深夜の介護施設で夜勤をしていたとき、今でも忘れられない出来事がありました。静まり返ったフロアに突然響いた物音。そして、ある居室から聞こえてきた切迫した声。普段の身体状況からは考えにくい利用者様の姿を目の当たりにし、私は「動けないはず」と思い込むことの危うさを強く感じました。
深夜のフロアに響いた物音
その夜、私はいつものように夜勤の巡回にあたっていました。フロアは静まり返っており、利用者の様子を確認しながら、ゆっくりと廊下を歩いていました。すると突然、どこからか「ガタン」という、やや大きな鈍い音が聞こえてきたのです。
最初は、どの部屋から聞こえた音なのかはっきりわかりませんでした。私はその場で足を止め、耳を澄ませながら周囲の様子を確認しました。
すると、ある居室のほうから「〇〇! 〇〇!」と、必死に誰かを呼ぶ声が聞こえてきました。それは、その利用者の娘さんの名前でした。
ベッド下に座り込んでいた利用者
ただ事ではないと感じた私は、声のする部屋へ急いで向かいました。居室に入ると、目に飛び込んできたのは、ベッドの下へ滑り落ち、床に座り込んでいる利用者の姿でした。
その方は普段、車椅子を使用されていました。自力で立ち上がることはもちろん、起き上がる際にも一部介助が必要な状態でした。そのため、ひとりでベッドの端まで移動することさえ難しいと考えられていたのです。
しかし、目の前の利用者は、娘さんの名前を呼びながら、何とか動こうとされた様子でした。その姿を見た瞬間、私は驚きで言葉を失いました。
「動けないはず」と思い込むことの危うさ
その利用者様が、なぜそのとき動こうとされたのか、はっきりした理由はわかりません。ただ、大切な娘さんの名前を必死に呼んでいた姿から、何か強い思いがあったのかもしれないと感じました。
普段の身体状況だけを見れば、「ひとりでは起き上がれない」「ベッドの端まで動くことは難しい」と判断してしまいがちです。しかし実際には、強い感情や不安、誰かを求める気持ちが重なったとき、予想外の動きにつながることもあるのだと知りました。
もちろん、それを簡単に「火事場の馬鹿力」と言い切ることはできません。それでも、普段の評価だけで「この方は動けないはず」と決めつけてしまうことは、事故のリスクを見落とすことにもつながるのだと痛感しました。
まとめ
この出来事を通じて、身体能力の評価は大切である一方で、それだけでは見えない場面もあるのだと学びました。特に夜勤帯は職員の目が届きにくい時間帯でもあります。だからこそ、「普段はできないから大丈夫」と思い込まず、より細やかに見守ることの大切さを改めて感じた出来事でした。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:山田里子/20代女性・会社員
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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