行定勲監督が出身地・熊本の地域創生を目的とした「くまもと映画プロジェクト」で手がけた中編作品「うつくしいひと」(2016)が8月30日、東京・テアトル新宿で上映された。
7月28日に発生した「令和8年熊本地震」の被災者に対する支援と復興を願う「令和8年熊本地震チャリティ上映会」として、行定監督の呼びかけで実現。上映後には行定監督と、本作の出演者で同じく熊本県出身の俳優・高良健吾が舞台挨拶を行い、故郷への思いを語った。
映画は行定監督のほか、高良や橋本愛、姜尚中、石田えりら出演者も熊本県出身者で、熊本城や夏目漱石旧居、江津湖、菊池渓谷など、同県の名所旧跡で撮影。セリフも熊本弁になっている。行定監督がディレクターを務めた熊本県菊池市で開催の「菊池映画祭2016」(16年3月4~6日開催)で上映された後、期間限定で無料配信。さらにその後、16年4月の熊本地震を受け、各地でチャリティ上映された。
16年の「熊本地震」以降、行定監督は「くまもと復興映画祭」のディレクターを務め、高良も映画祭に参加しながら、さまざまな支援活動を携わってきた。それだけに10年の節目となる今年、再び、甚大な被害をもたらす地震が発生したことに、言葉にできない思いを抱えていることがうかがえた。
高良は「映画を撮った当時(15年10月)は地震が起こるなんて全く思っていなかったし、熊本の皆さんに喜んでほしいという思いで作っていた」と振り返り、「10年という節目で、ある意味、時間の流れが次に進めるんじゃないかという気持ちがあったが、今回また地震が起きて。復興していく様子を見ていたからこそ、地元の人たちも悔しいだろうなと、それ以上の言葉が出てこなかった」と苦しい胸の内を打ち明けた。
行定監督も「この10年間で、くまもと復興映画祭を続けて、たくさんのゲストも来てくれて、熊本が少しずつ元気になっていく実感があったので、また地震が起きてしまい、いま精神的にとても落ち込んでいると思うし、ここからまた辛くなるのかなと思うんです」と被災地に思いを馳せていた。
そして「映画には“伝聞する役割”があると思う。熊本の情緒を知ってほしいという思いでつくった作品だが、だんだんと意味合いが変わりながら、いまは映画が人と人をつないでいる。元気な場所は元気なので、これからも熊本を応援してください」と呼びかけると、高良も「熊本は本当にいい場所だと思っていて、みんなに自慢できる場所。ぜひ足を運んで熊本を好きになってほしいです」と溢れる郷土愛を客席に伝えていた。
舞台挨拶を終えると、行定監督と高良は、劇場ロビーでの募金活動も行い、長い列をなしたファンと言葉を交わしていた。なお、本上映における興行収入は、日本赤十字社を通じて、全て被災地への義援金として寄付される。
【作品情報】
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うつくしいひと
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