日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ヒトラーの毒見役』をレビュー!

戦争の恐怖を女性の視点からとらえ、毒見役として日々を共にする女性たちの間で揺れ動く関係性を映し出す

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ヒトラーの毒見役』をレビュー!

8月7日(金) 17:00

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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。実在したドイツ人女性の証言に基づいた驚愕の物語。***

『ヒトラーの毒見役』

評点:★3点(5点満点) ©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution

©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution



「ヒトラーの毒見役」の女性がたどった数奇な運命2012年、自分がかつて「ヒトラーの毒見役」として選ばれた女性グループの1人で、かつ唯一の生存者だと語ったマルゴット・ヴェルクの証言が世界を驚かせた。

というのも、これまでそのような「毒見役」の記録は見つかっておらず、また告白にあったような「毒見」のルーチンについての史料も存在しなかったからだ。

だが彼女の証言を否定する史料もまた存在しないし、ヒトラーのような人物に「毒見役」はつきものである。

ヴェルクの苦難は「毒見役」に抜擢されたことにとどまらない。

彼女はSSの将校に強姦され、大戦末期、からくもベルリンへ脱出するも逃亡者として追われ、侵攻してきたソ連兵の手に落ちて子供が産めない身体にされた。

95歳という高齢のヴェルクが痛ましい記憶を語った決意と、そこに至る逡巡は理解できる。

彼女の告白以外に史料や証言がないということは、彼女が語らない限り、それが永遠に「なかったこと」にされるということでもある。

本作はヴェルクの告白を基にした小説の映画化で、丁寧な時代考証に基づき「毒見役」のミクロな世界を描くことでマクロな「悪」を浮かび上がらせる。

血で汚れているのは本当は誰の手なのか?と問いかけながら。

STORY:1943年、第2次世界大戦末期。ベルリンの爆撃を逃れ、ポーランドの田舎町で戦地にいる夫の帰りを待つローザ。ある日、ローザらはヒトラーの毒見役に任ぜられ、苦悩に満ちた日々が始まる......

監督・脚本:シルヴィオ・ソルディーニ

出演:エリーザ・シュロットほか

上映時間:123分

全国公開中

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