テレビでしょっちゅう目にしているのに、同じ俳優だと一致していなかった。"知る人ぞ知る"を体現し、CM界で破竹の勢いを続けている俳優・小倉史也(29歳)。
高畑充希や成田凌、菊池風磨など、第一線の人気者たちと共演し、「2025タレントCM起用社数ランキング」で全体10位、男性4位にランクインして驚かせた存在だ。現在放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』では、瑞穂屋の手代・松原喜介役で出演。時に“隠れCMキング”と呼ばれることもあったが、もはや正真正銘のCMキングと言っていい。
そんな小倉に独占インタビュー。実は子役からスタートしている小倉に、転機となったCM出演や、共演者たちとのエピソードを聞いた。
子役だった兄についていったことがキャリアのスタート
――小倉さんのキャリアスタートは、4歳のときだとか。きっかけを教えてください。
小倉史也(以下、小倉):
親に事務所に入れられたのが全ての始まりです。兄が少しだけ子役をやっていて、オーディションについていっていたんです。そしたら「静かにできる子だ」ということでなぜか僕も入ることになりました(笑)。正直、入りたての頃の記憶ははっきりしないんですが、お仕事をしていたのは楽しくて、その感覚は覚えています。
――子役時代、特に記憶に残っている作品を挙げるなら。
小倉:
『はぐれ刑事純情派PART15』(02)や『愛と友情のブギウギ』(05)、『マイフェアボーイ』(07)といったドラマは覚えています。あと、小学生の頃に出演した映画『20世紀少年』(08)は本当に楽しくて特に記憶に残っています。
――堤幸彦監督の3部作『20世紀少年』は今でも人気がありますね。小倉さんは香川照之さんが演じた“ヨシツネ”の子ども時代を演じました。
小倉:
子どもたちだけの和気あいあいとした現場でしたし、楽しさの延長線上でやらせてもらっていました。当時の僕は本当に生意気な子どもで、「俺が一番だ」みたいな気持ちでいたと思います。自由すぎて、文字通りうるさかったと思いますし、だいぶ怒られていました(笑)。
ダンスに打ち込んだ大学時代を経て、NIKEのCMで訪れた転機
――高校卒業までは俳優活動を続けていたそうですが、大学入学以降は一度休止し、ダンスに熱中していたと伺いました。役者という仕事につまらなさを感じたからというわけではないのでしょうか。
小倉:
全くないです。当時はお芝居以上にダンスに惹かれてハマってしまって、役者を離れてでもやろうと思ったんです。子役の頃から中学受験をして、中高も学業と部活(テニス)が主で役者業はセーブしていましたし、大学時代は完全に役者業をやっていませんでした。でも、役者業をやっていなかったときも、戻ることは決めていたんです。結果として一度離れたことに悔いはないですし、それも芝居に生きるための通過点だったんだと思います。
――大学卒業のタイミングで芸能の世界へ戻ってきました。迷いはなかったのでしょうか。
小倉:
何もなかったです。友達から「役者として、いつまで成功しなかったら区切りをつけるの?」と厳しいことを言われることもありましたが、めげずに今もやっています。
――22年に出演したNIKEコラボの「Welcome to Nike Juku│NIKE塾 Ft.『Woo!Go!』by新しい学校のリーダーズ」が転機だったそうですね。
小倉:
はい。本当に大きかったです。監督とは今でも交流があって、Amazon MangaやGalaxyのCMでもご一緒しています。あのNIKEのCMから、僕の役者人生が始まったと思っています。
――完成したPVを拝見すると、完全にメインの役どころです。
小倉:
確かにそうですね。オーディションではダンスをしました。監督が気に入ってくれて、出番も増えたと思います。実は最終オーディションの日に、闘病していた父が亡くなりまして。
――最終オーディションの日に?
小倉:
オーディションから帰るときに、連絡をもらいました。とりあえず結果を待って、合格をいただいたので、「やるしかない」と。撮影日はちょうどお葬式の日と重なっていました。午前中だけ葬儀に出て、そのまま撮影に向かいました。
――お父様も喜んでくれているでしょうね。
小倉:
将来について、そこまで話はしなかったんですけど、おそらく不安だったと思います。就職した方がいいんじゃないかと、「芸能に携わる仕事がしたいなら」と、制作会社の名前をリストアップしてきたこともありました。でも僕はずっと「役者をやります」という気持ちでいました。
――きっと今の活躍を見てくれていると思います。
小倉:
まだまだ、父がギャフンと言うくらい頑張りたいし、見ていてほしいです。
高畑充希、菊池風磨との共演で感じた緊張
――昨年は、アプリシエイト、アマゾンジャパン、ウイングアーク1st、Uber Japan、カカクコム、コスモ石油、サムスン電子ジャパン、日本たばこ産業、三菱地所、ゆうちょ銀行、ROXXの計11社のCMに出演しました。有名企業ばかりですが、特に緊張した現場や共演者を挙げるなら。
小倉:
今パッと2つ、浮かびました。ひとつは高畑充希さんとご一緒した三菱地所のCM(24~26)です。あのCMで僕は白髪のおじいちゃんになっていく役なんですけど、CGで当てはめて映像を完成させているので、高畑さんとは特殊メイクのおじいちゃん姿でしかお会いしてないんです。
――素顔で顔を合わせる機会はなかったんですか?
小倉:
撮影が全部終わって、高畑さんがお帰りになるタイミングでご挨拶したくらいで。芝居をしている間は、ずっと素の姿でお会いできていませんでした。なので変な緊張がありました(笑)。
――もう一つの緊張エピソードは。
小倉:
timeleszの菊池風磨さんとの現場です。そのCM「Zキャリア」(25年)で、菊池さんはウサギの着ぐるみ姿でした。テレビで拝見していた印象は、面白くてパワフルな方というものでした。でも実際は、ものすごく礼儀正しくしっかりされていて、「上にあがっていく人というのは、こういうものなんだな」と納得でした。
――菊池さんとは、昨年のCM起用社数ランキングで同率でしたよね。
小倉:
いやいやいや、おこがましいので、やめてください(苦笑)。
――ランキングを気にすることはありますか?
小倉:
周りから言われると気になりますし、エゴサをすることもあります。CMが話題になると、「みんなどう思っているんだろう」「このキャラクター好きなのかな」という感じで、毎日のようにXで「オグラフミヤ」と調べていたこともあります(笑)。
憧れの俳優・滝藤賢一との共演
――以前から憧れの俳優として滝藤賢一さんの名前を挙げていらっしゃいます。楽楽請求のCM(24)で、ついに共演が叶いました。
小倉:
本当に嬉しかったです。まさかお会いできるとは思っていなかったですし。滝藤さんはお芝居はもちろんですが、植物がお好きだったり、ご家族の仲が良かったり、ライフスタイルにもすごく憧れがあります。写真集を持って行ってサインもいただきました。
ラフでいながら、しっかり人生を楽しんでいる感じが本当にかっこよくて、ダンディーで。僕もいずれ、そういう大人になっていけたらと思っています。滝藤さんが主演を務めたドラマ『俺のダンディズム』も好きでした。また機会があればご一緒したいです。
朝ドラ『風、薫る』では坂東彌十郎、片岡鶴太郎と
――放送中の朝ドラ『風、薫る』では、坂東彌十郎さん、片岡鶴太郎さんと共演されています。
小倉:
お二人とも本当に素晴らしい役者さんです。長年培ってきたものが体からにじみ出ていて、明治時代の衣装を着ると、よりそれを感じました。お二人の優しさがあるからこそ、現場の他の演者もありのままの自分を出しやすくなっているんだと思います。
――鶴太郎さんからステキな言葉をかけてもらったと耳にしました。
小倉:
「君はいろんな役ができる、本当にいいキャンバスなんだね」と言っていただきました。鶴太郎さんは絵も描かれる方なので、そういう視点があるんだなと思いました。
CMだけでなく、ドラマでも躍進する小倉。次回は、数々のオーディションを勝ち抜いてきた小倉の、「選ばれるための仕事術」に迫る。
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【小倉史也(おぐらふみや)】
1997年6月10日生まれ、埼玉県出身。子役として映画『20世紀少年』などに出演後、大学時代はダンスに打ち込み、卒業後に俳優活動を再開。2025年のCM起用社数ランキングでは全体10位・男性4位にランクインし、"隠れCMキング"の異名でも話題を集めている。24年公開の映画『PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』では、奥平大兼、鈴鹿央士とともにeスポーツのチームを組むクセ強男子・亘を好演。2026年前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』では、松原喜介役を演じている。
<取材・文/望月ふみ撮影/星 亘>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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