大ヒットサバイバルホラー映画「レディ・オア・ノット」で世界中のホラー映画ファンを熱狂させた監督ユニット「レディオ・サイレンス」(マット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレット)が、シリーズ続編となる「レディ・オア・ノット2」(公開中)の裏側について語った。(取材・文/壬生智裕)
前作では、富豪との結婚初夜に行われた“最凶ゲーム”により、一族全員から命を狙われた花嫁グレースが血みどろになりながらも戦い抜くさまが強烈なバイオレンス描写とともに描かれていたが、続編は、衝撃のクライマックスとともに死闘を終えた直後のシーンからスタートする。だが「レディオ・サイレンス」のふたりにとってはそもそも「1作目はあんなにも決定的な終わり方をしていたから」ということで、続編を制作する予定は全くなかったのだという。
「われわれは最初の映画を心から愛していたし、大切に思ってきました。脚本家やプロデューサーなど、われわれの人生において最も意味のある人間関係のいくつかはここからつながった。まさにわれわれにとっての“始まり”のような作品だったんです。だからあの映画がこれほど多くの人々の心に響いたということに本当に驚きました。だからこそ、その反響に敬意を表したいという強い思いがありました。やはり続編ともなれば、映画のスケールや制作費を劇的に跳ね上げることが求められます。しかし多くの続編映画で陥りがちなのが、スケールが大きくなるにつれて、作品が本来持っていた感情的な核やハートが失われてしまうこと。僕たちはスケールの拡大とまったく同じくらいに、物語のハートも深めたいと考えたんです」。
そして、この続編を成立させるために絶対不可欠だったのが、前作で主人公グレースを演じ、“新世代ホラークイーン”の座を確立したサマラ・ウィービングだ。監督たちは彼女を「この映画の鼓動する心臓」と表現する。「サマラなしのグレースは存在しませんし、グレースなしの『レディ・オア・ノット』もあり得ません」と断言するふたりは、再びグレースを地獄のような状況に放り込みつつも、前作に連なる予想外の試練を用意した。「彼女は前作から全然変わらないんです。まるで冷凍保存されていたみたいにね」。
そして続編を盛り上げたもうひとりの立役者がキャスリン・ニュートン演じる、グレースの長年絶縁状態だった妹フェイスだ。映画「アビゲイル」の撮影でキャスリンと仕事をした監督たちは、彼女がサマラと似た「伝染するようなエネルギー」を持っていることに強く惹きつけられ、「2人を共演させたら絶対にクールだ」という思いに至ったという。そうして生まれたフェイスとグレースというキャラクターは、極限状態のサバイバルの中で、時に口論しながらも、力を合わせて共闘していくようになる。「前の作品では、ラブラブだった夫との関係がだんだんと壊れていくところを描いていたんで、今度はそれと全く真逆で、ゼロから始まった関係性をふたりが修復していくような、2歩進めばまた1歩下がるというような関係性を描きたかった。とにかくこのサマラとキャスリンの演技が素晴らしかったので、本当に特別な関係性が描かれたと思います」
前作のクライマックスでは、衝撃的な“人体爆裂”による血まみれ演出が強烈な印象を残した。「あれはふたりの脚本家が10くらいのいろんなバージョンのアイデアを出してくれた中から選んだもので。それこそ惑星が飛んできて彼らに当たるとか、いろいろなアイデアが出してきたんですけど、その中で人間が爆発するというアイデアが出たときに、これはかなりショッキングだし、すごく観客を驚かせることになると思った。ということで、技術的な問題をクリアしながらなんとかやり遂げたわけです。そしてその後の『アビゲイル』ではバンパイアを爆発させました。それから本作では観客がすでに“人体爆裂”があることが分かっているという前提があって、そこにいかに驚きとユーモアをもたらせられるかに挑んだ。ということで、この作品を含めて『人体爆裂三部作』ということにしてしまおうということにしました」。
ちなみにこの過激な作品を制作・配給するのが「シェイプ・オブ・ウォーター」「ノマドランド」など、これまで5本のアカデミー賞作品賞を獲得してきた名門スタジオ「サーチライト・ピクチャーズ」だ。「これだけすばらしいドラマをつくってきた権威あるスタジオなのに、こんなにも人体を爆発させたり、放送禁止用語を何百回も叫ぶような映画を作らせてくれるなんて。彼らは騙されてるんじゃないかと思ったけどね」と笑う監督たちだが、サーチライトの確かなブランド力と作家性を尊重する姿勢に「われわれの『レディ・オア・ノット』シリーズは、風刺的でもあるし、具体的なメッセージ性もある。サーチライトはリスクを取って、こういう奇妙でクレイジーな作品を作らせてくれたわけですが、そうした作品の奥底には何かコンセプトやメッセージがあるんだということを、このサーチライトというアイデンティティとともに感じとっていただけたらいいなと思うんです。本当にわれわれは彼らと素晴らしい時間を過ごしました」とスタジオに向けた深い信頼を寄せている。
【作品情報】
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レディ・オア・ノット2
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