母からの電話は、たいてい近況報告か世間話です。けれどその日の声は、電話に出た瞬間からいつもと違いました。戸惑いと怒りが入り混じった口調から、ただ事ではないことがあったのだと、すぐに伝わってきました。
休日の昼、突然の電話
私の住んでいる場所と実家はかなり離れているため、母との連絡は主に電話です。母はメールやLINEなどのやりとりがあまり得意ではなく、普段から用事があると電話をかけてきます。
そんなある休日の昼、怒り心頭といった様子の母から突然電話がかかってきました。「最近どう?」といったあいさつもそこそこに、母は
「ちょっと聞いてほしい」
と言わんばかりに、その出来事を話し始めたのです。
通販で買い物をした母
母はテレビショッピングで気になる商品を見つけ、電話で注文したそうです。クレジットカードを持っていない母は、請求書が別送される支払い方法を選んでいました。2週間後に商品が届き、その翌日に請求書が届いたため、母はその翌日には支払いを済ませたとのことでした。
ところが、その1週間後、母のもとに
督促状が届いた
そうです。目立つように書かれていたのは、「支払いが確認できなかった場合、延滞料が加算される」といった文言でした。それを見た母は、強い不安を覚えたといいます。
何かの手違いかもしれないと思い、督促状を隅々まで確認したところ、上部に小さく「行き違いの場合はご容赦ください」といった文言が書かれていたそうです。
けれど母は、
「年を取って目が悪くなった私には、書いていないのと同じくらい見えにくかった」
とこぼしました。
二度とそちらで買い物はいたしません!
きちんと入金が確認されているか不安に感じた母は、確認のため督促状に記載されていた電話番号にかけてみたものの、
まったくつながらなかった
そうです。そこで販売元の会社へ問い合わせたところ、
「代金の回収をおこなう会社と、販売をおこなう会社は別なので、こちらではわかりかねます」
と言われたといいます。
母が不安な気持ちを伝えても、返ってくるのは同じ説明ばかりだったそうです。質問に寄り添う様子はなく、何を話しても突っぱねられているように感じた母は、ついに
「わかりました。二度とそちらで買い物はいたしません」
と言って電話を切ったそうです。
するとその後、今度は上司と思われる人から改めて電話がありました。
「代金回収業者に確認したところ、たしかに早期にご入金いただいていました。大変申し訳ありません。回収業者からも改めておわびの電話をいたします」
と説明されたそうです。
ただ母は、あれだけ「別会社だからわからない」と言われていたにもかかわらず、実際には確認が取れたことで、より不信感を覚え
「信頼関係が築けないことがわかったので、おわびも結構です」
と断ったといいます。
母の言いたかったこと
私は話を聞きながら、「たしかに別会社なら、最初に電話に出た人にはわからないこともあるよ」と母に伝えました。けれど母が本当に言いたかったのは、そこではありませんでした。
母は「このご時世、請求書も督促状もシステムで管理して発行しているのだろうし、そういうスケジュールで動いていたのかもしれない。でも、問い合わせがあったときくらいは、マニュアル通りに返すだけではなく、人の血が通った対応をしてほしかった」と、残念そうに話していました。
その言葉を聞いて、母が腹を立てていたのは督促状そのものだけではなく、不安な気持ちを受け止めてもらえなかったことなのだと感じました。
まとめ
今回の出来事を通して、お客さまにとっては窓口が分かれていても、関わる相手すべてがその会社の印象につながることもあるのだと気付きました。
正確な案内に加えて、不安を抱えた相手にどう向き合うかも、信頼を左右するのだと感じました。私自身も、仕事で事情を説明するときには、正確さだけでなく、相手の気持ちにも目を向けられる人でありたいと思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
イラスト:おみき
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
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