これは、友人Aが話してくれたことです。Aの夫は妊娠や出産にまったく理解がなく「無痛分娩は甘え」と言う始末。「もしかしたら、産後の育児もしてくれないのでは」と不安に思ったAは、夫が少しでも変わってくれることを願い、自然分娩を決意しますが……。
出産を甘く見ている夫
友人Aは長女の妊娠中、夫の理解のなさに悩んでいました。つわりで寝込み、家事の手伝いを頼むAを「大げさだ」と笑い、無痛分娩を希望すれば、
「無痛は甘え。痛みを伴ってこそ本当の母親になれるって母さんが言ってたよ」
と一蹴。妊娠中に散々な言われようだったAは「何を言っても無駄だ」と悟り、「せめて出産の壮絶さを見せつけてやろう」と、夫の立ち合いを条件に、自然分娩を決意しました。
いよいよ陣痛が始まった日。Aが陣痛室のベッドで痛みに耐える隣で、夫は「いつパパって呼ぶかな」とニヤニヤするだけ。見かねた助産師さんに促され、渋々Aの腰をさすりはじめました。若い助産師さんは「パパじょうず! その調子!」と言い、部屋から出て行きました。褒められた夫は、上機嫌でした。
少し経ってから、同じ助産師さんが様子を見にきました。すると夫が
「手首が痛いんですけど。これいつまですればいいですか?」
と助産師さんに尋ねます。助産師さんは「赤ちゃんが生まれてくるまでですよ」と平然と答えました。そして、
「ママは、パパの手首の何百倍もの痛みを耐えています。そういう発言を『デリカシーがない』って言うんですよ」
とぴしゃりと言ってのけてくれたのです。
助産師さんの厳しい言葉にうつむく夫。手首の痛みに音を上げて怒られている夫の情けない姿に、Aは陣痛のなか思わず吹き出しそうになりました。しかしそれと同時に、出産の壮絶さを見せつけてやろうと息巻いていた自分が急に馬鹿馬鹿しくなり、夫に対する期待もスーッと冷めていくのを感じたA。助産師さんが去ると、「もういいよ。ありがとう」と、夫の手を払いのけたのでした。
その後無事に出産を終え、迎えた退院の日。ふにゃふにゃの娘を抱いたAと助産師さんが話していたところへ、夫とAの両親、義両親が迎えに来ました。助産師さんは夫に「手首はもう大丈夫ですか?」と言い
「痛みを伴わないと、ちゃんとしたパパになれないんですもんね?」
と言いながらニヤリと笑いました。夫は「それ、どういう意味……」と言い焦り顔。
実は、産後の入院期間中、Aは助産師さんに妊娠中の夫のことを相談していたのでした。それから助産師さんは夫に、
「“痛みを伴わないと親になれない”のなら、痛みから逃げようとしたパパさんは親になれてなかったかもしれないですね。どうです? 考え改まりました?」
と聞かれると、夫は顔を赤くしながら「はい」と言います。
横にいた義母が「どういうこと?」と口を挟み、夫は「少し前に母さんが言ってたじゃないか……痛みを伴ってこそって……」と言いかけた瞬間、
「あれは、そんなこと考える人がいるなんてありえないって話だったでしょ!? 私がそんなひどいこというわけないでしょ! 勘違いしといて私のせいにするなんて……! Aさんに謝りなさい!」
と義母の怒号が飛びます。夫はAの両親や助産師さんの前で叱られ、耳まで真っ赤にしながら「ごめんなさい。育児、頑張ります!」と宣言してくれたのでした。
退院後、Aの夫は宣言通り、率先して家事や育児をしてくれたそう。しかも、義母が定期的に監視に来て、夫はサボる間もなかったようです。
どんな出産方法でも、出産は命がけで尊いもの。妊娠中に助けを求めることも、無痛分娩を選択することも、決して甘えではないはずです。聞き間違い、勘違いとはいえ、正しい知識を自分で知ろうともせず、パートナーに寄り添う気持ちがないのはとても残念なことだと私は思います。Aの話を聞いて、妊娠中からしっかりと夫婦で支え合い、正しい知識を共有することが大事だと感じた出来事でした。
著者:横田りな/30代・主婦。7歳の息子と4歳の娘を育てるママ。夢のマイホームのため節約を始めたところ、意外にも楽しくて、最近では自分で節約レシピを考えるのがマイブーム。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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