデミー賞の特別業績賞を受けたあと、84年にILMを離れ、妻とともにティペット・スタジオを立ち上げた。

93年の「ジュラシック・パーク」でも、ティペットは当初、恐竜をストップモーションで動かす予定だった。ところが、ILMのデニス・ミューレンらが内々に進めていたCGのテスト映像を見たスティーブン・スピルバーグ監督が、恐竜をすべてCGで作る方針に切り替えた。ティペットは「これで自分は絶滅だ」と漏らしたという。

チームの仕事は大幅に減ったが、ティペットは恐竜の動きの監修として残った。手で動かすとその動きがCGの恐竜に伝わる装置を作り、ストップモーションのアニメーターたちにCGの恐竜を演じさせている。この作品の視覚効果で、ティペットは2度目のアカデミー賞を受けた。

87年の「ロボコップ」では二足歩行の巨大ロボットED-209を、97年の「スターシップ・トゥルーパーズ」では昆虫型の宇宙生物を動かした。自身の監督作「マッドゴッド」は、「ロボコップ2」のあとに撮り始めながら棚上げになり、20年後に倉庫から人形とセットが見つかって制作が再開され、22年に公開された。

ティペット・スタジオが、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用を申請したのは24年5月、インドの視覚効果会社PhantomFXに株式の8割を売った2カ月後のことだ。手続きはいまも続いており、今回の即売会もその一環だという。ティペットは、ハリウッドのスタジオ統合と、製作の誘致をめぐる各地の税制優遇競争が重なったことを、行き詰まりの原因として挙げている。

会場には模型や仮面、絵コンテ、撮影機材までが並んだが、アカデミー賞のトロフィーだけは「これは手元に置く」と外している。バークレーの拠点が閉じたあとも、ティペット・スタジオはカナダのトロントで稼働を続けているという。

【作品情報】
・ マッドゴッド

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Photo by Rosdiana Ciaravolo/Getty Images
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