7月30日(木) 3:00
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取る年金です。しかし、希望すれば60歳から64歳までの間に受給を開始する「繰上げ受給」を選択できます。
繰上げ受給の最大のメリットは、年金を早く受け取れることです。退職後の生活費が必要な場合や、貯蓄をできるだけ減らしたくない場合には安心感につながるでしょう。
一方で、繰上げ受給を選ぶと、受給開始を早めた期間に応じて年金額が減額されます。そして、この減額率は一生変わりません。つまり、65歳以降も減額された年金額を受け取り続けることになります。
そのため、「早く受け取れる」というメリットだけで判断するのではなく、その後の生活設計まで考えたうえで選択することが重要です。
「繰上げ受給は損」といわれることもありますが、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。
例えば、受給開始から比較的短い期間で亡くなった場合には、早く受け取った分だけ総受給額が多くなるケースもあります。一方で、長生きした場合は、減額された年金を長期間受け取ることになるため、65歳から通常どおり受け取った場合より総受給額が少なくなる可能性があります。
また、繰上げ受給には年金額の減額以外にも注意点があります。
例えば、繰り上げ請求後は国民年金への任意加入や保険料の追納ができなくなります。さらに、65歳になるまでの間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付を受ける場合は、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となることがあります。
このように、繰上げ受給は単純に損得だけで判断できる制度ではありません。健康状態や働き方、家計の状況などを踏まえて検討することが大切です。
質問のケースでは、「60歳で繰上げ受給を始めた母親が、今から取りやめられるのか」という点が問題となっています。
日本年金機構によれば、老齢年金の繰り上げ請求をしたあとは、請求を取り消すことはできません。
つまり、一度繰上げ受給の手続きを行い、受給が始まったあとは、「やはり65歳から受け取ることに変更したい」と思っても元に戻すことはできません。
そのため、「早く受け取った方が安心」という理由だけで安易に決めるのではなく、将来の生活費や受給期間を十分に考えたうえで判断することが重要です。
年金の繰上げ受給は、早く受け取れる安心感がある一方で、受給額が生涯にわたって減額される制度です。そのため、長生きした場合には通常受給より総受給額が少なくなる可能性があります。
ただし、だからといって一概に「損」とはいえません。健康状態や資産状況、退職後の収入などによって、繰上げ受給が適した選択になるケースもあります。
一方で、一度繰上げ受給を開始すると、あとから取り消すことはできません。そのため、今回のケースのようにすでに受給を始めている場合は、65歳受給へ変更することはできない点を理解しておきましょう。
年金は老後の生活を支える大切な収入です。受給開始時期を決める際は、「早くもらえるから」という理由だけではなく、自分のライフプランや家計の状況も踏まえ、必要に応じて年金事務所などへ相談しながら慎重に判断することをおすすめします。
日本年金機構 年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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