熱中症対策のスポドリで「むし歯じゃないのに歯が溶ける」?歯科医が警告する“要注意な7つの飲み物”

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熱中症対策のスポドリで「むし歯じゃないのに歯が溶ける」?歯科医が警告する“要注意な7つの飲み物”

7月27日(月) 15:52

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いよいよ暑い夏がやってきましたね!みなさん熱中症対策は万全ですか?

「仕事中の水分補給に、デスクにスポドリ常備!」というビジネスパーソンも多いと思います。外回りの合間に塩分チャージタブレットを口に入れたり、炎天下で経口補水液を飲んだりすることも、もはや夏の定番になっています。しかし、その「良かれと思って続けている習慣」が、実は歯にとって思わぬ落とし穴になることがあります。

毎日スポーツドリンクを飲んでいます

歯科医院でそう話す患者さんの歯を診ると、歯の表面が溶け始めていることがあるのです。

熱中症対策として飲んでいるスポーツドリンクや経口補水液、塩分補給の飴。これらをダラダラと口にし続けることで、知らないうちに歯の表面は少しずつ溶けているかもしれません。

「むし歯じゃないのに歯が溶ける」“酸蝕歯”の恐怖

歯が溶けると聞くと、「むし歯」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実は、むし歯とは違う原因で歯が溶けることがあります。それが「酸蝕歯(さんしょくし)」です。

むし歯は、口の中の細菌が糖を分解して酸を作り、その酸によって歯が溶ける病気です。一方で酸蝕歯は、飲み物や食べ物そのものに含まれる酸によって、歯の表面が直接溶かされてしまう状態を指します。特にスポーツドリンクや経口補水液、炭酸飲料、レモン飲料などは酸性が強いものも多く、頻繁に口にすることで歯の表面を少しずつ溶かしてしまいます。しかも厄介なのは、酸蝕歯は痛みが出にくく、気づかないうちに進行しやすいことです。

「最近、冷たいものがしみる」「前歯の先が薄く透けて見える」「歯の表面が丸くなってきた」――こうした変化があれば、それはむし歯ではなく酸蝕歯のサインかもしれません。さらにスポーツドリンクには糖分も含まれているため、酸蝕歯だけでなく、むし歯のリスクも同時に高めてしまうのです。

仕事中の“ちびちび飲み”が一番やばい!量より「時間」が命取りに

酸蝕歯を進行させやすい夏の習慣があります。それが「ちびちび飲み」です。スポーツドリンクや経口補水液は、飲むこと自体が問題なのではありません。むしろ注意したいのは、「少しずつ何度も飲み続けること」です。歯にとって問題なのは、一日に500ml飲んだかではありません。500mlを10分で飲んだのか、4時間かけて飲んだのか、なのです。

歯は酸に触れるたびに表面が一時的にやわらかくなります。しかし通常は唾液の働きによって中和され、少しずつ元の状態に戻ろうとします。ところが、その回復する前にまた酸が入ってくると、歯は修復する時間を失い、ダメージが蓄積してしまうのです。特に夏はこの状態が起こりやすくなります。暑さで喉が渇き、スポーツドリンクを頻繁に口にする。デスクワーク中にペットボトルを机に置き、何時間もかけて少しずつ飲み続ける。冷房の効いた室内では口が乾きやすく、唾液の分泌も減りがちです。さらに塩分補給の飴やタブレットをだらだら口にしていると、お口の中が酸や糖にさらされる時間が長くなります。酸に触れれば酸蝕歯に、糖に触れればむし歯のリスクとなります。

つまり、歯にとって重要なのは「どれだけ飲んだか」より、「どれだけ長く酸に触れていたか」なのです。量より回数。この習慣の違いが、夏の終わりに歯へ大きな差を生むことがあります。

夏ドリンクの要注意ランキング

夏になると手に取る機会が増える飲み物。しかし、その中には知らないうちに歯を傷つけてしまうものも少なくありません。

第1位スポーツドリンク
酸+糖のダブルパンチ。ちびちび飲みの主犯格。

第2位炭酸飲料
強い酸性。糖が含まれているものも多いです。おやつの時など時間を決めて飲みましょう。

第3位エナジードリンク
高酸度+多糖分。大容量缶の常飲はやめましょう。

第4位レモンサワー
晩酌のダラダラ飲み、そのまま寝落ちが最悪です。

第5位黒酢ドリンク
健康習慣の盲点。強いお酢の酸が直撃します。飲んだ後は必ずお水でお口を漱ぎましょう。

また、むし歯のリスクを高めてしまう「缶コーヒー(糖入り)」にも要注意です。デスクワークのお供になりがちですが、ちびちび飲みを続けてしまうと糖がお口の中に残り、むし歯の原因となります。微糖の缶コーヒーは、大人のむし歯リスクを高める代表格と言っても過言ではありません。

意外と盲点な“隠れ要注意ドリンク”

・経口補水液
熱中症対策の「飲む点滴」として非常に優秀な経口補水液ですが、実はこれも酸性。毎日お茶の代わりに飲むのはNGです!

・ビタミンドリンク
ビタミンCを多く含むものは酸性度が高いことがあり、糖分も含まれるため油断できません。

大切なのは、「飲んではいけない」のではなく、「どう飲むか」です。特に夏は量より回数。だらだら飲みを避けることが、歯を守る大きなポイントになります。

あなたの歯、もう溶け始めているかも?酸蝕歯セルフチェック

酸蝕歯は、むし歯のように目立つ穴があくわけではなく、少しずつ静かに進行します。そのため、気づいたときにはかなり進んでいることも少なくありません。まずは、自分のお口にこんな変化がないかチェックしてみてください。

・冷たい飲み物やアイスで歯がしみることがある
→ 歯の表面のエナメル質が酸によって薄くなり、刺激が伝わりやすくなっている可能性があります。

・前歯の先が透明っぽく見える
→ 歯の表面が酸で溶けて少しずつ薄くなっているサインかもしれません。

・歯の角が丸くなってきて平坦になった気がする
→ 酸によって表面が溶けることにより、凸凹がなくなり形が変化していることがあります。

・歯の表面が以前よりツルツルしている
→ 透け感が増したり、白く濁ったり、一見滑らかに見えても、酸によって表面構造が変化している場合があります。

・歯が黄ばんできた気がする
→ 表面の白いエナメル質が薄くなり、内側の黄色い象牙質が透けて見えている可能性があります。酸蝕歯が進行した歯に見られます。

・知覚過敏症がある
→ 酸蝕歯の初期症状としてよく見られます。

・昔より歯が短くなった気がする
→仕事のストレスで無意識に「歯ぎしり」や「食いしばり」をしていませんか?酸で柔らかくなった歯にその圧力が加わると、歯がゴリゴリ削れて短くなってしまいます!

0個:健全!今の習慣をキープしましょう。
1~2個なら黄色信号:「隠れ酸蝕症」の可能性あり。飲み方を見直して!
3個以上なら赤信号かも:要注意!すでに歯が溶け始めているかも!?歯科医院で検診を受けましょう。

1つでも当てはまる場合は、酸蝕歯が始まっている可能性があります。

「飲むな」ではなく“飲み方”を変える

熱中症は命を奪います。スポーツドリンクや経口補水液は、夏の熱中症対策として必要です。大切なのは「飲まないこと」ではなく、「歯へのダメージを減らす飲み方」を知ることです。何を飲むかよりも、飲み方への意識を少し変えるだけでも、酸蝕歯のリスクを大きく減らすことができます。

①だらだら飲まない

もっとも重要なのがこれです。歯にとって問題なのは量より回数。少しずつ何度も飲み続けると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、回復する暇がなくなります。飲むときは時間を決めて、できるだけ短時間で飲み切ることを意識しましょう。

②飲んだ後は水を飲む

スポーツドリンクや経口補水液を飲んだ後に水を一口飲むだけでも、お口の中に残った酸や糖を薄めることができます。特に外出先や仕事中は、スポドリと一緒に水も持ち歩くのがおすすめです。

③口をゆすぐ

すぐに歯みがきができない場合は、水で軽く口をゆすぐだけでも効果があります。口の中に残った酸を洗い流し、歯が長時間酸に触れ続けるのを防ぎます。

④食後すぐ磨いちゃダメ!は誤解

酸蝕症のリスクが高い人が、直後に歯磨きを行うと酸蝕症が悪化するリスクがあります。
ただし、健全な歯の人が時間を空けて歯磨きをするメリットはありません。歯科医院で酸蝕症の診断を受け、歯科医師の指導を受けた人は、30分ほど時間を空けてから歯磨きを行いましょう。

⑤ストローを活用する

意外と効果的なのがストローです。飲み物が前歯に直接触れる時間を減らすことで、歯への酸の接触を少なくすることができます。特に酸性の強い飲み物を習慣的に飲む人には有効な方法です。最近は、保冷力抜群でスタイリッシュなストロー付きタンブラーが、ガジェット好きのビジネスパーソンの間で大人気です。冷たさもキープできて、スマートに歯も守れる一石二鳥のアイテムですよ!

夏は体を守ることが最優先です。しかし、その習慣が将来の歯の健康を削らないように、「飲み方」を少し工夫するだけで大きな差が生まれます。

熱中症対策と歯の健康、両方守れる夏に

熱中症は命に関わるため、水分補給を控えるべきではありません。ただし、「何を飲むか」だけでなく、「どう飲むか」で歯の未来は変わります。10年後も自分の歯でおいしく食事を楽しむために、この夏は飲み方にも目を向けてみてください。

<文/野尻真里>

【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari

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