米国アカデミー賞公認、広島市で開催される2年に1度のアニメーション芸術の祭典「ひろしまアニメーションシーズン2026」(HAS2026)が8月19日開幕した。
世界4大アニメーション映画祭のひとつ「広島国際アニメーションフェスティバル」が2020年に終了したのち、2022年より新たに生まれ変わった2年に1度のフェスティバルだ。アニメーション映画祭として日本唯一のアカデミー賞公認の祭典で、巨匠から気鋭作家の作品を、長編、テレビ、ウェブメディアなど、短編に限らず、古今東西・商業非商業の枠を超えて紹介する。
会期中のプログラムは40以上、300以上の作品を上映する。この日は、特別上映として、NHK Eテレの「びじゅチューン!」などで知られる映像アーティスト井上涼氏による「井上涼 上映&ミニコンサート in ひろしま」が実施され、広島県内外から多くのファン、家族連れが来場。「この日ならではのセットリストを用意した」と話す井上氏のユニークな映像と歌唱パフォーマンスに合わせ、大きな手拍子や子どもたちからの声援が起こり、にぎやかに会場を盛り上げた。
開会式では、映画祭プロデューサーの土居伸彰氏が、本映画祭の部門紹介や開催の狙いについてスピーチした。「広島国際アニメーションフェスティバル」時代の2006年から隔年で広島を訪れているという土居氏は、広島の街の歴史を学びながら「私にとって、アニメーション芸術を祝福するだけではなく、人間の営みについて、それはアニメーションを通じた素晴らしい創造性だけではなく、戦争という愚かさについても考える機会であり続けています。2022年に『ひろしまアニメーションシーズン』としてスタートし、プロデューサーとして、映画祭の方向性について考えるときに、常にそういったことが頭にあります。歴史を紡ぎ、継承していく場所としての映画祭です」と、力を込めて語った。
そして、映画祭アーティスティック・ディレクターで映像作家の山村浩二氏による、短編アニメーション「春の海」上映と、映像に合わせたバイオリン、箏の生演奏が行われた。東京藝術大学とヤマハが共同開発した生演奏と映像を同期させるAIシステムが用いられており、「映像はAIで作った作品ではなく、和紙に描いた手描きアニメーションです。演奏者が映像を見なくても自分の演奏に集中でき、映像の方が音にシンクロしていくもの」と、山村氏がその仕組みを説明した。
コンペティションは「短編」「長編」「環太平洋・アジアユース」「日本依頼作品」と、今年新設された日本作品を対象とした「HAMコンペティション」の5部門。今年は110の国と地域から、前回の2643作を上回る3181作品の応募があり、短編71本、長編5本が入選作品として選出された。短編コンペティションのグランプリ受賞作品は、審査員長のジョルジュ・シュヴィツゲーベル氏を筆頭とした国際審査員により選出され、米アカデミー賞短編アニメーション部門への応募資格を獲得する。
開会式の後、「短編コンペティション1」の10作品が上映された。アジア、欧州、アメリカ、南アフリカ、オセアニアと様々な国と地域で制作されたバラエティ豊かな作品群が並び、日常の中の非日常を描くような、シュルレアリスティックな味わいを持つ作品が目立った。どの作品も、作家の個性やテーマが反映された、様々な技法とテクノロジーが用いられ、短編コンペティション部門の選考委員を担当した折笠良監督は、来日した監督陣それぞれに質問を投げかけた。
折笠監督は「今年はAIを用いた作品がかなりあった」と話し、「その中でも紙の彫刻のような精巧な表現、立体的な表現と絵画的な表現を組み合わせ、独特の質感を作っていた」と評したのが香港のジンタオ・スン、ユーチン・リウ監督による「牡丹記」だ。
ユーチン・リウ監督は、「最初は、ある種の実験として始めました。私たちはAIを単なる補助的な道具としてではなく、AI映画を従来の映画制作の再現として捉えたくなかった。AIが持つ可能性を探り、AIを一種の新しいメディアとして捉え、その美学的な可能性も探究したかった」と述べ、唐代末期の女性詩人、魚玄機を中国の伝統的な紙という媒体の表現とともに描く本作を「彼女がどのように生き、そして歴史の中でどのように記録されてきたのかが、この作品の私たちの大きなアイデアだった」と着想について語った。
会期中は、選りすぐりの世界のアニメーション上映のほか、ひろしま国際平和文化祭実行委員会が主催する第3回「ひろしまアワード」メディア芸術部門を受賞した「大長編 タローマン 万博大爆発」の応援してはいけない応援上映、「ボカロ特集」として椎乃味醂氏を迎えたスペシャルライブ、横川シネマでの「ヤバいアニメーション映画祭+HASヤバいセレクション」、各種シンポジウムなどが行われる。
「ひろしまアニメーションシーズン 2026」は、8月23日までJMSアステールプラザ(広島市中区加古町4番17号)、横川シネマにて開催。上映など各種チケットはオンライン(Peatix)およびJMSアステールプラザ情報交流ラウンジ窓口にて販売中。各プログラム・ワークショップの詳細は公式WEBサイト(https://animation.hiroshimafest.org)で告知している。
【作品情報】
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大長編タローマン万博大爆発
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