「推しは推せるときに推せ」――。いまや一大文化として定着した推し活だが、その熱狂の先には必ず「いつか終わりが来る」という現実が横たわっている。長年アイドルに人生を捧げ、推しの存在を芸人としての武器にも変えてきた男が直面した「推しの卒業」の葛藤に迫る。
推しの卒業を新幹線の中で知った
お笑いコンビ・カラタチの前田壮太氏は、自他ともに認めるアイドルオタク芸人。1000万円あった祖父の遺産が10年間で26万円になるまで時間もお金も捧げてきた。「俺の推しは櫻坂46の武元唯衣ちゃん」というフレーズを織り交ぜたネタで注目を集め、'24年のM-1グランプリは準決勝まで進出した。
しかし'26年2月5日、武元唯衣がグループからの卒業を発表。前田氏はその知らせを新幹線の中で知ったという。
「大阪での仕事終わりで東京に向かっているとき、SNSを開いたら『唯衣ちゃんが……』『生きてください』と書かれた大量のDMが来ていたんです。調べたら卒業のお知らせでした。そこからどうやって家に帰ったのかもわからない。頭の中が真っ白で何も考えられなかったです」
漫才のネタにも大きく影響
前田氏にとっての“唯衣ちゃん”とは「母親と相方の間くらい大切。心の支えであり仕事でもある存在」だという。この時点ではまだ彼女が芸能活動を続けるのか不明だったため、推し活をやめる覚悟もしていたそうだ。
さらに不幸なことに、カラタチは今年結成15年。M-1のラストイヤーを迎えるタイミングでの卒業発表は、漫才のネタにも大きく影響した。
「今年も唯衣ちゃんネタをするつもりだったのですが、きっとこれも運命。唯衣ちゃんが卒業を僕らのラストイヤーまで待ってくれる期待もあったのですが……。本人からも『すみません』と番組のVTRで謝られてしまいました」
“推しじまい”をすることはなかったが…
しかしその後、武元唯衣は新たな事務所での再始動を報告。結果的に“推しじまい”をすることはなかった。
「彼女が結婚や出産をしたら、一つの区切りになるかもしれません。そのタイミングで、新しい推しができることが一番の理想かもしれない。結局、俺を苦しめるのもアイドルだし、俺を幸せにするのもアイドルなんです」
M-1ラストイヤーへの意気込み
最後にM-1ラストイヤーへの意気込みを語った。
「推しがアイドルを卒業しても、推し活をやめられなかった男の生きざまを見せつける気持ちで挑みます!」
“推しじまい”をやめた一人の芸人に幸あれ。
【芸人 前田壮太氏(カラタチ)】
宮崎県延岡市出身。武元唯衣卒業後も「箱推し」として櫻坂46を応援中。アイドルオタクとなった原点は元AKB48の渡辺麻友
※2026年9月2日号より
取材・文/週刊SPA!編集部
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