7月31日(金) 4:20
公的年金制度は、働き方によって加入する年金制度が「国民年金」と「厚生年金」に分かれています。自営業の夫が加入しているのは原則として「国民年金」のみであり、万一亡くなった場合に遺族へ支給されるのは「遺族基礎年金」です。
ここで自営業世帯にとって注意しなくてはならないのが、遺族基礎年金は原則として、「18歳到達年度の末日までの子(または障害等級1・2級の20歳未満の子)」を養育している配偶者にしか支給されないという点です。
子どもはすでに高校を卒業して成人であるなど、18歳到達年度の末日を過ぎている場合には、年収や資産状況にかかわらず遺族基礎年金の受給対象から外れ、受給額は「0円」となってしまいます。
同世代のおばは、子どもがすでに独立しているにもかかわらず、なぜ遺族年金を受け取れているのでしょうか。その理由は、亡くなった夫が「会社員(または公務員)」として厚生年金に加入していたためです。
会社員の遺族に支給される「遺族厚生年金」には、遺族基礎年金のような「18歳年度末までの子がいること」という要件はありません。受給条件を満たす配偶者であれば、子どもの年齢に関係なく受給できる場合があります。
また、40歳以上65歳未満の妻で子どもが成人している場合、条件を満たしていれば「中高齢寡婦加算」が支給されるなど、65歳になるまでの生活を支える制度も設けられています。
このように、会社員世帯には遺族への保障が用意されている一方、自営業世帯では遺族基礎年金だけでは十分な保障を受けられない場合が多く、夫の働き方によって大きな差が生じるのが現実です。
遺族年金を受け取れない50代の自営業の妻が直面するのは、自身の老齢基礎年金を受給できる65歳まで、およそ10年前後続く可能性のある「無年金・無収入期間」です。
自営業(第1号被保険者)の夫が亡くなった場合には、救済制度も設けられています。1つ目は、夫が受け取る予定だった老齢基礎年金の4分の3相当を妻が60歳から65歳までの5年間受給できる「寡婦年金」です。ただし、夫との婚姻期間が10年以上あることなどの条件があります。
2つ目は、夫が支払った保険料の期間に応じて12万~32万円が支給される「死亡一時金」です。ただし、これら2つの制度は「どちらか一方しか選べない(選択受給)」という点に注意が必要です。
いずれにしても、会社員世帯の遺族厚生年金の手厚さと比べると、自営業の保障内容は限定的でしょう。
自営業世帯がこういったリスクに備えるためには、公的年金だけに頼らず、現役のうちから自助努力による備えを進めておくことが重要です。
まず、自営業世帯は会社員世帯よりも公的保障が薄いため、死亡保険や就業不能保険などの民間保険を活用し、万一の際の生活費や事業整理資金を確保するのが有効です。
さらに、妻自身は、可能であれば勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)へ加入できる働き方を選ぶことで、自身の将来の年金額を増やすことも期待できます。
加えて、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済などの税制優遇制度を活用し、公的年金を補う資産形成を進めておくことも、老後の安心につながります。
自営業の夫を亡くした遺族に支給される「遺族基礎年金」は、原則として18歳年度末までの子を養育している配偶者に限られるため、子どもがすでに成人している50代の妻は受給できません。
一方、会社員の夫が厚生年金に加入していた場合には、一定の要件を満たせば「遺族厚生年金」を受け取ることができ、子どもの有無にかかわらず保障を受けられることが多いでしょう。
このように、夫の働き方によって遺族保障には大きな違いがあるため、自営業世帯では公的保障だけでは不足する可能性があります。
夫が自営業の場合は、民間保険の活用や妻自身の社会保険加入、iDeCoや小規模企業共済などによる資産形成を組み合わせ、万一の事態にも対応できる家計づくりを進め、将来の安心につなげてください。
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
夫が亡くなったら遺族年金、いくらもらえる?4組の夫婦で比較してみた