全米映画協会(MPA)とTikTokの親会社バイトダンスが、生成AIによる動画や画像の作成をめぐり、映画やテレビの著作物を守るための覚書を結んだと発表した。半年前には、両者は対立関係にあった。
MPAは、ディズニーやワーナー・ブラザース・ディスカバリー、Netflixなど、米国の主要スタジオ7社でつくる業界団体だ。映画のレイティング(年齢制限)の運用でも知られるが、100年以上にわたって力を注いできたのは著作権の保護だった。2017年には50社以上が参加する国際的な連合を立ち上げ、違法な配信サイトの摘発を各国で進めている。その矛先が、生成AIにも向いた形だ。
対象になるのは、動画を作る「Seedance」と画像を作る「Seedream」だ。いずれもTikTokやCapCut、Dreaminaといったバイトダンスのアプリで使える。両者は「強固な歯止めを保つための共通の枠組み」としているが、何をどこまで制限するのかは公表されていない。
対立が表面化したのは今年2月だった。「Seedance 2.0」の公開直後から、ブラッド・ピットやトム・クルーズを模した動画や、バットマン、スーパーマン、マーベルのキャラクターを使った動画がSNSで次々と拡散した。MPAは「創作者の権利を守り、何百万もの米国の雇用を支えている著作権法を、大規模に無視している」と非難し、停止を求める警告書を送った。ディズニー、パラマウント、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、Netflix、ソニー・ピクチャーズも、個別に同じ書面を送っている。
その後、両者は協議を重ねた。MPAによれば、先月公開された「Seedance 2.5」と「Seedream 5.0 Pro」には、その成果が反映されているという。MPAのチャールズ・リブキン会長兼CEOは、発表のなかでこう述べている。
「著作権は映画・テレビ産業の礎だ。この数カ月、我々はバイトダンスと建設的に話し合い、『Seedance』と『Seedream』に実効性のある歯止めを設けてきた。今回の覚書は、その歯止めをさらに強めていくという双方の決意を表している」
バイトダンスの法務責任者ジョン・ロゴビンも、責任あるAIの開発と権利者の保護は両立するとの考えを示している。覚書は世界の市場を対象としている。
違法な配信サイトには摘発で臨んできたMPAは、生成AIの開発元とは交渉の道を選んだことになる。
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