ディズニー&ピクサー「トイ・ストーリー」シリーズの最新作「トイ・ストーリー5」(公開中)。本作では、最先端タブレットのリリーパッドが、ウッディやバズたちアナログのおもちゃたちの脅威となって立ちはだかる。
現代社会でも子どもとデジタルデバイスの付き合い方はさまざまな議論を呼んでおり、劇中ではおもちゃの持ち主である少女ボニーがリリーパッドのチャット機能で悪口を言われてしまうシーンも描かれる。しかし、ピクサーの製作陣はデジタルデバイスを“完全悪”としては描いていない。
これは何故なのだろうか。その理由を、ケナ・ハリス共同監督は「現代社会で私たちの生活に浸透しているスマートフォンやタブレットを悪として切り離すことは不自然だと思いました。アナログのおもちゃによって友達との結びつきが生まれるように、デジタルを介した人と人とのつながりも大事なんだということを伝えたかったのです」と語っている。本記事では、ハリス共同監督のコメントとともに、デジタルおもちゃを“完全悪”として描かなかった理由を深掘りしていく。
※以下の内容には「トイ・ストーリー5」のネタバレが含まれています。ご注意ください。
ウッディやバズ、ジェシーの前に現れるのは、何でもこなせる多機能なリリーパッドだ。友達とのオンラインゲームや、あらゆる言語への翻訳機能、音声アシストなど様々な機能があり、ボニーも周囲の子たちに合わせ朝から晩までリリーパッドを手放さなくなる。ボニーはオンライン上で簡単に友達が作れたが、実際にお泊り会をしてもみんなはタブレットに夢中。さらにボニーがバズやジェシーなどのおもちゃで遊んでいることをオンライン上でバカにされてしまい、ボニーは傷ついてしまう。
現代社会でも長時間のスマホ依存やSNSでのいじめなどが問題視されることは多く、そうした問題をピクサーが真正面から描いたことは意義のあることだろう。
しかしケナ・ハリスはデジタルデバイスの描き方にはかなり苦労したそう。
「私たちは映画制作者、若者、親などそれぞれの立場からデバイスとの向き合い方を考えました。それぞれデジタルデバイスに対して非常に複雑な感情を抱いており、様々なパターンを模索しました。単純に『デジタルは悪だ』と伝える映画は面白さや楽しさに欠けますし、今の私たちのリアルな生活からはかけ離れてしまうので、デジタルを悪役にして最後にリリーパッドをゴミ山に捨て去る、というストーリーにはできませんでした」
さらに、デジタルを登場させることで本当に描きたかったメッセージについて、ハリスは「子どもたちはデジタルを通して、互いに学習やゲームでつながっています。その“つながり”こそ私たちが映画で描きたかった事なんです。おもちゃによって好奇心や遊び心が育まれ、本当の意味で人と人とを結びつけてくれるように、デジタルでもつながることができるということを描きたかったんです」と、アナログでもデジタルでも人とつながることの大切さを明かしている。
劇中では、リリーパッドもウッディやバズたちと同じく、“ボニーを笑顔にしたい”“ボニーに友達を作らせてあげたい”という思いで行動する姿が描かれる。ハリスはリリーパッドについて「リリーパッドはボニーのために正しいことをしたい、子どもを正しく育てたいという考えを持っているんです。ボニーに友達を作ってあげることが自分の使命だと思っており、リリーパッドはそれを数秒でできるのですが、時には失敗もしてしまいます」と説明。
夏休みに入り、学校で会えない友達とスマホやタブレットで連絡することも多くなるこの時期こそ、本作を見て親子でデジタルデバイスの付き合い方を考えてみてはいかがだろう。
【作品情報】
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トイ・ストーリー5
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