7月30日(木) 5:00
香典は、亡くなった人に対してではなく、葬儀を取り仕切る喪主に贈られるのが一般的です。今回のケースでは喪主は母親なので、香典は母親が受け取ったものと考えられます。
ここで重要なのは、香典が「故人の財産」ではないという点です。相続財産とは、亡くなった人が遺した財産のことを指します。香典は、故人の死後に喪主へ贈られた金品であり、故人がもともと持っていた財産ではないため、相続財産には含まれないと考えられています。
そのため、香典を兄弟で分けなければならないという法的な義務は、原則としてありません。
香典には、葬儀にかかる費用を周囲が少しずつ補助するという性質があります。喪主は葬儀費用を負担する立場にあるため、費用を助ける目的で渡される香典は、喪主が受け取るものと解されています。
次に、受け取った香典に税金がかかるのかどうかです。香典に関係する税金としては、贈与税・相続税・所得税の3つが考えられますが、いずれも原則として課税されません。
香典にかかわる税金を整理すると、図表1のとおりです。
図表1
筆者作成
ここで注意したいのは、「80万円だから非課税」と単純に結びつけられるわけではないという点です。
香典80万円は、参列者から渡された金額の合計であり、それぞれが社会通念上相当と認められる範囲であれば、合計が80万円になったとしても、通常は課税されないと考えられています。今回のケースも、1人あたりの金額は常識的な範囲に収まっていると考えられます。
一方、特定の1人から相場を大きく超える金額を受け取った場合には、その超えた部分が贈与税や所得税の対象となることもあります。
香典は相続財産ではなく、兄弟で分ける法的な義務は原則としてありません。母親が生活費に充てたこと自体に、法律上の問題はないと考えられます。
ただし、相続人全員が話し合って合意するのであれば、香典を含めて分け方を調整する余地はあります。あくまで法的な義務ではなく、家族の合意による調整という位置づけです。
なお、葬儀費用を誰がどれだけ負担したかをめぐっては、不公平感が生まれやすい点にも注意が必要です。香典は葬儀費用の補助という性質を持つため、費用の負担と香典の使い道がかみ合わないと、トラブルの火種になりかねません。
香典は、原則として喪主である母親のものであり、故人の相続財産には含まれません。そのため、兄弟で分ける義務は基本的になく、母親が生活費に充てたことも問題はないと考えられます。
ただし、社会通念を大きく超える金額であった場合や、葬儀費用の負担に偏りがある場合には、税金やトラブルの面で注意が必要になります。誰からいくら受け取り、葬儀費用にどれだけ使ったのかを記録し、家族へ丁寧に説明しておくことが、円満な解決につながるといえるでしょう。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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