ショーン・ベイカー監督作のプロデュースを行ってきたツォウ・シーチンの単独監督デビュー作「左利きの少女」が公開された。共同脚本、編集、製作を担当したベイカーにとって、アカデミー賞受賞作「ANORAアノーラ」以来初めて手がけた作品だ。このほど、長年2人で温めてきた本作について、ショーン・ベイカーが語るインタビューと日本の観客に向けてのメッセージと新規メイキング画像を映画.comが入手した。
ツォウ監督の故郷・台湾を舞台に、厳しい現実と向き合う母娘とその祖父の多世代家族が織りなす物語を、幼い少女の視点からエネルギッシュかつ繊細に描く物語。
これまでの作品との違いについてベイカーは、「僕は、これまでに他の人が撮った映画を編集したことがなかったので、この“初めての経験”はとても不思議な感覚でした。同時に脚本を共同執筆しながら、プロデュース、キャスティング、スタッフ編成、そしてもちろん監督と、そのすべてを自分ではなくて、シーチンが行っている点でも、本作は特別な体験でした」と話す。
本作の制作プロセスをずっと見守ってきたベイカーだが、「物語の基本的な要素は、かなり初期の段階で既に揃っていました。“左手を使ったことで叱られる子ども”というテーマや、秘密を抱える家族の構図など、根幹にある要素はすべてシーチンから来ています。私が考えるべきだったのは、それらを中心にどう直線的にストーリーラインを組み立てるか、ということでした。最初の脚本は英語で書きましたが、中国語に翻訳することでセリフにより豊かなニュアンスが生まれたのです。もちろん初稿から2010年の台湾での滞在までにも多少の調整を行いましたが、台湾で彼女と過ごして新稿を一緒に書き上げ、撮影準備が整うまで何度も練り直しました。最終的に仕上がった脚本は、当初の意図に非常に忠実なものになっています」と振り返る。
これまでのような“出会った人々の物語”からインスピレーションを得て映画を制作してきた過程とは異なり、本作はシーチン自身の経験に根ざしている。そのことについてベイカーは、「僕たちの作品は、いつも人間に根ざした物語を描くことが出発点です。本作でもシーチンの人生経験はストーリーを形成する上で参考になりましたが、そのまま再現しているわけではありません。僕自身、どこまでが彼女の実体験なのか正確には分からないのです。ですからこれまでの映画制作・脚本執筆に比べても困難と言うべきことはほぼありませんでした」と語る。
また、「本作は自身のキャリアにおける新たな局面を象徴する作品になり得るのか」という問いに対しては「もちろんです。同時に、これは長い間思い描いてきた流れでもあります。シーチンや(ショーンの他の作品で彼と協働している脚本家の)クリス・バーゴッチと一緒に仕事をしてきた中で、僕らは常に「いつかそれぞれが自分の作品を作るようになるだろう」と話していたからです。共に働きながら、それぞれのヴィジョンを育むための“共有のワークスペース”を築いてきたわけです。だからこそシーチンが本作を完成させたことを、心から嬉しく思っています」と長年タッグを組むシーチン監督への誇りを述べた。
そして、日本での公開を前に「皆さん、こんにちは! ショーン・ベイカーです。ツォウ・シーチンの長編監督デビュー作『左利きの少女』が、今月に日本の映画館で公開されることを本当にうれしく思っています。この作品は、私にとって特別な思い入れのある一本です。シーチンとこの作品の企画を練り始めたのは、もう25年も前のことでした。本当に長い道のりでした。それでも、私たちはついにこの映画を完成させることができました。私は最終的に共同脚本と編集も担当しています。シーチンがこの作品を自らプロデュースし、監督として見事に創り上げたことに、私は心から感銘を受けています。きっと皆さんにも気に入っていただけると思います。ぜひこの8月は映画館へ足を運んでいただき、『左利きの少女』を大きなスクリーンでご覧ください!」とメッセージを寄せた。映画は全国で公開中。
【作品情報】
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左利きの少女
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