8月5日(水) 5:00
墓じまいにかかる費用は、一般に数十万円から200万円前後まで幅があるとされています。冒頭のような200万円というのは高めのケースと考えられますが、条件によってはあり得ない金額とも言い切れません。
図表1
筆者作成
費用の主な内訳は、図表1にあるとおりです。まず墓石の撤去や、区画を更地に戻すための費用があります。これは区画の広さや立地、重機が入れるかどうかなどによって大きく変わる部分です。
次に、遺骨を取り出す際におこなう閉眼供養(魂抜きとも呼ばれます)のお布施があり、一般に3万円から10万円程度が目安です。
さらに、取り出した遺骨を移すための改葬の費用がかかります。改葬には市町村長の許可が必要で(墓地、埋葬等に関する法律第5条)、この改葬許可の申請手数料は、自治体によって異なります。そして、寺院の墓の場合に問題になりやすいのが、最後に挙げる離檀料です。
離檀料とは、檀家(だんか)をやめるときに、これまでの感謝を込めて寺へ渡すお礼のようなお金です。お布施と同じ性質のものと考えられ、寺院墓地に特有のものといえます。
公営墓地や民間霊園には、そもそも檀家という関係がないため、離檀料は発生しないのが一般的です。
金額については、一般に数万円から十数万円程度とされていますが、明確な基準はありません。法律上、離檀料の支払い義務がはっきりと定められているわけではないものの、長年の関係に対するお礼として、慣習的に求められることがあるのが実情です。
離檀料に明確な基準がないことから、寺と相談者の認識がずれて、トラブルに発展することがあります。国民生活センターの「見守り新鮮情報」(第424号)には、次のような相談事例が紹介されています。
ある80歳代の女性は、自宅から遠く自分も入るつもりがないため墓じまいを寺に申し出たところ、300万円ほどの高額な離檀料を求められて困惑したそうです。また、ある70歳代の女性は、跡継ぎがいないため離檀したいと相談したところ、過去帳に8人の名前が載っているとして700万円かかると言われ、不当に高いと感じたとのことです。
国民生活センターは、離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は基本的に寺と話し合うことになる、と説明しています。
当事者だけで抱え込まず、家族や親族も交えてよく話し合うことが大切です。金額に納得できない場合は、寺に減額を相談したり、ほかの寺院や墓じまいの専門業者に見積もりや意見を求めたりする方法もあります。
それでも解決が難しいときは、消費者ホットライン(電話番号188)に相談する方法もあります。
費用や手続きの負担から、墓をそのままにしておきたいと考える人もいるかもしれません。ただ、管理料の未払いが一定期間続くなどした場合、無縁墓として扱われ、墓石が撤去されて遺骨が合祀(ごうし)されることがあります。手続きの細かな流れは、霊園や寺院によって異なります。
合祀されると、ほかの人の遺骨と一緒に納められるため、あとから特定の遺骨だけを取り出すことはできなくなります。そのため、墓を放置して合祀されてしまうと、後からきちんと供養したいと思っても、やり直すことはできません。
墓じまいの総額は内訳次第で大きく変わり、200万円はやや高めの水準といえます。離檀料には、法的な支払い義務や明確な基準があるわけではなく、金額に納得できなければ話し合う余地があります。
一方、寺には墓地の維持費や長年の付き合いといった事情もあり、明確な基準がないからこそ、双方の認識がずれるともめやすいので注意が必要です。
費用を抑えるには、家族や親族で費用を分担する、寺へ事情を丁寧に伝えて相談するといった方法が考えられます。
また、墓地のある自治体に、利用できる補助制度がないか確認してみるのもよいでしょう。あらかじめ親族で話し合い、余裕をもって寺へ連絡しておくと、トラブルを避ける近道になるでしょう。
独立行政法人国民生活センター 見守り新鮮情報2022年度 縮刷版
e-Gov法令検索 墓地、埋葬等に関する法律
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
【墓じまい】「檀家」をやめる人が増えている!? 穏便に離檀するためにはどうすればいいの?