〈お芝居の仕事を始めてから16年が経ちました〉
〈私の人生でこれほど長く続けられているものは……お芝居と、そして料理だけです〉
そう綴るのは、女優の黒木華さん(36歳)です(〈〉は同書からの引用、以下同)。
「私の人生は、お芝居と料理」
今年4月期の主演ドラマ『銀河の一票』(フジテレビ系)も熱く支持されましたが、数々の名ドラマ・映画に出演してきた黒木さん。超多忙にもかかわらず、仕事がある日も「できるかぎり自炊」だというから驚きです。
『はるの献立日記』(飛鳥新社2026年7月)は、黒木さんが365日作った料理・食べたもの=“献立”を記録した、初の著書です。
食卓だけでなく、そこに登場した簡単にできて栄養たっぷりのおにぎりや、母から受け継いだ主菜等、素朴であたたかいレシピも満載です。
女優という仕事柄、長期に自宅を空けたり、スケジュールの変則はつきもの。それでも〈料理をしている間だけは無心になれるのです〉と黒木さん。そんな黒木さんの心身を整えるレシピ、いくつかご紹介しますね。
手軽でおいしい、特製おにぎり
2025年1月1日。「お節は母と一緒に作ります」という黒木さん。この日のお昼はパスタ、冷蔵庫のお野菜もたっぷり入れて、今日も元気にいただきます。
時間さえあれば朝ごはんはしっかり食べますが、早朝から撮影がある時は、手作りのおにぎりが重宝します。ひとつ作るのもふたつ作るのも変わらない、とマネージャーさんの分も持参するそうです。
「おにぎり食べておけば何とかなる!」が持論の、黒木さん特製おにぎり。一口ほおばれば、お腹から力が湧いてきそうです。
●おにぎり3種
材料(大きめ5~6個分)
炊き立てのごはん……約600g
塩……適量
A
卵……1個
塩……ひとつまみ
B
紅しょうが……大さじ2
いりごま……大さじ1
ごま油……少々
梅干し……2個
明太子……1/2腹
①卵をボウルに割りほぐし、塩を加えて混ぜる。フライパンにごま油を薄く敷き、薄焼き卵を2枚焼く。
②紅しょうがはみじん切りにする。明太子は食べやすく切る。
③ごはんの1/3量をボウルに入れ、Bを混ぜる。半分ずつ三角に形を整え、①の卵で巻く。
④残りのごはんを4等分し、手塩をつけながら梅干し2個、明太子2個をそれぞれ握る。
薄焼き卵の黄色が鮮やかで、朝からパワーと栄養がしっかりチャージされます。ごま油の香ばしさが食欲をさそい、心身が穏やかに目覚めそうです。
母直伝の味鶏手羽のさっぱり煮
体調が悪い時、胃にやさしいものが食べたい時、さらに満足感も得たい時。不思議と体が欲するのが鶏肉。
〈元々は母の得意料理のひとつ〉という、〈鶏手羽元のさっぱり煮〉。黒木さんも自宅でよく作る煮込み料理です。
●鶏手羽のさっぱり煮
材料(3~4人分)
鶏手羽元……8本
ゆで卵……4個
しょうが……2片
A
砂糖……大さじ1
酒……大さじ1
酢……大さじ3
醤油……大さじ2
水……300ml
①しょうがは皮付きのまま薄切りにする。
②鍋に鶏手羽と①、Aを入れて中火にかける。ひと煮立ちしたらあくを取り、火を弱めて落し蓋をし、20~30分煮込む。
③手羽が柔らかくなったらゆで卵を加え、煮汁を馴染ませながら2~3分煮る。そのまま粗熱を取り、味を馴染ませる。
あまじょっぱくて、アクセントにしょうがをきかせた味は、懐かしいのに奥が深く、箸が止まらないおいしさ。〈骨から自然に肉が外れてしまうくらい、ほろほろになったらできあがり〉というこのメニュー、作り置きしても便利な一品です。
季節感を大切に、多忙でも食と向き合う
おせちからはじまり、年越しそばで締めくくる。黒木さんの365日は、季節感や行事を大切にしつつ、日々の生活の中で毎日の食事を一期一会として捉えているのがわかります。
忙しくてヘトヘトに疲れた日も、撮影続きで不規則な日も、友人と集まる日も、囲む食卓はいつでも二度とない特別なもの――そんな黒木さんの、日々を慈しむ気持ちが詰まった一冊です。
※撮影:馬場わかな、ヘアメイク:新井克英、スタイリング:池田ミレイ
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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