数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが韓国発のミステリーサスペンス『顔 -かお-』について語ります。
「40年前に失踪した母の遺体」からはじまる衝撃
今回、わたしがご紹介させていただくのは、映画『新感染』やドラマ『地獄が呼んでいる』などを手がけたヨン・サンホ監督の新作映画『顔 -かお-』です。
盲目の父を持つドンファン。父は生まれつき目が見えないというハンデを持ちながら篆刻家として名を馳せ、“生きる奇跡”とまで呼ばれていた。
自分の夢を叶え、男手ひとつで自分を育て上げた父をドンファンは心から尊敬していた。そんな彼のもとに警察から40年前に失踪した母の遺体が見つかったという連絡が届く。母の過去を辿るうち、衝撃の事実を知る。
自分の価値観を疑わず酷い言葉を振りかざす
とにかくグロテスクな作品でした。
題名通り「顔」が肝になってくるのですが、テーマは美醜にあると感じました。人は美しいものを求め、醜いものに価値はない。
登場人物たちの心のない言葉の数々に「どうしてそんなに平気そうな顔をして酷い言葉を吐けるのか」という疑問が絶えませんでした。
そして、ふと今の世の中と通ずるものを感じました。ネットを覗くと、自分の価値観を疑わず酷い言葉を振りかざす人たちが目立っているように思います。
嫌悪感は虚構ではなく、日常のすぐ傍にある
一人の声がどんどんと膨れ上がり、なかったはずのものまで生まれてしまう恐ろしさ。この映画で感じた嫌悪感は虚構ではなく、日常のすぐ傍にあるものだと感じたとき、監督の伝えたかったものがひとつ理解できた気がしました。
人と人が関わり合う上で避けられないものから私たちは目を背けてはいけない。その考えは本当に自分の内から出てきたものなのか、その言葉は本当に人に投げかけてもいいものなのか。
いま一度、私たちは考えなくてはならない場所にいるんだと思います。皆さんがこの映画を観て何を感じるのか。ぜひ、感じたものを言葉にしてみてください。
『顔 -かお-』
配給/ツイン 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー中© 2025 WOWPOINT, ALL RIGHTS RESERVED.
<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年、月9ドラマ『嘘解きレトリック』でW主演。2026年1月期ドラマ『50分間の恋人』では伊野尾慧とともにW主演、4月期ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』ではヒロインを務め、『エンジェルフライトTHE MOVIE』がプライムビデオで世界独占配信中。今秋スタートの連続テレビ小説『ブラッサム』、10月2日公開の映画『ファーストボイス』、『ママがもうこの世界にいなくても私の命の日記』への出演が控えている
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