いつ読んでもみずみずしさに溢れ、語る口調に独特の熱気がある

いつ読んでもみずみずしさに溢れ、語る口調に独特の熱気がある

いつ読んでもみずみずしさに溢れ、語る口調に独特の熱気がある

8月1日(土) 16:00

提供:
ホノルル、ブラジル: 熱帯作文集 『ホノルル、ブラジル: 熱帯作文集』(インスクリプト)著者:管 啓次郎 Amazon | honto | その他の書店

◆語る口調に独特の熱気
管啓次郎の文章は、いつ読んでもみずみずしさに溢(あふ)れている。文学作品だろうと、ハワイだろうと、トルティーヤだろうと、自分が好きなものを語る口調には、独特の熱気がある。それでいて対象との距離感が絶妙なのだ。彼の最初の著書 『コロンブスの犬』 という本を、もう二十年近く前に手に取った日のことを思い出した。まったく変わらない読後感をこの新著からも味わった。

副題に「熱帯作文集」とあるとおり、ハワイやブラジルに滞在した折の記憶や経験がベースに語られる。漫然と、ではない。味覚と言語を通じて、つまり舌を介して感じ取ったモノが文字に置き換えられるのだ。辛い食物や乾燥した高地の暑さが、広大さや不均衡や喧騒(けんそう)や静寂が、奇蹟(きせき)的な言葉で綴(つづ)られている。

この本は、著者が教職に就いてから書いた文章を元に編まれている。だから、やや若者に語りかける調子が前面に出ている。だがここでも管は読者に対して絶妙の距離を取る。押しつけるでもなく媚(こ)びるでもない。けっして声高ではないが力強い声は、地球を何周もするほどの移動を刻印しながら、この本を類書のない、際立った書物に仕立てている。



【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2007年1月24日

【書誌情報】
ホノルル、ブラジル: 熱帯作文集 著者:管 啓次郎
出版社:インスクリプト
装丁:単行本(210ページ)
発売日:2006-12-01
ISBN-10:4900997153
ISBN-13:978-4900997158 ホノルル、ブラジル: 熱帯作文集 / 管 啓次郎
ALL REVIEWS

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ