7月28日(火) 4:40
一般的に「差額ベッド代」と呼ばれる費用の正式名称は、「特別療養環境室料」です。本来、この費用は、患者自身が「静かな環境で療養したい」「個室を希望する」と自ら選択した場合に限って請求できるものとされています。
厚生労働省の通知では、次の3つのケースに該当する場合、病院は差額ベッド代を患者へ請求してはならないと定めています。
・同意書による同意の確認を行っていない場合
・患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
・病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
3つ目に該当する事例として、「特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合」という文言も記載されています。今回のケースも、請求してはならないケースに該当するといえるでしょう。
「大部屋が満床で個室しか空いていない」といった理由は、明確に病院側の都合に該当するため、患者が自ら個室を希望していないのであれば、原則として差額ベッド代を支払う義務がないことが分かりました。
しかし、実際の医療現場では、「個室しか空いていませんので、こちらにサインをお願いします」と入院手続きの流れのなかで同意書への署名を求められるケースがあります。また、「サインをいただかないと入院手続きが進められません」といった説明を受け、十分に内容を理解しないまま署名してしまうケースも少なくないでしょう。
ここで注意したいのは、一度同意書に署名してしまうと、「患者が料金や条件を理解したうえで、自ら個室を希望した」と判断される可能性があることです。後から「病院都合だから支払いたくない」と主張しても、認められにくくなります。
実際に窓口で「個室しか空いていない」と言われ、同意書を提示された場合は、今後も治療でお世話になる病院との関係に配慮しながら、冷静な対応を取ることが大切です。
その際に大事なのは、雰囲気に流されて署名しないことです。「大部屋を希望しているので、差額ベッド代には同意できません」と落ち着いて伝え、書類への署名は保留してください。
同時に、「厚生労働省の通知では、大部屋が満床という病院側の都合による個室利用については、差額ベッド代は請求できないと理解しています」と事実に基づいて伝えることで、病院側も適切な対応を講じてくれるでしょう。
また、「大部屋が空き次第、すぐに移動します」と伝えれば、「個室を希望しているわけではない」という意思が明確になります。病院側にも配慮を示しながら、自分の権利を主張できる方法です。
可能であれば、書類を保留にする際、スマートフォンの録音機能で窓口とのやり取りを記録に残しておいたり、同意書の余白に「大部屋が空き次第移動する条件で、一時的に個室へ入ることに同意する」と一筆書き添えておいたりすると、後々の請求トラブルを防ぐのに効果的です。
差額ベッド代に同意していないにもかかわらず、「支払わなければ入院できない」「当院のルールなので支払ってください」と強く求められた場合は、一人で抱え込まずに相談することが大切です。
まずは、病院内に設置されている医療相談室や患者相談窓口、医療ソーシャルワーカーへ事情を説明してください。現場とは別の立場から対応してもらえることがあります。
それでも解決せず、退院時に請求書へ差額ベッド代が加えられていた場合には、厚生労働省の地方支分部局である地方厚生局や、各都道府県が設置している医療安全支援センターなどの公的機関へ相談する方法があります。
入院中は本人の対応が難しい場合もあるため、家族や付き添いの人に相談や手続きをお願いすることも有効です。
急な入院で「大部屋が満床なので個室をご利用ください」と案内された場合、その理由が病院側の都合である以上、厚生労働省のルールでは差額ベッド代を患者へ請求できないとされています。
ただし、促されるまま同意書へ署名してしまうと、自ら個室を希望したと判断される可能性があるため注意が必要です。治療への影響を心配して言い出しにくい場面であっても、落ち着いて伝えるようにしましょう。
本来支払う必要のない費用を負担しないためにも、必要に応じて医療相談室や公的な相談窓口を活用するのもおすすめです。
厚生労働省 「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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