7月31日(金) 6:00
特養の費用は、主に「介護サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」の4つで構成されます。介護サービス費は、要介護度や施設の種類、地域区分、加算の有無で変わります。一方、居住費は施設との契約内容や居室タイプ、食費は施設との契約内容によって決まるものです。
例えば、2026年7月時点の基準で、要介護3の人がユニット型個室を利用し、自己負担1割・加算なし・補足給付なし・30日利用として試算すると、図表1のようになります。
図表1
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」より筆者作成
試算では、介護サービス費・居住費・食費の合計だけで月約13万円です。これはあくまで一例で、地域区分や各種加算によって増減します。さらに、施設や本人の状況によって変わる日常生活費もかかるため、実際の支払額は月14万円前後になることもあるでしょう。
特養の費用で差が出やすいのが居住費です。2026年7月時点の基準費用額では、ユニット型個室の居住費は1日2066円で、30日では月約6万2000円になります。
一方、特養等の多床室は1日915円で、30日では月約2万7000円です。ユニット型個室と多床室では、居住費だけで1日あたり約1150円、30日で約3万4500円の差があります。
ユニット型個室は、個室で生活しながらケアを受けられる一方、居住費は高めです。「特養かどうか」だけでなく、「どの居室タイプか」まで確認しましょう。
年金が月10万円程度の場合、軽減なしでは特養の費用が年金を上回る可能性があります。ただし、所得や資産が一定以下の人には「特定入所者介護サービス費」、いわゆる補足給付という仕組みがあります。
補足給付では、所得や資産の状況に応じて、食費や居住費の負担上限額が変わります。つまり、年金が少ない人ほど負担が軽くなる仕組みです。
例えば、世帯全員が住民税非課税で、本人の公的年金等収入額とそのほかの合計所得金額の合計が80万9000円超120万円以下の場合は、「第3段階(1)」という区分になります。この所得判定には、遺族年金や障害年金などの非課税年金収入も含まれる点が特徴です。
ただし、所得だけでなく預貯金等の資産要件も満たす必要があります。第3段階(1)の場合、預貯金等が単身550万円以下、夫婦1550万円以下であることが条件です。
第3段階(1)に該当する場合、2026年7月時点では、ユニット型個室の居住費負担限度額は1日1370円、食費は1日650円です。30日換算では居住費が約4万1000円、食費は約1万9000円になります。
軽減なしでは居住費と食費だけで月約10万5000円かかるところ、補足給付の対象になれば、2つを合わせて月6万円程度です。介護サービス費や日常生活費を加えても、年金月10万円の範囲におおむね収まる可能性があります。
補足給付の利用には、市区町村への申請と負担限度額認定が必要です。本人の年金額だけでは判断できないため、入所前に自治体の窓口で確認しましょう。
介護施設の話題で「月20万円以上かかるらしい」と耳にすることもあります。その場合、特養ではなく介護付き有料老人ホームなどの民間施設である可能性があります。
特養は介護保険施設の1つで、原則として要介護3以上の人が入所対象です。所得や資産が一定以下であれば、居住費や食費について補足給付を受けられます。一方、介護付き有料老人ホームなどは、家賃や管理費、食費を施設が設定し、入居一時金がかかることもあるでしょう。特養のような介護保険施設を対象とする補足給付は、原則として利用できません。
同じ「介護施設」でも費用の考え方は大きく異なるため、金額だけでなく、どの種類の施設かを確認しましょう。
特養は、民間の有料老人ホームなどと比べると費用を抑えやすい施設です。ただし、軽減なしのユニット型個室では、介護サービス費・居住費・食費だけで月約13万円かかることもあり、日常生活費を含めると年金月10万円では不足するかもしれません。
一方で、世帯全員が住民税非課税で、資産要件などを満たす場合は、負担限度額認定によって居住費と食費が軽減されます。年金月10万円の親でも、条件に当てはまれば施設代を年金の範囲でまかなえる場合もあるでしょう。
なお、食費の基準費用額は、2026年8月から1日1545円に引き上げられます。補足給付の負担限度額も一部見直されるため、入所を検討する際は、施設の見積書や自治体の案内で最新額を確認しましょう。
厚生労働省 介護サービス情報公表システム サービスにかかる利用料
厚生労働省 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準
厚生労働省 介護保険最新情報掲載ページ(介護保険最新情報Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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