楽しみにしていたドラマの結末を、知らない人の独り言で知ってしまったらショックですよね。
今回は、電車内で繰り広げられたまさかのネタバレ騒動をご紹介しましょう。
電車の中でドラマを観始めた女性
ある平日の朝。永田亜弓さん(仮名・34歳)は、仕事へ向かうため電車に乗っていました。
「車内は、それほど混んでもいなくて。みんなスマホを見たり本を読んだりして静かに過ごしていましたね」
すると数駅進んだ頃、50代後半くらいの女性が乗り込んできたそう。
女性は空いていた席に座ると、おもむろにスマホを取り出し動画を観始めました。イヤホンをつけていたため音漏れはなく、一見すると周囲に迷惑をかけているようには見えなかったそう。
しかし問題は別のところにありました。
「おばさんは無意識なのか『うわ〜最低! 不倫なの?』『絶対あの人が犯人じゃん!』とドラマの展開にいちいち心の声が口から出ちゃっていて」
ここは家ですか? 止まらない実況
しかも女性は独り言というにはかなり大きな声量で、驚いた場面では身を乗り出したり、眉をしかめたりとリアクションまで大げさだったそう。
「最初はすぐ終わるかな? と思ったんですが、ずっと続くんですよ。しかも大きめな声で」
「信じられない! やっぱりそうだったんだ!」「え〜、そこでキスする?!」など、まるで自宅のリビングでテレビを観ているかのような調子で実況を続ける女性。
車内は静かなだけに、その声は驚くほど響いていたそう。周囲の乗客もチラチラと女性を見ています。
女性本人はまったく気づいていないのか、それとも気づいていても気にしていないのか、相変わらずスマホの画面に夢中です。
そんな中、亜弓さんの近くには女子高生が二人並んで立っていました。
人気ドラマで“最悪のネタバレ被害”発生
すると女性が再び「えーっ! 結局付き合うの?! それはないでしょ!」と叫んだそう。
「その瞬間、女子高生の一人が友人に小声で『ねえ、あれって「◯◯◯◯」(ドラマの名前)じゃない?』『たぶんそう。私まだ途中なんだけど』と話し出し……私は知らなかったのですが、どうやら人気のドラマだったらしく、二人とも微妙な表情をしていましたね」
亜弓さんも思わず「それは嫌だろうな……」と感じました。
しかし女性はお構いなしで「えー! 嘘でしょ? △△子がここでまた?」「えっ?! あの人死んじゃうの?」と実況を止めません。
女子高生の冷静すぎるひと言
「すると女子高生の一人が、意を決したように女性へ『すみません、もしかして◯◯◯◯のドラマ観てますか?』と笑顔で声をかけたんですよ」
女性は画面から目を離し「そうだけど?」と少し不機嫌そうに答えました。
すると女子高生は穏やかな口調のまま「ですよね? ネタバレされると嫌な人、この車両にも何人かはいると思いますよ」と注意したそう。
車内が一瞬静まり返りました。言い方はあくまで冷静で、責めるような口調でもありません。
注意された女性の反応にびっくり
それでも女性はカチンときたようで「はぁ?! 別にあなたに話してないんだけど! 今の子って本当にうるさいわね!」そう早口で言い捨てると、女性はスマホをバッグへ乱暴にしまいました。
しかも興奮した様子で「こんな人が乗ってる車両にいたくない!」と吐き捨てるように言いながら、ちょうど停車した駅で降りていったそう。
閉まりかけたドア越しにもまだ何かブツブツ文句を言っていたそうで、その姿に周囲は呆然としていました。
ドアが閉まると、女子高生は友人と顔を見合わせ「最後まで知らなくて済んでよかった〜」と小さく笑いました。
その様子を見ていた亜弓さんは思わず感心したそう。
「私だったら迷惑だと思ってもなかなか言えなかったと思います。でもあの子は怒ったり嫌味を言ったりせず、本当に冷静だったんですよね」
むしろ最後まで感情的だったのは女性の方でした。
「こんな風に、自分では何気ない行動のつもりでも、誰かにとっては楽しみにしていた作品の結末を奪う“ネタバレ”になってしまう場合もあるので、私も気をつけなくちゃと肝に銘じましたね」と微笑む亜弓さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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