日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『白パンと独裁者』をレビュー!

俳優・映画監督などとして知られるハーク・ボームが幼少期の実体験を綴った小説の映画化

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『白パンと独裁者』をレビュー!

8月14日(金) 18:00

提供:
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。ドイツの名匠、ファティ・アキン監督の新境地!***

『白パンと独裁者』

評点:★3点(5点満点) ©2025Bombero InternationalGmbh&Co.Kg

©2025Bombero InternationalGmbh&Co.Kg



ナチス・ドイツが平穏な離島に落とす影撮影監督カール・ウォルター・リンデンローブのとらえた風景がどこまでも美しい。

第二次大戦末期、ベルリン陥落も間近に迫った時期が本作の舞台だが、同じドイツでもワッデン海に浮かぶ離島アムルム島では「昔ながらの」平穏な日常が保たれているように見える。

だが空を見上げればイギリス軍爆撃機の編隊がドイツ本土へと向かっているし、配給制となって久しい食料も慢性的に不足している。

主人公は12歳の少年で、つい最近出産し、重い産後鬱に悩まされる母親が所望した「バターと蜂蜜を塗った白いパン」をなんとかして手に入れるべく、あちこち走り回って材料を入手しようとするさまが映画を通して描かれる。

その過程で明らかになるのは、地元に厭戦ムードが漂う中、きわめて親ナチス的な態度を崩そうとしない自分の母親と周囲との軋轢、またその思想ゆえ自分の両親が間接的にではあれどナチスの戦争犯罪と関係していたという事実である。

まだ幼い主人公はまるでそれが当たり前かのようにヒトラー・ユーゲントに所属しているが、そのことで自分が何を背負ってしまったのか、ということについても、やがて否応なしに対面せざるを得なくなることが示唆される。

STORY:第2次世界大戦末期のドイツのとある島。12歳の少年ナニングは、ヒトラーの死で取り乱すナチス信奉者の母のため、彼女の好物である白パンを探す冒険へ出る。その途上、少年は家族を揺るがす衝撃の秘密を目撃する......

監督・脚本:ファティ・アキン

出演:ジャスパー・ビラーベックほか

上映時間:93分

全国公開中

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