9月19日から23日までの5日間、奈良市内各所で開催される「なら国際映画祭2026」のコンペティション作品18タイトルが発表され、あわせて今回の審査委員長を「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコが務めることがわかった。
奈良の平城遷都1300年にあたる2010年に、映画作家・河瀨直美をエグゼクティブディレクターに迎えて始まった2年に1回開催される「なら国際映画祭」。9回目の開催となる今回、映画祭の核となる「インターナショナルコンペティション」と、世界の学生映像作家を対象とした「NARA-wave学生映画コンペティション」には、世界81カ国から両部門合わせて1438作品が寄せられ、その中から奈良のスクリーンで上映される18作品がついに決定した。
さらに、未来の映画界を担う新たな才能を審査する国際色豊かな審査員も発表。「インターナショナルコンペティション」の審査委員長を務めるのは、「007 慰めの報酬」で世界的な注目を集め、「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」「ブラック・ウィドウ」など、大作からアートハウス作品まで幅広く活躍してきたフランス・ウクライナ人俳優のオルガ・キュリレンコ。審査委員長就任にあたり、「なら国際映画祭インターナショナルコンペティション部門の審査委員長を務められますことを、大変光栄に思います。映画界の新たな、たくましい才能と創造性に出会えること、そして情熱と独創性、そして確かなビジョンによって物語の未来を切り拓いていく映画監督たちを称えられることを、心から楽しみにしています」と、世界から集まる新たな才能との出会いへの期待を寄せている。
審査員には、2010年よりサンダンス映画祭の長編・短編映画部門でシニア・プログラマーを務めるハイディ・ツウィッカーと、長編初監督作「Playground 校庭」でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門の国際映画批評家連盟賞を受賞したベルギーの映画監督ローラ・ワンデル。また「NARA-wave学生映画コンペティション」の審査委員長には、映画、アート、ファッション、音楽などジャンルを横断し、クリエイティブディレクター、キュレーター、プロデューサーとして活躍するローラン・グナシア、審査員はフォトグラファーであり映像監督のレスリー・キーが務める。
選出作品は以下の通り。
▼インターナショナルコンペティション(8作品)
世界の新たな映画作家を発見する「なら国際映画祭」の中核プログラム。長編監督デビュー作、もしくは第二作品までを対象とし、日本初上映であることが条件。優れた作品には、審査員が選出する最高賞「ゴールデンSHIKA賞」や、観客が選ぶ「観客賞」などが贈られる。さらに受賞監督には、奈良を舞台に映画を制作する「NARAtive」プロジェクトの企画案を提出する権利が与えられ、採用されれば次回「NARAtive」の監督として新たな作品を生み出すチャンスが開かれる。
■「ビカミング・ヒューマン」(英題: Becoming Human)【カンボジア】
監督:ポーレン・リー
閉館した映画館の元・守護霊である少女。彼女は自らが生まれ変わる場所を目指し、目まぐるしく変化する街の景色を彷徨い歩く。しかし世界の残酷な現実に打ちのめされた彼女は、再び人間として生き直すのか、それとも居場所のない幽霊のまま漂い続けるのか、選択を迫られる。静けさとファンタジーが交差する、カンボジア発の詩的な物語。
■「ハナミ」(英題: Hanami)【スイス、ポルトガル、カーボベルデ】
監督:デニース・フェルナンデス
生後まもなく、原因不明の病に冒された母・ニアの失踪によって残されたナナ。彼女が高熱に倒れた際、治療のために連れて行かれた火山の麓で目にしたのは、夢と現実の狭間に浮かぶ奇妙な世界だった。それから月日が流れ、ティーンエイジャーとなったナナの前に、姿を消していた母が突如として現れる。アフリカ北西沖に浮かぶ島国・カーボベルデを舞台にした、美しく幻想的な作品。
■「ダンス・ウィズ・レインボー」(英題: A Dance with Rainbows)【台湾】
監督:リー・イーシャン
ボクシングに打ち込む傍ら、母の弁当店を手伝う20歳のリン。一見平穏に見えた家族だったが、父が新しい恋人を家に連れてきたことで、偽りの平穏は崩れ去る。現実から目を背けることを拒んだリンは、血と涙にまみれながら真正面から泥臭く立ち向かっていく。そして傷つきながらも真実と向き合ったとき、彼女は「嘘のない拳にこそ、本当の強さが宿るのだ」と確信する。
■「マリカ」(英題: Malika)【カザフスタン、モルドバ、アイルランド】
監督:ナタリア・ウバロワ
12歳のマリカにとって、母・ローザは世界そのものであり、親友であり、心の支えだった。しかし、母の再婚によって事態は一変する。イスラムの伝統に従い、マリカは実父の家へ移らなければならなくなったのだ。母と暮らし続けてその新しい結婚を壊してしまうのか、それとも母の幸せのために自分を犠牲にするべきか——。マリカは厳格なしきたりと、母との強い絆のはざまで葛藤を余儀なくされる。
■「ファンタジー」(英題: Fantasy)【スロベニア、北マケドニア】
監督:ククラ
スロベニアに暮らすミフリイェ、シナ、ヤスナは親友同士。保守的な社会に縛られることなく、自分らしく生きる彼女たちの日常は、トランスジェンダー女性・ファンタジーとの出会いをきっかけに変化する。4人が共に歩み出すその旅路は、ジェンダーの境界、溢れる欲望、そして自身を見つめ直す、濃密な探求へとつながっていく。
■「ショート・サマー」(英題: Short Summer)【ドイツ、フランス、セルビア】
監督:ナスティア・コルキア
8歳のカティヤは、ロシアの農村で祖父母とともに夏を過ごしている。まるで時間が止まったかのような静けさのなか、大人たちは口を閉ざし、背景で繰り広げられる戦争が人々の生活を破滅させていく。そんななかでも、雲は空を流れ、子どもたちは大人になっていくのだった。
■「1001フレーム」(英題: 1001 Frames)【イラン、アメリカ】
監督:メルヌーシュ・アリア
著名な監督のスタジオで、映画「千夜一夜物語」のシェヘラザード役を射止めようとオーディションに挑む女性キャストたち。しかし、監督の目的が単なるヒロイン選びにとどまらないことに、彼女たちは次第に気づき始める——。フィクションの設定に、ドキュメンタリーを入れ混ぜた、実験的かつ真に迫る作品。
■「ウィンド・リコイルズ 風が吹き戻るとき」(英題: The Wind Recoils)【中国】
監督:シャオ・シャオ
過去のトラウマに苛まれ、精神の淵に立つ法医学者ウー・ドン。数年前に起きた双子の甥たちが遂げた謎の溺死事故——その記憶から逃れられぬまま、彼は一族の祠堂の再建のため故郷を訪れる。霧に覆われた山深い村で、彼は自らの中に潜む底知れぬ不安と恐怖に対峙していく。
▼NARA-wave学生映画コンペティション(10作品)
■「ランニング・エランズ」(英題:Running Errands)【オーストリア、ドイツ】
監督:マックス・コラー(所属:Academy of Fine Arts Vienna)
■「Recorded at the Hotel」【日本】
監督:笠原一輝(所属:日本大学芸術学部映画学科)
■「グリーン・オーシャン」(英題:Green Ocean)【中国、アメリカ】
監督:チォン・ヂァン(所属:New York Film Academy)
■「階段の下で」(英題:Under the Stairs)【フランス】
監督:小野遥香(所属:École Nationale Supérieure d'Audiovisuel)
■「ミスディレクション」(英題:Misdirection)【日本】
監督:何英傑(所属:武蔵野美術大学)
■「さまよう」(英題:In Between)【日本】
監督:萩原護(所属:日本大学芸術学部映画学科)
■「自由研究『マイファミリー』」(英題:Summer Project "My Family")【日本】
監督:岡本祐一郎(所属:映画美学校)
■「『訳:it's okay to be quiet』」(英題:"transl. it's okay to be quiet")【ポーランド】
監督:フィリップ・ヤクボフスキ(所属:Lodz Film School)
■「ヤクブ」(英題:Yakubu)【インド、エチオピア】
監督:ココブ・ゲブレハウェリア・テスファイ(所属:SRFTI)
■「null」【日本】
監督:中村彰太郎(所属:大阪芸術大学)
▼なら国際映画祭2026」開催概要
◆開催日:9月19日~9月23日
◆開催場所:奈良市ならまちセンター市民ホール/奈良公園バスターミナルレクチャーホール/東大寺総合文化センター金鐘ホール/春日大社 感謝・共生の館ほか
◆実施内容:インターナショナルコンペティション/NARA-wave学生映画コンペティション/カンヌ国際映画祭招待作品上映/ベルリン映画祭スポットライトジェネレーション部門優秀作品上映/ショートショートフィルムフェスティバル&アジア優秀作品上映/NARAtive、NARAtiveJr作品上映/ユースシネマプロジェクト等
◆チケット:Peatix(https://niff2026main.peatix.com/)にて随時発売
【作品情報】
・
Playground 校庭
【関連記事】
・
「なら国際映画祭2024」コンペティション作品発表世界各国から選ばれた6作品、学生対象部門は10作品
・
「なら国際映画祭2024」9月20日から開催!ライゾマ木村浩康による「対話のかたちを表す」ポスター発表
・
なら国際映画祭、コロナ乗り越える新企画「トレハンジェクト」と「3.11 A Sense of Home Films」を配信