自分以外、なんだかみんな楽しそう。自分は、特に楽しみもない、自信もない、ネガティブのかたまり?――そんな人にこそ読んでほしいのが、『セルフ推し活BOOK自分=推しとして過ごすアイデア36』(ワダシノブ著、ワニブックス、2026年6月)です。
〈自分を推しに置き換えたら? もっと大切にできるんじゃないだろうか〉と、“自分推し”最高説を唱えたのが、イラストレーターのワダシノブさん。イタリア人の夫と2人の子どもと、イタリア・トリノで暮らしています(〈〉は同書からの引用、以下同)。
推しの活動休止で「そうだ自分を推せばいい」
「セルフ推し活」という考えが芽生えたのは、ワダさんが推すK-POPグループが活動休止に入ったから。ある日突然、推しがいなくなってしまった空虚感。気力無くしたまま日々をやり過ごすなんて、時間がもったいない。いっそのこと一番身近な自分を推しにしてしまえばいい。そうです、自分だって世界でたったひとり、尊くて推すにふわさしい存在なのです。
あなたにとって“推し”って何でしょうか?元気をもらえる、見ているだけで癒される、人によって様々です。
「彼らも頑張っているのだから、わたしも頑張ろう」、ワダさんにとっては、そんな存在でした。〈彼らの輝きを心の支えにするようになっていた〉というように、日々の辛さや悲しさを緩和してもらったり、努力を共有しているような感覚を覚える人も少なくないでしょう。
SNSで大反響だった「推しは私」というアイデア
推しが活動休止になった時、ワダさんがふと思いついてイラストとともにSNSにアップしたのが、
「推し活をしているの」
「へえ~。誰を推しているの?」
「わたし」
というセリフ。これが想像以上に反響があったといいます。
〈自分で自分を信じて期待する。自分をケアして、機嫌を取っていく〉。シンプルで深く、毎日が楽しくなるに違いない、セルフ推し活。具体例を、本書から紹介しますね。
推しに言わないことは、自分にも言わない
「自分なんかダメだから」「どうせ私には無理」etc. なにかと頭に浮かぶ言葉ですが、これってけっこう危険です。たったひとりの私を、無意識にディスっているのですから。私を推しと考えると、絶対に言えないと思いませんか。
良い成績、良い進学、良い就職。常に周りからのプレッシャーにさらされて、評価されることだけが成功の証だった、というワダさん。自己肯定感が低く、自分を認められない人はたくさんいます。
でも、ワダさんの推しは違いました。難易度の高いダンスの練習を重ね、失敗した映像も公式YouTubeで配信します。〈失敗することを恐れ、何もしないことで自分を守っていたわたしにはまぶしかった〉というように、世間の評価など気にせず、自分が目指すべき道を行く。その潔さは、推しだけではなく、私達にも通じるはずなのです。
〈推しに言わないことわたしにも言わない〉
これってまさに、セルフ推し活のベースではないでしょうか。自分を推しだと思って、かける言葉は「良く頑張っている! いい感じ!」これが最善最強なのです。
推し=自分に、神対応を期待しない
良い人と思われたい、良い人でいたい。そう思うのは自然ですし、人間関係を円滑に保つためにも必要です。でも過剰にサービスしてしまったり、気づかいが過ぎてしまったり。自分の中の“良い人”基準に疲れてしまうこともあります。
ワダさんの推しは、四六時中カメラに張り付かれ、ファンに対しても常に神対応をしていたそうです。「早く休ませてあげたい」と胸を痛めてしまうのは、ファンなら当然でしょう。
自分に置き換えても、同じなのです。いつも良い人である必要はありません。
〈推し(わたし)に神対応を期待しない〉
たまには塩対応でもいいのです。「良い人」の自分はちょっと休憩中、と気持ちを切り替えて、明日の笑顔に備えましょう。
自分の想いを、他人の言葉で上書きしない
流行りのドラマや漫画、素敵なコンテンツに触れるたびに、ネットで誰かの感想を探してしまう。みんなと一緒なら安心で、自分が間違っていないことにホッとする。
推し活ですら、SNSの反応に振り回されてしまう。いつしか、自分の意思が迷子になってしまうことも。
誰かの意見や感想を参考にするのはいいけれど、自分の心から湧き上がる素直な気持ちや感覚をないがしろにするのは、ちょっと違います。
〈他人の言葉で上書きしない〉
映画、音楽、おいしいスイーツなど、毎日は小さなときめきであふれています。よろこびだけではなく、悲しみも辛さも、自分の言葉で表現して、たくさんの感情を味わえたら、日常はもっと色とりどりになるでしょう。
セルフ推し活は、人生を豊かにするツール
なぜか私達は、自分の幸せを後回しにしがちです。自分ファーストやご自愛という風潮もありつつ、なんだか気恥ずかしくて…、という人も多かったのではないでしょうか。
〈「推し(わたし)仕様」に落とし込んでみた〉という本書、一読すれば、あなたの一番の推しはあなただと、改めて気づくはずです。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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