北香那が挑む16年ぶりのミュージカル【インタビュー】

北香那が挑む16年ぶりのミュージカル【インタビュー】

北香那が挑む16年ぶりのミュージカル【インタビュー】

8月19日(水) 11:00

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日本演劇界の鬼才、寺山修司の幻の戯曲が、生誕90周年の2026年に61年ぶりに再演されることが決定。ヒロイン・弓子を演じるのは現在ドラマ『さよならノワール』にも出演中の北香那。オーディションで勝ち取った弓子役の印象や、16年ぶりのミュージカルに臨む心境を語った。また中学生の頃から大好きだというアイドル的存在についても熱い気持ちが伝わる話を聞かせてくれた。

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Photo/加藤千絵
Styling/扇野涼子
Hair&Make up/徳山真由
Text/佐久間裕子

――寺山修司が1965年にたった1回の公演のために書き下ろした幻の戯曲が61年ぶりに再演されます。ヒロインに決まったときの心境はいかがでしたか?

北:オーディションで決まったのでびっくりしました。正直に言うと受かるとは思っていませんでした。というのも、オーディションで歌、ダンス、お芝居をしたのですが、歌に関してはプロフェッショナルではないですし、バレエはずっとやっていたけど、飛び抜けたものがあるわけではないし。お芝居はずっと続けてきたことだから出来る限りのことをやろうと思ってオーディションに行きましたが、もっとレベルが高い人たちが絶対にいるだろうと思うと怖くて。だから合格のお知らせを聞いたときはビックリしました。「本当ですか?」と思いました。

――オーディションに手応えみたいなものはありました?

北:そんなには……(笑)。でも演出の杉原邦生さんは穏やかなお人柄の方なので、伸び伸びやらせていただきました。

――オーディションではどんなダンスを?

北:バレエに近いものを踊ったと思います。以前、池袋のストリップ劇場によく足を運んでいた時期があって。

――そんな時期があったとは。この作品の雰囲気にふさわしいエピソードですね。

北:そうなんです。そういうこともあって、今回の役にものすごく惹かれました。その時期に、ヒグチアイさんの『やめるなら今』という曲で踊っているダンサーの方を観て、カッコイイと思ったんです。でも私が『やめるなら今』で踊る機会なんて普通はないじゃないですか。それでオーディションのお話が来たときに、「この曲で踊ってみたい」とダンスの曲に『やめるなら今』を選びました。

――振付はどうしたんですか?

北:自分で考えました。全然大した振付ではないのですが、好きな音楽で踊れたので楽しかったです。

――寺山修司はアングラ演劇を牽引した鬼才ですが、どんなイメージを持っていらっしゃいますか?

北:狂気も感じつつ、秘めた色気を感じますね。そしてアングラやサブカルチャーといった要素もあって、私が好きな世界観です。

――戯曲を読んでまずどんなことを感じました?読んでの第一印象というか。

北:現代に生きるものとしてのコンプレックスを感じてしまいました。私は平成生まれなので、昭和という時代を知らないですし、平成から令和の今しか知らない。私が自我を持ち始めた頃……小学6年生か中学生ぐらいの時には、すでにインターネットが普及し始めて、この10年ぐらいでものすごく活発になっていったじゃないですか。その反面、現代はコンプレックスが大きくなる時代だと、私は思っているんですね。「誰々ちゃんがかわいい」、「ここがうらやましい」、「私もこうなりたい」って気持ちが強くなっていく傾向があるんじゃないかって。

――確かに最近はSNSのせいで、他人にうらやましさや妬ましさを感じてしまいがちです。

北:私はSNSが大きな元凶になって、自分にNOを突きつけてしまうことが増えたと感じています。みんなSNSを見ることによって、承認欲求や自己顕示欲が膨らんでいくけど落としどころがないから。でも今の世の中のそういう部分って、この作品に描かれていることと似ていると思うんですよ。『獅子』にも「こうなりたい」「ああなりたい」と思う人たちが登場するから。そこが今の人たちに刺さって欲しいと思っています。ただ「こうなりたい」と思った自分になったとしても、その代償としてもともと持っていた輝くものを失くしてしまうことになるので、そのもったいなさみたいなものを感じて欲しいなって思いました。

――今作で演じる中町弓子についてどんな女性だと思いましたか?

北:天真爛漫で感情の起伏が激しい女性なのかなという印象があります。それはヒステリックということではなく、彼女なりの意思のもと溢れてしまったものであるということが観てくださる方に伝わればいいなと思っています。弓子という人間の確固とした信念みたいなものだから。そして劇中では悲しいことをすごく明るい音楽に乗せて歌うかもしれなくて。そのコントラストというか、陽と陰みたいなものも感じてもらえたらいいですね。

――劇中の音楽をもう聴いていらっしゃるんですね。

北:聴きました。最高です。この音楽のどこがどう良いか語るのって難しいので多くは語れませんが(笑)、耳に心地良くて、この作品の世界観にピッタリです。そして私にとっては、『獅子』という作品の世界観がさらに広がるきっかけになりました。音楽でここまで世界観が広がることって、これまで経験したことがないので、すごく楽しみになりました。実は舞台『シャープさんフラットさん』を観に行って、『獅子』に出演する田中俊介さんに会ったんです。そのとき、同じことをおっしゃっていました。

――キャストのお二人が同じ感想と聞いて、音楽への期待が高まりました。では主人公・米沢貞夫を演じる新原泰佑さんの印象を教えて下さい。

北:(取材時点で)まだそんなにお話しできていないのですが、明るい方なんじゃないかなって思っています。すごくフラットな感じで、話しやすい方なのかなって。

――演出の杉原さんともお話はされたのでしょうか?

北:杉原さんの舞台を観に行かせていただいたときとポスター撮影のときにもお話して、すごく柔らかい方という印象があります。今から稽古が始まるのが非常に楽しみです。

――そういえばキャストにはドラマ『バイプレイヤーズ』で共演されていた田口トモロヲさんもいらっしゃいますね。

北:はい。田口さんとは『バイプレイヤーズ』以来、お会いできていないんです。だから今回ご一緒するのが楽しみです。ただ不安もあって(笑)。

――以前ご一緒した方と久々に共演するのは緊張するものですか?

北:ドキドキします。『バイプレイヤーズ』のおじさまたちは、すごく優しかったですし、本当に良くしてくださいましたが、会うとなるとドキドキします(笑)。今回はトモロヲさんにお芝居を観られるどころじゃなく、掛け合いをしなきゃいけないですからね(笑)。最初の『バイプレイヤーズ』の頃は、19歳とかで最後に会ったのも23歳ぐらいのときで、時間が経っている分、成長した姿を見せられるように頑張りたいです。

――『獅子』はデビュー作である『赤毛のアン~アンからの手紙』以来、16年ぶりのミュージカルとのことですが、当時のことで記憶に残っていることはありますか?

北:オーディションが何回もありました。演技、歌、バレエ、踊り、面接と事細かく審査があったんですね。自分の審査が終わっても、全員が終わるまで待っていなきゃいけなくて、体育座りをして待っていました。

――それは緊張しますね。

北:はい。そうすると、審査の結果を発表しますって、ボードにバンッて通った数字が掲示されるんです。その数字の中から自分の番号を探しました。

――そこに自分の番号があったら勝ち残ったと。

北:そうです。当時、中学生だった私は尖り過ぎていて、今でも覚えているのが「アンしかやりません」って言ったんですよ。主役のアン以外のキャストも決めるオーディションだったので、「何がやりたいですか?」と聞かれて、他の方は「ダイアナとプリシーと……」って言っていたんですけど、私は「アンしかやりたくありません」と。今振り返ると子供だったが故に言えたんだろうなって。だからアンになれて良かったなって思います(笑)。良い意味で怖いもの知らずでしたね。だから初舞台でも怖れずに伸び伸びやれたんでしょうね。2年前に『ハムレット』に出演したときに、その時の演出家の方が観に来てくださって、12歳以来の再会を果たしたんです。そのときに、「すごく成長したね」って言ってくださって嬉しかったです。

――今回、16年ぶりのミュージカルということで楽しみにしていることはありますか?

北:ミュージカルの経験は2回目ということになるので、学びばかりだと思います。多分歌もダンスもすごく苦戦すると思うので、楽しみにしていることといえば……、全部初めてだと思ってやる。全部吸収したいですね。前のめりぐらいの気持ちで臨もうと思っています。

――7月末から8月に掛けても『バッグの中からスフィンクス』という舞台に出演されていました。舞台の楽しさってどんなところですか?

北:『バッグの中からスフィンクス』は二人芝居でした。舞台の楽しさは一つのものを長期間で作り上げる達成感だと思います。撮影したら終わるドラマは1シーン1シーンがすぐに過ぎていってしまうような感覚があるので、後悔が残ることもあるんですね。でも舞台は同じ芝居を何度かできるから、自分の芝居を振り返って探る楽しさがあります。一つの世界の中で探っていく面白さみたいなものは、舞台特有じゃないかと思います。あとはカンパニーの皆さんとギュッと!仲良くなれるんじゃないかなと。

――稽古も含めると長い期間一緒にいるから。

北:そうですね。表現も映像とはまったく違うから、棒立ちにならないよう動きを意識しながらやっていきたいですね。

――貞夫は声と引換に悪魔に願いを叶えてもらうじゃないですか。悪魔が現れて、こんな願いを叶えてくれるなら契約しちゃうかもと思うことはありますか?

北:私はあまり欲がないんです。「こうしたい、ああしたい」がなくて。目の前に起きることを1個1個楽しんでいるタイプなので、何が起こるかわからないということを楽しんでいるんですよ。だから契約はしないかもしれません。ただ……引換にするものを言わなくていいんだったらゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんに会いたいです(笑)。

――鬼龍院さんがお好きなんですね(笑)。

北:はい。私の青春時代を音楽で支えて下さったのは、鬼龍院翔さんだったんです。それこそ『赤毛のアン』をやっているときなんて、全盛期でしたし大好きでした。

――ゴールデンボンバーというより鬼龍院さんですか?

北:はい。音楽を作っているのが鬼龍院さんですから。その音楽にたくさん助けられました。

――もう大好きじゃないですか。俳優のお仕事を始めてから鬼龍院さんには会えたのですか?

北:それがまだ会えてないんです!だからもし会えるとしたら鬼龍院さんで……。

――では最後になりますが、アイドルの方もたくさん登場するサイトなのですが、北さんにとってのアイドル的存在は?

北:不動で鬼龍院翔さんです。何かでお会いできる機会があるといいなと思っています。

北香那
1997年8月23日生まれ、東京都出身。子どもの頃から芸能活動をはじめ、2010年、ミュージカル『赤毛のアン 〜アンからの手紙』にアン役で出演。ドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズ(17年、18年、21年)にてジャスミン役で注目される。近年の主な出演作に連続テレビ小説『ばけばけ』(25年)、『替え玉ブラヴォー』(26年)等。ドラマ『さよならノワール』に白石絵梨子役で出演(毎週火曜フジテレビにて放送中)。

Bunkamura Production 2026 ミュージカル『獅子 THE LION-BEAT』
作:寺山修司
演出:杉原邦生
音楽:☆Taku Takahashi[m-flo]
出演:新原泰佑北香那田中俊介勝矢さとうこうじ岡田義徳田口トモロヲ橋本さとし
西田健二希良々うみ加藤翔多郎片桐美穂大平祐輝佐藤匠朝丘小百合矢崎諒 植村理乃加瀬友音桑原あみ渡来美友藤井颯渡邊気

【東京公演】
公演期間:10月4日(日)~20日(火)
会場:THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)

【大阪公演】
公演期間:11月7日(土)・8日(日)
会場:SkyシアターMBS

チケット料金:獅子シート・17,500円/S席・12,500円/注釈付きS席・12,000円/A席・9,000円/U25チケット(25歳以下当日引換券)・6,500円 (税込・全席指定・未就学児入場不可)
※「獅子シート」は特典付き/1階席(最前列・2列目センターブロック)のお席となります。
※注釈付きS席は場面によりご覧になりにくい場合がございます。
※U25チケットはMY Bunkamuraのみのお取り扱いとなります。
※U25チケットをご購入の方はご観劇当日、身分証をご持参ください。
※10月10日(土)13:00/14日(水)18:00公演は鑑賞サポート付公演となります。
チケット発売日:8月22日(土) 10:00~

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