郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を配達して回っている。そんな現役の郵便局員が、実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化したのが『郵便屋が集めた奇談』である。今回紹介する話は、配達に向かった郵便局員が、出がけの家族とすれ違った際に“ある異変”に気づいた話である。
【漫画】『未来からの便り』M支店のY君の話を読む
『未来からの便り』と題した本作は、あるアパートに配達に行った郵便配達員が、ちょうど出かけの家族に郵便物を渡そうとするものの「ポストに突っ込んどけ!」と言われるシーンから始まる。郵便局員はその際、不可解な顔をする。それは郵便物に関することではなく、すれ違った家族から匂ってきた香りについてだった。「このアパートで?…いや、そんな話は聞いてない」と思い直すものの、その匂いが気になり、この家族のことを印象強く覚えていた。そして後日、郵便局員はこの家族の名前をテレビのニュースで耳にすることになる。そのニュースとは水難事故で行方不明だった男性の死亡を伝えるものだった!
この漫画の作者は、現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんである。同僚たちが体験した話を漫画化していくうちに、送達ねこさんのもとには他局からも体験談が届くようになっていった。本作『未来からの便り』について送達ねこさんに詳しく話を伺ってみた。
――読者からも同様の体験談が届いていましたね!
はい。「接客業ですが、お客さんの中にもごく稀にそういう匂いの方がいます。この世は本当に説明し難い、説明できない不思議と謎がありますよね」という感想や「介護の仕事をしていますが、同じです。死期が近い方もそういう匂いがしますよ」というコメントが届いていました。貴重なお話を寄せていただけて、ありがたいです。
――読者コメントの返事に送達ねこさんが「この漫画を描いてから複数の方に教えていただくことがあるのですが、そうした結果になってしまうときと、大丈夫だったときとがあるようです。香りがしたあと、回避ルートもあるのかもしれません」と書いていたのが印象的でした。この発言にまつわるエピソードを教えていただけますか?
ある読者さんが、こんな体験を教えてくれたんです。保育園のママ友3家族で川へ遊びに行ったとき、目的地の川が見えたとたん車内に急にお線香の匂いが漂ったそうです。実は彼女のお祖母さんが亡くなる前日まったく同じ匂いがしたそうで楽しみが一転、不吉な予感でいっぱいになってしまったそうです。すぐにでも帰りたかったのですが子どもはテンションがあがってるしほかの家族のことも心配で、とにかく子どもたちから目を離さず、おしゃべりに加わらず誰かが川に近づこうとすれば河原に戻して乗り切ったそうです。
結局何もなかったので(あの匂いは何だったんだろ~?)と思って、後で実家のお母さんにこぼしたら「守ってもらったのかもよ」と言われたそうです。「もしあんたが見張らなかったら誰か不幸にあっていたかもしれない。何も起こらなくて本当に幸せだった」と。そう言われると確かに、レジャー先で冒険心から危ない場所に近づいたり「誰かが見てるだろう」と子どもが放置された結果に起こった悲しい事件がいくつも思い出されたそうです。それで、あの香りは「気をつけて!」と知らせてくれるアラートで、用心して受けとめたことで回避のルートに乗れたのかもしれないと思い直したそうです。
――すごく貴重なお話をありがとうございました。水の事故が多い季節、きっとこの記事を読んだ人たちにも“アラート”が届いたと信じたいです!
『郵便屋が集めた奇談』は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみよう。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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