ある休日、不動産会社から1本の電話がかかってきました。
両親を早くに亡くした私は、実家を相続し、賃貸として貸し出していました。しかし、その入居者が転勤のため退去することになったと言うのです。
家自体の老朽化も進んでいたため、このまま建て替えるか、それとも売却するか悩んでいた私。そんなとき、夫から「その土地に家を建てよう」と提案されました。
両親との思い出が詰まった土地に建てたマイホーム
実は当時、私は夫との関係に悩んでいました。
結婚したばかりのころは家族を何より大切にしていた夫でしたが、子どもが成長するにつれ、自分の予定を優先することが増えていったのです。
家ではスマホばかり見ていて、私の話も上の空。休日も家を空けることが多くなり、以前のような家族団らんはなくなっていました。
「新しい家で暮らせば、また家族を大切にしてくれるかもしれない」
そんな淡い期待を抱き、私はマイホームを建てることを決意。
ところが、いざ家づくりが始まると夫はほとんど関わらず、住宅ローンや契約、各種手続きはすべて私任せ。それでも子どもたちが新しい部屋を見て喜ぶ姿に救われ、「頑張ってよかった」と思っていました。
夫が勝手に決めた義母たちとの同居
新居に引っ越して間もなく、夫が突然こんなことを言い出しました。
「母さんと妹も、この家で一緒に暮らすから」
私は耳を疑いました。
義父を亡くした義母は、義妹と2人暮らし。義妹は高校を中退して以来、働いておらず、義母も長年仕事をしていませんでした。
そんな大切な話を一度も相談されていなかった私は当然反対。そもそも同居を前提に家を建てたわけではありません。
ところが夫は、
「子ども部屋を母さんたちに使わせればいい」
と言い出したのです。せっかく自分の部屋を持てた子どもたちから、それを取り上げることなど私にはできませんでした。
しかし夫は、
「嫁なんだから、俺の家族を受け入れるのが当然だ」
と言い張り、私や子どもたちの気持ちなどまったく考えてくれません。
そのときになってようやく、夫が家を建てることに積極的だった本当の理由に気づきました。夫は、最初から義母と義妹を呼び寄せるつもりだったのです。
強引に始まった同居生活
私が返事を曖昧にしている間に、夫は義母たちの家の売却まで進めてしまいました。
「もう実家は売ったから同居は決まり。文句を言うな」
そう言われ、私の意思など完全に無視されたまま同居生活が始まりました。
結局、義母と義妹は子ども部屋を使い、生活費も入れません。家事はすべて私任せで、義母と義妹が使ったところはいつも散らかったまま。テレビは大音量で夜遅くまで流れ、私も子どもたちも毎日ストレスを抱えながら過ごしていました。
私を救った不思議な出来事
そんな生活が続いたある朝、不思議な出来事が起きたのです。
青ざめた顔で、「夜中に誰かが部屋へ入ってきた」と言い出した義母と義妹。もちろん私は部屋に入っていませんし、夜中は子どもたちも寝ています。
ところが2人は、
「布団の周りを誰かが歩き回っていた」「勝手に窓を開けられた」「足をくすぐられて眠れなかった」
と口をそろえて訴えました。
不思議なことに、そのような出来事が起きるのは義母と義妹が使っている部屋だけ。私や子どもたちには何も起こりませんでした。
怖がりながらも、そのままわが家に居座っていた義母と義妹。ところが同居から約1カ月後、夜中に義母が真っ青な顔で部屋から飛び出してきたのです。
「夢だったのか現実だったのかわからないけれど、この家の持ち主だという男女2人が現れて、『この家から出て行きなさい。そうしなければ毎晩来る』と言われたの」
「どこかで見たことあるような2人で……あ! あれよ!! あの遺影に写っている……あなたのご両親……」
義母はリビングにある仏壇を指さし、震えながらそう話しました。
思わず仏壇へ目を向けた私。その瞬間、遺影の両親がやさしくほほ笑んだように見えました。
それ以来、恐怖から睡眠不足になった義母と義妹は、自主的に家を出て行きました。
今回の出来事で、私の気持ちを踏みにじり続けた夫への信頼も完全になくなりました。何度話し合っても反省する様子はなく、私は離婚を決意。
今は、マイホームで子どもたちと穏やかな毎日を過ごしています。
義母と義妹が出て行った日以来、不思議な出来事は一度も起きていません。本当に両親が守ってくれたのか、偶然だったのかはわかりません。それでも、両親が大切にしてきたこの土地で、これからも子どもたちと安心して暮らしていけることに感謝しながら、新しい人生を歩んでいこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
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