7月28日(火) 2:20
どこからどこまでの世帯を「富裕層」と位置づけるか、普遍的な定義はありません。世帯の消費行動や、それを見る人の感覚によって判断は分かれるでしょう。
そこでひとつの指標として、コンサルティングやITソリューションなどに携わる「株式会社野村総合研究所」の指標を参考にします。株式会社野村総合研究所によると、純金融資産保有額によって、世帯は以下の5階層に分類されます。
※純金融資産とは、預貯金や株式などの資産から、負債を差し引いた金額を指します
・超富裕層:5億円以上
・富裕層:1億円以上5億円未満
・準富裕層:5000万円以上1億円未満
・アッパーマス層:3000万円以上5000万円未満
・マス層:3000万円未満
今回のケースの兄夫婦に住宅ローンなどの負債がなく、純金融資産が3000万円以上5000万円未満であればアッパーマス層に該当しますが、まだ富裕層には達していません。
表1に、株式会社野村総合研究所が2023年を対象に調査した、上記の5階層に属する世帯数とおおよその割合をまとめました。
表1
| 純金融資産別階層 | 世帯数 | 全体に対する割合(%) |
|---|---|---|
| 超富裕層 | 11.8万 | 約0.21% |
| 富裕層 | 153.5万 | 約2.75% |
| 準富裕層 | 403.9万 | 約7.25% |
| アッパーマス層 | 576.5万 | 約10.34% |
| マス層 | 4424.7万 | 約79.43% |
出典:株式会社野村総合研究所「純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」に関する推計を基に筆者作成
超富裕層と富裕層に該当する世帯は、全体のわずか3%未満です。日本の世帯の約8割は、マス層に属しています。負債を差し引いた純金融資産が3000万円以上であれば、上位約2割であるといえるでしょう。
純金融資産が3000万円でも、消費行動によっては、実際に余裕がそれほどない可能性があります。
例えば、兄夫婦が近い将来、住宅を購入して大規模なローンを組むことを考えているのであれば、頭金や今後の返済に備える必要があり、毎日の生活に充てられるお金はそれほど多くないかもしれません。日本銀行の政策金利引き上げに伴い、住宅ローンの変動金利が上昇する可能性があるからです。
マイカーローンでも、変動金利を選択している場合は、市場金利の上昇によって返済負担が増える可能性があります。
また、物価上昇(インフレ)の影響も考慮しなければなりません。物価が上昇している昨今、現金の実質的な価値が目減りすることで、3000万円という資産の購買力も低下する可能性があります。
ほかにも、子どもの養育費や親の介護、老後の生活費など、将来のイベントを想定してお金を取り分けており、日々の生活費として使えないケースもあるでしょう。
そもそも、日頃から倹約を続けて資産形成を進めた結果、純金融資産が3000万円に到達しているのであって、毎月の収入がそれほど高くないケースも考えられます。
金融資産が多ければ多いほど生活にゆとりが出やすいことは事実です。しかしアッパーマス層においては、現在の収支バランスや将来のイベントなどによって余裕が感じられにくいケースも珍しくないでしょう。
純金融資産3000万円は、一見すると生活が楽だと思われるかもしれませんが、実際には家計に余裕が感じられないケースもあります。
兄夫婦は純金融資産が3000万円以上5000万円未満であれば、株式会社野村総合研究所の指標ではアッパーマス層に該当し、純金融資産保有額においては上位約2割に属しています。しかし養育費や住宅ローン、介護など今後のライフイベントに備えて、純金融資産に手を付けられないのかもしれません。
生活にゆとりが出るかどうかは、現在の金融資産のみならず、月々の収支バランスによっても左右されます。
株式会社野村総合研究所 野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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