7月27日(月) 23:30
もし『ドラえもん』のひみつ道具「どこでもドア」が現実世界で実用化された場合、一体どれほどの経済効果を生むのでしょうか。
具体的な節約金額などを試算する前に、まずは現実のインフラ事情や運営コストを考慮し、どこでもドアを利用する際の「妥当な利用料金」を設定するところから始めていきましょう。
試算の前提条件として、今回は国内におけるビジネス移動の中でも、特に経済的・時間的コストの負担が大きい「東京―大阪間を月2回出張(往復)する会社員」をモデルケースとして考えていきます。
アニメでは個人が自由に使用していますが、もし現実世界で導入された場合、安全管理やテロ対策が大きな課題となります。結果、公共交通インフラとしても運用される可能性が高いと考えられるため、エネルギー費用、設備維持費、セキュリティ費用、人件費などが必要になるでしょう。
そこで今回は、現実世界の「LCC(格安航空)の最安値」や「新幹線の特急料金単体」の相場などを参考にし、どこでもドアの利用料金が「全国一律で片道3000円」に設定されたと仮定します。
仮に有料化されたとしても、どこでもドアを利用すれば移動時間はほぼゼロになり、ビジネスにおいて、時間短縮という大きな価値が生まれるはずです。
どこでもドアが実用化され、片道3000円という手頃な公共料金が設定された場合、私たちの財布にはどれほどの恩恵があるのでしょうか。
ここでは、新幹線を利用している現状の移動コストと比較しながら、具体的に年間でいくらの交通費が節約できるのかを詳しく計算していきましょう。
東京~大阪間を新幹線で移動する場合、片道の運賃(指定席・通常期)はおよそ1万4000円となります。
月2回往復、つまり年間で年48回乗車すると仮定した場合、「1万4000円×48回=67万2000円」となるため、現状では年間で67万円超の移動費がかかる計算になります。ビジネスや遠出には必要不可欠な支出ですが、非常に大きな金額であることが分ります。
では、どこでもドアを導入すれば、この移動費はどれほど削減できるのでしょうか。先ほどの試算で算出した「片道3000円」を基に同様の計算をしてみると、「片道3000円×年48回=年間14万4000円」となります。現在の新幹線代と比較して、交通費だけで年間約53万円を削減できるようになります。
どこでもドアがもたらす最大のメリットは、移動費だけでなく、移動の手間や時間をほぼゼロにできる点にあります。
多忙なビジネスパーソンにとって、移動時間が浮くことはどれほどの価値を持つのでしょうか。ここからは、年間の短縮時間と、それを金額に換算した際の効果を検証します。
先ほどの前提条件を基に、東京〜大阪間の新幹線移動時間「往復およそ5時間」を月2回、1年間続けると仮定します。「5時間×2回×12カ月=120時間」となり、年間で【120時間】ものまとまった時間を移動に費やしていることが分ります。
厚生労働省の「民間給与実態統計調査」で「日本の全国の平均的な賃金額 」を見ると、時給2027円となっています。「120時間×時給2000円」で計算すると、年間でおよそ【24万円分】に相当する時間価値を生み出せることがわかります。
つまり、先ほどの交通費の削減分(約53万円)と合計すると、年間トータルで70万円以上の大きなメリットを享受できる可能性があるようです。
どこでもドアの登場は、単に移動のコストや時間を削減するだけでなく、私たちの生活様式そのものを根底から覆す可能性を秘めています。
住まい選びの基準からビジネスのあり方、さらには既存のインフラ業界への影響まで、具体的にどのような変化がもたらされるのかを順に見ていきましょう。
どこでもドアが実現されれば、地方在住のまま大都市圏への通勤も容易になるため、地方移住の促進や一極集中の緩和に大きく貢献すると考えられます。
これまでの働き方や住まい選びの常識は覆り、今までは生活費や家賃の安い地方に住みながら、遠く離れた大都市のオフィスで働くというワークスタイルを選択する人も増えるかもしれません。
もっといえば、将来的には日本に住みながら海外オフィスへ毎日通勤するという、国境を越えたグローバルな働き方を選ぶ人も現れるかもしれません。
私たちの生活が圧倒的に便利になる一方で、新幹線や航空業界などの既存の交通インフラは苦難を強いられることになるでしょう。
移動手段としての純粋な利便性ではどこでもドアに太刀打ちできないため、車窓からの景色や機内食、快適なプライベート空間など「移動そのものを楽しむエンターテインメント性」や、アナログならではの独自の価値をこれまで以上に追求していく必要に迫られそうです。
画期的なテクノロジーの台頭は、既存のインフラ産業に大きな変革を促す引き金になるのではないでしょうか。
今回の試算で、どこでもドアが実在した場合、交通費の削減と時間価値の創出を合わせて、年間トータルでおよそ70万円以上もの大きなメリットを享受できる可能性があると分りました。
移動の常識が根底から覆ることで、これまでに移動のために消費していたお金と時間を、新しい自己投資や有意義な活動へと回せるようになるでしょう。
どこでもドアという究極のひみつ道具の実現は、日本経済のあり活方はもちろん、私たちの暮らしの豊かさをも大きく変化させていくのではないでしょうか。
厚生労働省 最低賃金制度 あなたの賃金を比較チェック 地域ごとの平均的な賃金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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