昔から汗かきで「私、顔にも汗をかくから恥ずかしくて……」と語っていた友人。本人は「新陳代謝が良いから」「産後だから」と考えていたそうですが、母親の更年期のホットフラッシュを目の当たりにし、自分も病気かもしれないと悩みます。そして後に、体調不良で受診した病院で思いも寄らない病気が判明したのです。
化粧も崩れるほどの汗をかく友人
これは友人が35歳のころの話です。友人は学生時代ソフトボール部に所属していたバリバリのスポーツ女子。大人になってからもヨガやピラティス、時にはフットサルを楽しんでいたそうです。昔から筋肉質でスリムな体型は、「どれだけ食べても太らない」とのことで、うらやましかったのを覚えています。
「新陳代謝が良くて、昔から汗かきだったの」と話す彼女は、たくさん食べても太りにくいタイプだと自分では考えていました。
しかし友人は第1子を出産して間もないころから、クーラーを入れていても、時折、顔から吹き出すように汗が出てしまったそうです。
「いくら暑いからって、クーラーも入っているのにこんなに汗をかくなんて…… 新陳代謝が良すぎるのかな」
と思っていたようです。しかし、化粧をしている最中にも、塗ったファンデーションが汗で崩れてしまったそうです。
私が出産祝いを渡した日にも
「私、顔汗がひどくない? 最近やばいんだよね」
と話していました。その日は暑かったので私は「そうでもないよ、今日暑いからさ」と答えましたが、たしかに顔に汗の粒が浮かぶくらい汗をかいていました。
もしかしてもう更年期…?
産後から3カ月ほど帰省していた友人は、実家で両親とゆっくり過ごしていました。ある日、母親が「顔が熱いわ」と汗をだらだらかいているのを目の当たりにしたそうです。「お母さんも顔汗がひどいんだね。私もすごいよ~。これって遺伝なのかな?」と聞くと、母親は「私は更年期だからホットフラッシュとかいうものみたい。若いころはそんなに気になるほどではなかったから、遺伝ではないと思うけど……」と言ったそうです。
友人はそれを聞いて「そっか、じゃあ遺伝じゃないよね」と答えました。しかし内心ではまさかと思いつつも「
私の汗がひどいのも、何か異常があるのかもしれない……。若年性更年期障害も聞いたことがあるし」
と不安に駆られたと話していました。
たしかに友人は当時体調不良を感じていたそうです。生理もまだ再開しておらず、疲れやすさやイライラ、寝つきの悪さも感じていたとのこと。授乳のために夜中も起きることが多く、疲れや寝不足などは産後だからだと思っていたそうです。
産後だから普通だと思っていた症状も「もしかしたらほかに原因があるのでは?」と、どんどん不安が募っていったのだそうです。そして友人は出産時にお世話になった産婦人科に併設されている内科へ相談することに。
検査の結果わかったのは想像もしない病気
子どもを親に預け、友人は早速産婦人科へ向かいました。そこでは生理の頻度や有無、疲れやすさやストレスなど詳しく問診があった後、血液検査があったそうです。すると数値を見た医師から
「甲状腺の数値が気になります。ここでは専門的な検査はできないから、甲状腺の病院にかかってみては?」
と勧められ、友人は後日、紹介状を持って甲状腺の専門病院へ行くことになりました。
そこで改めて問診や血液検査、超音波検査を受け、医師から
「出産後甲状腺機能異常症」
と診断されました。出産後に甲状腺の働きに異常が生じ、血液中の甲状腺ホルモンが一時的に多くなっていた状態だったそうです。
寝つきの悪さやイライラしやすさなど、問診で聞かれた項目の多くが当てはまったものの、友人は「産後だから体調が悪いのだろう」と考えていました。まさか自分の甲状腺に異常があるとは思わなかったそうです。
友人の症状は比較的軽く、症状を和らげる薬を使いながら経過を見ることになったそうです。ひとまず、速くなった脈や動悸を抑える薬と漢方薬を処方されました。
無理をせず、疲れたら休むよう指導を受け、定期的に診察と検査を受けていたところ、数カ月後には甲状腺機能の数値が基準範囲内に戻ったそうです。甲状腺機能の数値が改善するにつれて、過剰な発汗も治まっていったと話していました。
まとめ
産後の体調の変化は人によって千差万別です。ただ、その体調の変化が産後によく見られるものなのか、別の病気によるものなのかを自分だけで見分けるのは難しいと感じました。友人も甲状腺に異常が起きるなんて考えたこともなかったそうです。友人は「あのとき、考え過ぎかもしれないと片付けず、病院に行ってよかったよ」と話していました。
産後の不調だと思える症状でも、別の病気が隠れていることがあるのだと知りました。自分の体にいつもと違う変化があったときは、思い込みだけで片付けず、その違和感に目を向けたいと感じた出来事でした。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:駒形依子先生(こまがた医院院長)
著者:田川 ゆうこ/30代・ライター。体型の悩みは出産がきっかけなのか自分がきっかけなのか……悩む三姉妹の母。今年こそダイエットを卒業したい。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
監修者:医師 こまがた医院院長 駒形依子 先生 東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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