米パラマウントのデビッド・エリソンCEOが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)との合併をめぐる反トラスト訴訟で和解が成立しなければ、10月1日からカリフォルニア州を離れる手続きを始めると同社幹部に伝えていたことがわかった。米Puckが最初に報じ、Deadlineが確認した。
エリソンCEOは先週行われた会議で、同州からの移転を望んでいるわけではないとしながらも、パラマウントが本拠を置くカリフォルニアから歓迎されているとは感じていないと発言。同州のロブ・ボンタ司法長官が和解交渉に応じなければ、本社を皮切りに州外への移転を進め、最終的にはスタジオ関連の雇用も移す考えを示したという。
これに対し、ボンタ司法長官は強く反発。「違法な取引を通すために州を脅迫しようとしている」と批判し、「パラマウントは法廷で敗れ続けるなか、話の筋を見失っている。7月の訴訟前夜に行った最初の試みはうまくいかなかったし、今回もうまくいかない」と述べた。
カリフォルニア撤退は裁判の結果にかかわらず検討されており、移転先の候補にはテネシー州、テキサス州、ジョージア州などが挙がっている。各州は、パラマウントを誘致するため大規模な優遇策を提示しているとみられる。
一方、カリフォルニア州は映画・テレビ製作の州外流出を防ぐため、税制優遇制度を拡充している。カリフォルニア・フィルム・コミッションは、パラマウントが製作するアリシア・シルバーストーン主演の「Clueless(原題)」シリーズと、ビオラ・デイビス主演の「Ascent(原題)」に、計約3800万ドルの優遇措置を割り当てたばかりだ。
パラマウントは、ボンタ司法長官が政治的な動機で動いていると非難。これに対し、ボンタ司法長官はDeadlineへの寄稿で、「パラマウントとワーナー・ブラザースは、法廷で敗れることを悟っている。だから世論の法廷に訴えようとしている」と反論した。
投資調査会社ライトシェッド・パートナーズのリチャード・グリーンフィールド氏は、パラマウントの一連の行動がボンタ司法長官との関係を悪化させ、和解ではなく2027年3月の裁判へ進む可能性を高めていると分析。合併契約の期限が同年6月4日に迫るなか、裁判に進むことは「自殺行為」であり、合併の破談と70億ドルの支払いにつながる恐れがあると指摘した。
エリソンCEOは、ハリウッドの有力者や劇場チェーン各社から合併への支持を取り付けている。しかしグリーンフィールド氏は、州司法長官側が受け入れられる具体的な構造改善策を提示していないと指摘。「パラマウントのPRキャンペーンは、ボンタの立場を弱めるどころか、むしろ強めているように見える」との見方を示している。
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